個人契約のクラウドストレージ、私物のスマートフォン、無料の生成AIなど、従業員が会社の承認を得ないまま業務に使うツールは、思いのほか身近にあります。こうした管理外の利用が自社で広がっていないか、不安を抱く情報システム担当者は少なくありません。どこからがシャドーITにあたり、なぜ生まれ、どう減らせばよいのか。判断に迷う場面も多いものです。
本記事は、シャドーITの定義や該当例、発生する構造とリスクを押さえ、利用実態の可視化から正規環境の整備までの進め方を法人利用の前提で解説していますので、自社の対策づくりの手がかりとして参考にしてください。
本記事のサマリ
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シャドーITとは、情報システム部門が把握・承認していないIT利用が管理外で広がった状態である
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管理外の利用は検知も追跡もできず、情報漏洩や法令違反、生成AIへの入力による流出につながる
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対策の起点は禁止ではなく、通信ログや経費、アンケートで利用実態を可視化することにある
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共有リンクと権限、操作ログを持つDirectCloudで、受け渡し起点のシャドーITを解消できる
目次- 1. シャドーITとは?定義と管理外の状態
- 2. シャドーITに該当するものと該当しないもの
- 3. シャドーITが社内で生まれる構造
- 4. シャドーITが企業にもたらすリスク
- 5. 生成AIの業務利用で広がるシャドーAI
- 6. シャドーITの利用実態を可視化する手順
- 7. シャドーITを減らすための対策
- 8. DirectCloudでシャドーITの発生要因を解消
- 9. シャドーIT抑制につながった導入事例
- 10. まとめ
シャドーITとは?定義と管理外の状態
シャドーITとは、情報システム部門が把握・承認していないIT機器やソフトウェア、クラウドサービスを、従業員が独自の判断で業務に使っている状態を指します。
理解の鍵になるのは、定義のどこに核心があるのか、私物端末を認めるBYODと何が違うのか、承認済みのサンクションITとどう関係するのかという3つの論点です。以降では、それぞれについて解説します。
定義の核心は「把握していない」状態
シャドーITで問題になるのは、ツールを使うこと自体ではなく、その利用実態を情報システム部門がつかめていない状態です。利用中のサービス名、利用している部署、利用者、扱うデータの種類、契約条件という5つの情報がそろって初めて、漏洩や不正利用のリスクを評価できます。
逆に、一つでも欠けると判断の材料が足りません。たとえば経理部門が無料ツールを使っていると分かっても、そこに何のデータを入れているかが見えなければ、危険度は測れないのです。把握できていないという一点こそが、シャドーITの核心にあたります。
BYODとの違いは管理下にあるか
私物端末を業務で使っていても、それがBYODなのかシャドーITなのかは、企業の管理下に置かれているかどうかで分かれます。BYOD(Bring Your Own Device)は、従業員の私物端末を組織のルールと管理のもとで業務に使うことを認める仕組みです。
総務省のガイドラインでは、私物端末を使う場合に、端末へのデータ保存の制限、利用ルールの策定、必要なセキュリティ対策の確認が求められます。管理を経ないまま許可なく私物端末を業務に使えば、それはBYODではなくシャドーITに当たります。
承認済みIT(サンクションIT)との関係
承認済みIT(サンクションIT)と対比させると、シャドーITが指す範囲の輪郭がはっきりします。情報システム部門が把握し、管理下に置いているツールがサンクションITであり、その外にあるものがシャドーITです。
大切なのは、見つけたツールを禁止するのか正式に承認するのかという判断を、利用実態を把握したあとに下す順序です。目指すのは、シャドーITを完全にゼロへ追い込むことではありません。管理下に置ける範囲を少しずつ広げ、リスクの高いものから順に手を打つことが現実的な狙いになります。
シャドーITに該当するものと該当しないもの
シャドーITに当たる範囲は、情報システム部門の担当者が想定するよりも広く、判断に迷うグレーゾーンも残ります。まず代表的な利用形態を該当・非該当に分け、それぞれ何を根拠にそう判断できるのかを下の表にまとめました。
発生しやすい3つの形態と線引きが分かれるケースは、以降にて解説します。
| 利用形態 | シャドーITへの該当 | 判断の根拠 |
| 個人契約のクラウドストレージに業務ファイルを保存する | 該当 | 業務データが管理外の環境に置かれ、削除も追跡もできない |
| 許可を得ずに私物スマートフォンで社内メールを受信する | 該当 | 端末に管理が及ばず、紛失時に対処できない |
| 情報システム部門が承認した全社導入済みのサービスを使う | 非該当 | 利用実態が把握され、権限とログが管理下にある |
| 申請し承認を得たうえで部門専用ツールを使う | 非該当 | 承認済みで管理対象に含まれている |
| 業務データを扱わない個人的なツールを使う | 非該当 | 業務データが管理外に出ていない |
| 個人契約のクラウドストレージに業務ファイルを保存する | |
| シャドーITへの該当 | |
| 該当 | |
| 判断の根拠 | |
| 業務データが管理外の環境に置かれ、削除も追跡もできない | |
| 許可を得ずに私物スマートフォンで社内メールを受信する | |
| シャドーITへの該当 | |
| 該当 | |
| 判断の根拠 | |
| 端末に管理が及ばず、紛失時に対処できない | |
| 情報システム部門が承認した全社導入済みのサービスを使う | |
| シャドーITへの該当 | |
| 非該当 | |
| 判断の根拠 | |
| 利用実態が把握され、権限とログが管理下にある | |
| 申請し承認を得たうえで部門専用ツールを使う | |
| シャドーITへの該当 | |
| 非該当 | |
| 判断の根拠 | |
| 承認済みで管理対象に含まれている | |
| 業務データを扱わない個人的なツールを使う | |
| シャドーITへの該当 | |
| 非該当 | |
| 判断の根拠 | |
| 業務データが管理外に出ていない | |
未承認のクラウドストレージへの保存
業務ファイルを個人契約のクラウドストレージや無料のファイル転送サービスへ保存・共有する行為は、シャドーITの代表例です。メールに添付できない容量のファイルを社外へ渡す場面で起こりやすく、手元の使い慣れたサービスがそのまま選ばれます。
見落としやすいのは、その後の扱いです。従業員が退職しても、契約した本人しか消せないデータが個人アカウント側に残ったまま消えません。企業として削除も管理もできず、社外にデータが置かれた状態が続きます。使い勝手のよさの裏で、管理の手が届かない領域が広がっていくのです。
個人アカウントのチャットやメール利用
個人のチャットアプリやフリーメールで業務連絡やファイルのやり取りをする行為も、シャドーITに当たります。これらの個人アカウントは企業の管理下になく、乗っ取りが起きても企業側で対処できません。退職者が出ても、やり取りの履歴を引き継げず、記録が個人の手元に残ったままになります。
やっかいなのは、取引先を巻き込む形で広がる点です。相手先の担当者と個人アカウントでつながってしまうと、あとから正規の連絡手段へ戻すのが難しく、使い続けるほど切り替えの負担が重くなります。
私物端末や外部記録媒体の業務利用
許可を得ていない私物パソコンやスマートフォン、USBメモリなどの外部記録媒体での作業や持ち帰りも、シャドーITに含まれます。業務用の端末を、許可されていないネットワークへ接続する行為も同じ枠です。
たとえば作りかけた資料をUSBメモリで持ち帰り、企業が把握していない私物パソコンで開くケースが当てはまります。こうした端末や媒体で怖いのは、マルウェア混入と紛失・盗難による情報漏洩です。管理が及ばない端末は、紛失しても遠隔でデータを消せず、暗号化もされていないため、拾われた中身が外部へ流出します。
判断が分かれるケースの整理
判断が分かれるのは、部門内だけで使う小規模なツールや、無料枠での試用といったケースです。目立った問題が起きていないと、該当するかどうかがあいまいなまま使い続けられます。こうしたグレーな利用を見極める手がかりが、3つの軸です。
業務データを扱うか、情報システム部門が実態を把握しているか、契約主体は個人か企業か、という3点から確かめていきます。この3点を自社のポリシーとして明文化するかどうかが、分かれ目です。基準を言葉にしない限り、どこまで認めるかの判断は現場ごとにぶれ続けます。
シャドーITが社内で生まれる構造
シャドーITが生まれる要因は、従業員の意識の低さではなく、業務環境の側にあります。禁止や注意喚起を重ねても、原因が残る限り再発は止まりません。
対策づくりの出発点は、この発生の仕組みを押さえることです。ここでは、申請にかかる時間、承認済みツールと現場要件のずれ、ルールの届きにくさという3つの構造を順に取り上げます。
申請から利用開始までの時間が合わない
1つ目の要因は、申請から利用を始めるまでにかかる時間の長さです。利用申請から承認まで1週間以上かかることは珍しくなく、その間に業務は止まってしまいます。
2週間後にようやく使える公式ツールと、今日から使える無料サービスがあれば、現場が後者を選ぶのは自然な流れです。これはスピードを求める環境では合理的な判断であり、意識喚起を繰り返すだけでは変わりません。申請の手順そのものをどう短くするかは、後の対策の章で解説します。
承認済みツールが現場の要件に合わない
全社で導入したツールが、すべての部署の要件を満たすとは限りません。標準ツールが自部門の業務に足りないと感じた現場は、独自の代替手段を探し始めます。
よくあるのが、容量制限で大きなファイルを送れない、社外との共有がしにくいといった不足から、無料サービスに手を伸ばすパターンです。
また、一部の部署にしかライセンスがない場合、対象から外れた従業員が自分で個人契約のサービスを使い始めます。正規ツールと現場要件のずれが、シャドーITを生む土台になっているのです。
利用ルールが具体化されず現場に届かない
「シャドーITは禁止」という一文を掲げるだけでは、現場は何を避ければよいのか判断できません。重要なのは、以下の3つをセットで示すルールです。
- ●禁止する行為
- ●認められる範囲
- ●代わりに使う手段
たとえば「個人アカウントのクラウドストレージへの業務データ保存は禁止し、社外共有は全社承認済みの環境に限る」といった粒度まで具体化します。あわせて、利用する端末やソフトウェアを資産として管理し、台帳で把握しておくことも欠かせません。内部不正を防ぐ観点からも、こうした管理は対策の一つに位置づけられます。
シャドーITが企業にもたらすリスク
シャドーITのリスクは、事故が起きて初めて表面化することが少なくありません。管理外での利用が続くあいだ、検知の難しさ、法令や契約への抵触、実際の被害という3つの面で、危険は静かに積み上がっていきます。
情報漏洩や不正アクセスを検知できない
最も見えにくいのが、検知と追跡ができないリスクです。情報システム部門が管理するツールには、権限の設定や暗号化、更新の適用といった管理が施されます。管理外のサービスにはそれが及ばず、事故が起きても気づけず、原因を追うこともできません。
退職者が個人アカウントで契約したサービスは本人しか消せず、退職手続きの対象にできないのも深刻です。内部不正による情報漏えいは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威」で、組織向けの脅威に11年連続で選ばれ続けています。
法令や取引先との契約に違反する
個人データを扱う企業には、その安全を守る管理と従業員への監督が、個人情報保護法上の義務として定められています。問題は、シャドーITでデータが管理外の環境に置かれると、この義務を果たしていると示せなくなることです。どこに何のデータがあるかを把握できないまま個人情報が外部サービスに置かれた状態は、法令が求める管理から外れます。
さらに、取引先から預かった機密資料を個人アカウントに保存・共有する行為は、秘密保持契約に反しかねない扱いです。管理の外へデータが出ることは、法令と契約の両面でリスクになります。
参照元:個人情報保護委員会|個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
実際に起きた事故の典型的なパターン
公開されている事故には、いくつかの共通したパターンが見られます。多いのは、無料サービスへの業務ファイルの保存、私物端末や外部記録媒体の紛失、許可されていないネットワークへの接続を起点とするケースです。
被害を大きくするのは、こうした直接の原因よりも、利用実態を把握できていなかったことにあります。どの端末にどのデータが入っていたかがわからなければ、影響範囲の特定は遅れ、対応も後手になりがちです。事故が起きてから慌てないためにも、日ごろの可視化が欠かせません。
生成AIの業務利用で広がるシャドーAI
個人アカウントの生成AIを業務に使う動きが、情報システム部門の管理外で広がっています。こうした状態はシャドーAIと呼ばれ、シャドーITの一種として警戒される領域です。情報システム関連部署の担当者でさえ、生成AIを業務に活用している割合は半数を超えており、管理の外での利用が起きやすくなっています。
公表されている組織向け脅威の順位は下表のとおりです。ここでは生成AI固有の論点にしぼり、可視化やポリシー整備の手順は後の章で解説します。
| 順位 | 「組織」向け脅威 | 10大脅威での取り扱い |
| 3位 | AIの利用をめぐるサイバーリスク | 初選出 |
| 7位 | 内部不正による情報漏えい等 | 11年連続11回目 |
| 8位 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 6年連続6回目 |
| 3位 | |
| 「組織」向け脅威 | |
| AIの利用をめぐるサイバーリスク | |
| 10大脅威での取り扱い | |
| 初選出 | |
| 7位 | |
| 「組織」向け脅威 | |
| 内部不正による情報漏えい等 | |
| 10大脅威での取り扱い | |
| 11年連続11回目 | |
| 8位 | |
| 「組織」向け脅威 | |
| リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | |
| 10大脅威での取り扱い | |
| 6年連続6回目 | |
参照元:DirectCloud|【2026年3月実施】クラウドストレージ利用状況調査
入力した業務データは回収できない
個人アカウントの生成AIに業務文書を入力した時点で、そのデータはすでに社外へ渡っています。ここが、他のシャドーITと大きく違う点です。無許可のクラウドサービスなら利用を止めて保存データを消せますが、生成AIでは、あとから止めても入力ずみの分は取り戻せません。
機密情報や個人データを入力していれば、どこまで使われたかを自社で追えず、影響範囲を確定できないまま対応に追われます。発見後の対処よりも、入力させない前段での線引きが決め手です。
無料プランと法人向け契約の違い
生成AIのリスクは、サービス名だけでは測れません。同じサービスでも、無料プランと法人向け契約では入力データの扱いが変わるからです。無料プランでは入力した内容が学習に使われる場合があり、その取り扱いは各サービスの利用規約しだいになります。
一方で法人向けの契約は、入力データの扱いを契約で取り決め、無料プランより保護を手厚くできる形態です。判断はサービス名ではなく、どの契約で使っているかという単位で行うことが欠かせません。
入力してよい情報の範囲を決める
生成AIの利用は、全面的に禁止するより、入力してよい情報の範囲を決めるほうが現実的です。自社の情報の重要度区分に沿って、公開してよい情報は使える、機密情報や個人データは入力しない、と線引きします。社内データを扱う必要があるなら、管理下にある環境から生成AIを使わせる選択肢も有効です。
そのうえで、決めた範囲では対応できない場面に備え、例外を申請できる経路も用意しておきます。禁止一辺倒ではなく、使える範囲をはっきりさせることが、管理外の利用を減らす近道です。
シャドーITの利用実態を可視化する手順
シャドーIT対策の出発点は、禁止ではなく現状の把握です。何がどれだけ使われているかがわからなければ、打つべき手も決められません。技術的な検出だけでは死角が残るため、複数の手段を組み合わせるのが現実的です。
ここでは、通信ログ、経費精算データ、従業員へのアンケートという3つの手段を順に解説します。
通信ログから利用サービスを洗い出す
最初の手段は、社内ネットワークやプロキシのログから、アクセス先のクラウドサービスを一覧化することです。ログを分析すれば、どのサービスに誰が接続しているかをまとめて把握できます。
CASBと呼ばれる、クラウドの利用状況を監視・可視化する仕組みを併用すれば、多数のサービスを自動で分類し、リスクの高さとあわせて見える化できるのも強みです。
ただし、社外から直接インターネットへ接続する通信は、社内ネットワークを通らないため捕捉できません。在宅勤務が多い環境ほど、把握できる範囲が狭まる点に注意が必要です。
経費精算データから自己契約を特定する
2つ目の手段は、経費精算データから自己契約のサービスを見つけることです。個人名義のカードで契約し経費として申請していれば、精算データにサービス名が残ります。経理・財務部門と連携し、月額課金やサブスクリプションといった記録を絞り込むのが有効です。
この手順で、情報システム部門が把握していないサービスがまとめて見つかることがあります。ただし、無料プランや従業員の自己負担で使われているサービスは経費に現れず、この方法では捕捉できません。
アンケートで技術的検出の死角を埋める
3つ目の手段は、従業員へのアンケートやヒアリングで、技術的な検出では見えない利用を確認することです。ログにも経費にも現れないサービスは、使っている本人に尋ねると見えてきます。
回答を集める鍵は、申告が処罰につながらないと事前に伝えることです。匿名形式にすれば、心理的なハードルが下がり、正直に答えてもらいやすくなります。聞き取るのは、サービス名、利用目的、取り扱うデータ、契約主体の4点で十分です。集めた回答は、次のリスク評価にそのまま使えます。
シャドーITを減らすための対策
可視化で見えてきた実態は、具体的な対策に落とし込んで初めて意味を持ちます。シャドーITを減らす取り組みの柱は、次の4つです。
- ●利用ポリシーに具体的な基準を書く
- ●申請から利用開始までの手順を短くする
- ●正規ツールに求める要件を定義する
- ●棚卸しと教育を運用に組み込む
禁止と教育を繰り返すだけでは、現場は再び手近なサービスに戻ってしまいます。重要なのは、現場が正規の手段を自然に選べる状態をつくることです。
利用ポリシーに具体的な基準を書く
利用ポリシーには、禁止する行為、認められる範囲、違反したときの扱いを、具体的な言葉で書き込みます。「シャドーITは禁止」という一文だけでは、現場は何をどこまで避ければよいのか判断できません。
有効なのは、「個人契約のクラウドストレージへの業務データ保存は禁止し、社外共有は全社承認済みの環境を使う」という粒度まで落とし込んだ記述です。あわせて、既存の社内規程とどう位置づくかを明確にし、参照する先を一本化しておきます。どこを見れば判断できるかがはっきりしていないと、ルールは現場に届きません。
申請から利用開始までの手順を短くする
申請から利用開始までが早くなれば、手続きを飛ばして無許可で使う動機は小さくなります。有効なのは、申請経路を簡素化し、承認の判断基準と回答期限を公開することです。
たとえば「申請から5営業日以内に回答する」と決めて示すだけでも、現場の受け止め方は変わります。リスクの低いサービスは事前承認リストにまとめ、申請なしで使える範囲をはっきりさせておくのも手です。却下するときは、代わりに使える手段も一緒に伝えると、現場が行き場を失わずにすみます。
正規ツールに求める要件を定義する
正規ツールを現場に選んでもらう最大のポイントは、「公式のほうが使いやすい」と感じてもらえる状態をつくることです。現場のニーズを満たさないまま導入を進めると、使い勝手の悪さから、再びシャドーITへ逆戻りします。
そこで、正規ツールが備えるべき要件をチェックリストの形にまとめました。自社が検討・利用しているツールが、次の項目をどこまで満たしているかを確認してみてください。満たせない項目が多いほど、シャドーITが生まれる余地が残っています。
- ☐メール添付では送れない容量のファイルを社外へ渡せるか
- ☐相手にアカウント発行を求めずにファイルを受け渡しできるか
- ☐部門・取引先・案件の単位でアクセス範囲を絞れるか
- ☐共有リンクに有効期限やパスワードを設定できるか
- ☐ファイルの操作履歴を管理者が追跡できるか
- ☐利用できる端末やネットワークを限定できるか
- ☐利用人数が増えても費用が跳ね上がらないか
棚卸しと教育を運用に組み込む
対策は、一度実施して終わりにはできません。新しいサービスは次々と登場し、従業員の使い方も変わるため、一度の可視化ではすぐに実態とずれてしまいます。
欠かせないのは、定期的な棚卸しと、入社時および定期のセキュリティ教育を運用として続けることです。利用中のサービスは台帳で管理し、担当部署、契約状況、取り扱うデータを記録しておくと、変化を追いやすくなります。棚卸しと教育を仕組みとして回し続けることが、整えた管理を保つ土台です。
DirectCloudでシャドーITの発生要因を解消
シャドーITが生まれる要因の多くは、ファイルの受け渡しにあります。メール添付では送れない、取引先と共有しにくい、といった不便が、無料サービスや個人契約への流出を招いてきました。
法人向けクラウドストレージの「DirectCloud」は、この受け渡しの不便を正規の環境で解消し、無許可のサービスに頼らずにすむ状態をつくります。本文で挙げた課題と、対応する機能の関係を下表にまとめました。
以下では、機能ごとに解消の仕組みを解説します。
| 課題 | DirectCloudの機能 | 実現できる状態 |
| メール添付では送れず無料サービスに流れる | 共有リンク/受取フォルダ/ゲスト招待 | 相手のアカウント発行なしで大容量ファイルを渡せる |
| 部門や取引先ごとに共有範囲を絞れない | 7段階のアクセス権/フォルダ単位の権限設定 | 必要な相手だけに範囲を限定して共有できる |
| 持ち出しの操作を追跡できない | 250種類以上の操作ログ/アクセス監視 | 誰がいつ何を持ち出したかを確認できる |
| 一部の社員しかライセンスがなく個人契約に流れる | ユーザー数無制限の月額定額/ゲスト招待 | 全社員と取引先に同じ基盤を配布できる |
| メール添付では送れず無料サービスに流れる | |
| DirectCloudの機能 | |
| 共有リンク/受取フォルダ/ゲスト招待 | |
| 実現できる状態 | |
| 相手のアカウント発行なしで大容量ファイルを渡せる | |
| 部門や取引先ごとに共有範囲を絞れない | |
| DirectCloudの機能 | |
| 7段階のアクセス権/フォルダ単位の権限設定 | |
| 実現できる状態 | |
| 必要な相手だけに範囲を限定して共有できる | |
| 持ち出しの操作を追跡できない | |
| DirectCloudの機能 | |
| 250種類以上の操作ログ/アクセス監視 | |
| 実現できる状態 | |
| 誰がいつ何を持ち出したかを確認できる | |
| 一部の社員しかライセンスがなく個人契約に流れる | |
| DirectCloudの機能 | |
| ユーザー数無制限の月額定額/ゲスト招待 | |
| 実現できる状態 | |
| 全社員と取引先に同じ基盤を配布できる | |
大容量ファイルを社外へそのまま渡せる
共有リンクと受取フォルダを使えば、メール添付では送れない大容量ファイルも、相手にアカウント発行を求めずに社外へ渡せます。容量制限を理由に、無料サービスや個人アカウントへ逃げる必要はありません。リンクには有効期限やパスワードを設定でき、ゲスト招待には管理者の承認を挟むこともできます。
共有したあとも管理者の目が届くため、渡して終わりにはならない仕組みです。使いやすさと統制を同時に満たすことで、現場は正規の手段を自然に選べます。
共有範囲と権限を部門単位で絞れる
共有範囲を絞る土台になるのが、7段階のアクセス権とフォルダ単位の権限設定です。この仕組みを使えば、部門・取引先・案件といった単位ごとに、共有する範囲を必要な相手だけに絞り込めます。
運用の面で助かるのが、CSVファイルを使った権限の一括登録・修正です。一人ずつ手作業で割り当てずにすむため、管理者は範囲の見直しに時間を回せます。誰でも見られる状態を避けられるので、管理外へ不用意にデータが広がる余地も残しません。
参照元:DirectCloud|法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」の特徴
操作ログでファイルの持ち出しを追える
持ち出しを見えるようにするのが、250種類以上の操作ログとアクセス監視です。ファイルの送受信や共有リンクの作成まで記録に残るため、誰がいつ何を持ち出したかを後から確認できます。管理外のサービスでは追えなかった動きも、DirectCloud上なら見逃しません。
さらに、デバイス認証とIPアドレス制限を組み合わせれば、許可した端末とネットワークからのみ利用させられます。記録と制限の両輪で、ファイルの持ち出しをコントロールできるのが強みです。
参照元:DirectCloud|ユーザー機能(セキュリティ)
全社員と取引先へ同じ基盤を配れる
全従業員へ同じ基盤を配れる理由が、ユーザー数無制限の月額定額制です。従業員が何人増えても費用は人数に比例しないため、全従業員にIDを発行できます。
一部の従業員だけがライセンスを持てず個人契約のサービスに流れる、という事態が起きません。取引先の担当者はゲスト招待で参加できるので、社外とのやり取りも同じ基盤にまとめられます。全員が同じ正規環境を使える状態こそ、シャドーITの入り込む余地をなくす決め手です。
シャドーIT抑制につながった導入事例
ファイルの受け渡し手段が足りないことは、シャドーITを生む大きな要因です。この要因をDirectCloudの導入で解消した企業の事例を、業種を分けて3つ取り上げます。
いずれの事例も、正規の受け渡し手段が整い、無料サービスや個人向けストレージに頼らずにすむようになりました。自社に近い状況の事例から、解消の道筋をつかんでください。
店舗と取引先の共有手段を整えて抑制
兼松コミュニケーションズ株式会社様は、取引先や全国の店舗スタッフとのファイル共有にDirectCloudを活用しています。
導入前は、メール添付では送れない大容量ファイルの共有や、取引先とのスムーズなファイル授受に課題を抱えていました。ファイル共有を目的としたシャドーITをどう防ぐかも、あわせて解決したい課題です。
導入後は、社内のファイル共有ツールとしてすぐに浸透しました。正規の共有手段が根づいたことで、シャドーITの防止にもつながっています。
分割送付をやめて無料サービス利用を解消
ひたちなか市役所様では、ファイルの容量制限と内部統制の課題を、DirectCloudでまとめて解決しました。
導入前の悩みは、外部とやり取りするファイルが大きく、分割して送る手間がかかっていたことです。その不便さから、職員が無料のファイル共有サービスを使うようになり、内部統制が効かない状態に陥っていました。
導入後は、共有リンク機能で容量を気にせずファイルを授受できるのが、大きな変化です。無料サービスに頼る必要がなくなり、シャドーITの抑制につながっています。
全社導入で個人向けストレージ利用を解消
株式会社ファム様の導入前の課題は、無料の個人向けクラウドストレージを業務で使っていたことです。手軽に使える半面、セキュリティ面での不安がつきまとっていました。
DirectCloudの導入で変わったのは、ユーザー数無制限を生かして全従業員へ展開できた点です。全員が同じ正規環境を使えるようになり、個人向けストレージに頼るシャドーITを抑えられています。ユーザー数で費用が変わらないため、コストの削減にもつながりました。
まとめ
シャドーIT対策の出発点は、利用の禁止ではなく、実態を正しく把握することです。クラウドサービスや生成AIを手軽に使える現代では、現場が良かれと選んだツールが、情報システム部門の見えないところでリスクを静かに積み上げていきます。重要なのは、通信ログや従業員への聞き取りで利用実態を可視化し、許可と禁止の基準を具体的に定めたうえで、現場が無理なく選べる正規環境を整えることです。
この順序で対策を進めれば、情報漏洩や法令・契約への違反を防ぎながら、従業員が安心して業務に集中できる状態に近づきます。シャドーITを見える形に変え、正規の手段を用意することが、組織の情報資産と信頼を守る確かな一歩です。
ファイルの受け渡しに起因するシャドーITを断ちたい場合は、大容量ファイルの社外共有から権限管理、操作ログまでを一つにまとめた法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」が有力な選択肢になります。ユーザー数無制限のため、全社員と取引先へ同じ基盤を配っても費用は人数に比例しません。自社に合う進め方を確かめるためにも、まずはお問い合わせから、気になる点を相談してみてください。

