ファイルサーバーやNASの運用に手を取られ、クラウドストレージへの移行を考え始めた企業は少なくありません。ただ、言葉としては知っていても、自社の業務が何をどう変えられるのかを社内に説明できず、検討が止まってしまうこともあります。
本記事では、法人での利用を前提に、データが保管される仕組みから、ファイルサーバーやNASとの違い、導入で得られる効果と注意点、セキュリティの責任がどこまで及ぶのかまでをたどります。サービスを選ぶ際の確認軸も示しましたので、社内で検討を進める材料として役立ててください。
本記事のサマリ
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クラウドストレージとは、事業者のデータセンターにファイルを保管・共有する仕組みである
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ファイルサーバーやNASとの違いは、機器を置く場所と運用を誰が担うかという点にある
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通信環境への依存や設定不備のリスクは残り、セキュリティの責任は事業者と分け合う
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7段階の権限と250種類以上のログを持つDirectCloudなら、統制と定額運用を両立できる
クラウドストレージとは?仕組みと定義
クラウドストレージとは、インターネット経由で事業者のデータセンターにファイルを保管し、共有する仕組みです。サーバーやネットワークの管理は事業者が担うため、自社で機器を購入して運用しなくても、契約した容量を業務に使えます。
以下では、データが保管される仕組みとアクセス経路、オンラインストレージという呼称との関係、データの持ち方による種類について解説します。
データが保管される仕組みとアクセス経路
端末から送ったファイルは、インターネットを通じて事業者のデータセンターにあるサーバーへ保存されます。一般に、事業者はデータを小さな部分に分けて複数のサーバーに分散させ、別の場所にも複製を保管します。1台のサーバーや1つの拠点で障害が起きても、必要な部分を集めて元の形で取り出せる設計です。
業務で使うときは、Webブラウザ、パソコンやスマートフォンの専用アプリ、Windowsのエクスプローラーから通常のフォルダと同じように開く方法があり、どの経路からでも同じデータを扱えます。
オンラインストレージとの呼び方の違い
「オンラインストレージ」と「クラウドストレージ」が指している対象は、実質的に同じです。どちらもインターネットを介して利用するサービスであり、呼び方が異なるだけだと説明されています。法人向けに提供されているサービスでも「オンラインストレージ」という名称が使われており、名称の違いが機能や対象利用者の違いを表すわけではありません。
そのため、サービスを比べるときは名称ではなく、アクセス権をどこまで細かく設定できるか、操作の記録をどれだけ残せるかという提供機能とセキュリティ要件で判断する必要があります。
クラウドストレージの主な種類
データの持ち方には、ファイルストレージ、オブジェクトストレージ、ブロックストレージという3つの方式があります。業務文書の共有で使われるのはファイルストレージ型です。
パソコンのフォルダと同じ階層構造で扱えるため、部署やプロジェクト単位でアクセス権を設定する運用にもなじみます。オブジェクトストレージは階層を作らず、バケットと呼ばれる領域にデータを格納する方式で、写真や動画のように形式が定まらない大容量データの保管に向いています。
方式ごとの詳しい違いは、下記の関連記事をご覧ください。
企業でのクラウドストレージ利用状況
総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は83.5%、全社的に利用している企業の割合は60.0%となりました。推移は下表のとおりです。
| 調査年 | 一部でも利用している企業 | 全社的に利用している企業 |
| 令和3年 | 70.4% | 42.7% |
| 令和4年 | 72.2% | 44.9% |
| 令和5年 | 77.7% | 50.6% |
| 令和6年 | 80.6% | 53.1% |
| 令和7年 | 83.5% | 60.0% |
| 令和3年 | |
| 一部でも利用している企業 | |
| 70.4% | |
| 全社的に利用している企業 | |
| 42.7% | |
| 令和4年 | |
| 一部でも利用している企業 | |
| 72.2% | |
| 全社的に利用している企業 | |
| 44.9% | |
| 令和5年 | |
| 一部でも利用している企業 | |
| 77.7% | |
| 全社的に利用している企業 | |
| 50.6% | |
| 令和6年 | |
| 一部でも利用している企業 | |
| 80.6% | |
| 全社的に利用している企業 | |
| 53.1% | |
| 令和7年 | |
| 一部でも利用している企業 | |
| 83.5% | |
| 全社的に利用している企業 | |
| 60.0% | |
利用したサービスの内容は「ファイル保管・データ共有」が73.3%で最も高く、「社内情報共有・ポータル」の61.4%、「電子メール」の57.4%が続きます。
ファイルの保管と共有がクラウド利用の中心にあると読み取れます。利用する理由は「場所、機器を選ばずに利用できるから」が50.7%で1位となり、「災害時のバックアップとして利用できるから」も38.7%を占めます。調査対象は常用雇用者規模100人以上の企業です。
ファイルサーバー・NAS・ファイル転送サービスとの違い
ファイルサーバー、NAS、ファイル転送サービスは、いずれもファイルの保管や受け渡しに使われますが、機器を置く場所と運用の担い手が異なります。
社内に機器を設置する方式では、購入から保守までを自社で担い、社外から使うにはVPNなどの経路を別に用意しなければなりません。既存の環境をすべて置き換えるのではなく、併用する選択肢もあります。
設置場所、機器の運用・保守、社外からのアクセス、容量の拡張という4つの比較軸で違いを下表にまとめました。
| 比較軸 | ファイルサーバー | NAS | クラウドストレージ |
| データの設置場所 | 社内のサーバー機器 | 社内に設置する専用機器 | 事業者のデータセンター |
| 機器の運用・保守 | 自社 | 自社 | 事業者 |
| 社外からのアクセス | VPNなどの経路が必要 | VPNなどの経路が必要 | インターネット経由で利用 |
| 容量の拡張 | 機器の増設・更新が必要 | 機器の増設・更新が必要 | 契約プランの変更で対応 |
| データの設置場所 | |
| ファイルサーバー | |
| 社内のサーバー機器 | |
| NAS | |
| 社内に設置する専用機器 | |
| クラウドストレージ | |
| 事業者のデータセンター | |
| 機器の運用・保守 | |
| ファイルサーバー | |
| 自社 | |
| NAS | |
| 自社 | |
| クラウドストレージ | |
| 事業者 | |
| 社外からのアクセス | |
| ファイルサーバー | |
| VPNなどの経路が必要 | |
| NAS | |
| VPNなどの経路が必要 | |
| クラウドストレージ | |
| インターネット経由で利用 | |
| 容量の拡張 | |
| ファイルサーバー | |
| 機器の増設・更新が必要 | |
| NAS | |
| 機器の増設・更新が必要 | |
| クラウドストレージ | |
| 契約プランの変更で対応 | |
ファイルサーバーとの違い
データを置く場所が、ファイルサーバーとの最も大きな違いです。ファイルサーバーは社内ネットワークを介してファイルを保管・共有するサーバーで、社内にデータを格納します。クラウドストレージが事業者のデータセンターに保管する点と対照的です。違いは運用責任にも及びます。
ファイルサーバーの構築には物理サーバーと社内LANが要り、大容量になれば高額な初期費用やサーバールームも伴ううえ、機器の更新や障害対応も自社で担います。社内ネットワーク前提の設計のため、社外利用にはVPNなど別の仕組みを追加します。
NASとの違い
NASは「Network Attached Storage」の略で、社内ネットワークに接続して使うファイル保管専用の機器です。社内のパソコンからファイルを保存したり、閲覧・ダウンロードしたりする用途に向いており、社内での共有を前提としています。
台数が増えると状況は変わります。部署ごとにNASを置けば管理対象と権限設定がそれぞれに分かれ、担当者の工数がかさみます。
クラウドストレージへ移せば保管先が1か所に集まり、ディスクや電源が壊れた際の対応など、機器の保守作業そのものがなくなります。
ファイル転送サービスとの違い
ファイル転送サービスは、大容量ファイルを一時的に受け渡す仕組みです。Web画面にファイルをアップロードし、ダウンロード用のURLを相手に伝える方式で、継続的な共同編集には向きません。クラウドストレージは、保管と共有、権限管理を続けて行う基盤として使われます。
2020年11月、平井デジタル改革担当大臣は、内閣府と内閣官房でZIPファイルと同じ経路でパスワードを送る方式(PPAP)を廃止すると会見で報告しました。以降、メール添付に代えてクラウドストレージの共有リンクで渡す運用が広がっています。
参照元:内閣府|平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日
企業がクラウドストレージを導入するメリット
先に挙げた総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを利用している企業の89.4%が「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と回答しています。クラウドストレージの場合、効果は働く場所の制約が減る業務効率、機器の管理から解放される運用負荷、社外への受け渡しを記録できる内部統制、被災時にもデータが残る事業継続という4つの面に表れます。
以降では、この4つを順に取り上げ、企業側にどのような変化が生じるのかを説明します。
場所や端末を問わず業務データにアクセスできる
本社でも自宅でも外出先でも、インターネットにつながる環境があれば同じデータを開けます。社内ネットワークに接続する必要がないため、業務を行う場所の制約が減ります。VPN経由で社内のファイルを見る方式では、一度社内の拠点を経由してデータが転送されるため、集中アクセスによる遅延が起きやすくなります。
クラウドストレージへ直接つなげば、この構造上の遅延を避けられます。総務省の調査でも「場所、機器を選ばずに利用できるから」が50.7%で利用理由の1位でした。
サーバーの運用・保守負担を軽減できる
機器の調達から設置、障害対応、バックアップの運用まで、事業者側に委ねられます。運用と保守を事業者が担うため、社内管理者のハードウェア管理工数が減り、365日24時間のサーバー監視も事業者側の体制で賄われます。
自社で機器を持つ場合、老朽化や破損への迅速な対応が難しく、更新時期に合わせた入れ替え作業も発生しますが、クラウドストレージではこうした作業が要りません。総務省の調査でも「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が42.8%で利用理由の3位に入りました。
取引先とのファイル共有を統制できる
共有リンクを使えば、ファイルをメールに添付せず、ダウンロード期間やパスワードの要否を決めて渡せます。アカウントを持たない取引先には、ゲスト用アカウントを発行し、担当者ごとにアクセス権を設定して参加してもらえます。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃が組織向け脅威の2位です。誰にどのファイルを渡したかを操作ログに残す仕組みも、社外共有の前に整えます。総務省の調査でも「取引先との情報共有」が利用用途に挙がっています。
災害やデータ消失に備えられる
事業者側でデータが複数のサーバーに複製され、自然災害が起きた際には複数の拠点にバックアップが保管されます。1台の機器が壊れても、被災してデータを失う事態を避けられる構造です。
ランサムウェアに感染した場合でも、バージョン管理機能でファイルの世代が保持されていれば、感染前の状態に戻せます。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、ランサム攻撃による被害が組織向けの1位となり、11年連続で選出されました。
導入前に確認したいデメリットと注意点
ここまで挙げた効果の裏側には、導入前に押さえておきたい制約もあります。制約は導入を見送る理由ではなく、設計と運用ルールで対処する対象です。
回線が使えなければ業務が止まる通信環境、設定を誤れば意図しない相手までファイルが届く権限管理、決めごとがなければ担当者しか分からなくなる管理体制の3点が、社内で検討すべき論点になります。それぞれ何が起こりうるのかと、導入前に決めておくべきことを順に説明します。
通信環境に依存する
クラウドストレージを使うには、安定したインターネット環境が欠かせません。オフライン環境ではファイルを開くことも編集することもできず、地下のように電波が届きにくい場所では接続が途中で切れることもあります。
回線速度が遅い拠点や同時接続の多い拠点では、大容量ファイルの送受信に時間がかかり、業務の生産性が落ちます。スマートデバイス向けのオフライン閲覧機能を持つサービスを選べば、移動中でも直前に開いた資料は確認できます。出張時や在宅勤務時に備え、利用できる通信環境の目安を従業員へ事前に周知しておきます。
設定や権限の不備が情報漏えいにつながる
アクセス権や共有リンクの設定を誤ると、意図しない範囲までファイルが見える状態になります。総務省の「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」は、クラウドストレージのように完成したサービスを使う形態で利用企業が担う責任を、利用者アカウントと業務データの設定と定めています。
アクセス権を厳密に設定せずに情報漏えいを起こすリスクや、退職者のIDを失効させず不正利用されるリスクは、事業者側の対策では補えません。部門・拠点・取引先ごとに誰へどこまで許すかを設計し、定期的に見直します。
参照元:総務省サイバーセキュリティ統括官室|クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドラインの概要
運用ルールがなければ管理が属人化する
フォルダ構成や命名規則を決めないまま移行すると、保存場所が分かれて必要なデータの所在が追えなくなります。部署や拠点ごとの管理では、同じ資料が別々に保存されて版の新旧を判断できず、探すたびに他部署へ問い合わせる状況が生まれます。
アクセス権が一元化されていないと、担当者の異動・退職時に権限の削除漏れが起きます。移行は、データ量とフォルダ構成、権限の棚卸しから始め、不要ファイルの削除、移行方式の選定、試験移行、本移行の順で進めます。保存先と保存期間、権限設定の記録と引き継ぎ手順も、この過程で決めます。
セキュリティの責任は誰が負うのか
クラウドサービスのセキュリティは、事業者と利用企業が分担して担います。総務省の「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)」は責任共有モデルを採用し、SaaS・PaaS・IaaSというサービス形態ごとに責任分担の一般的な考え方を示しています。
この分担は、パブリッククラウドやプライベートクラウドといった実装方式には左右されません。事業者側が担う範囲、利用企業側が担う範囲、契約前に確認しておく項目の3点を順に説明します。
参照元:総務省|クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)
クラウド事業者が担う範囲
データセンターの設備やネットワーク、サーバー、その上で動く仮想環境は、事業者が管理します。クラウドストレージのように完成したアプリケーションを提供する形態では、アプリケーションの動作に関わる設定と、それより下の提供側環境の実装・設定・更新・運用が事業者の担当です。
データを複数のサーバーへ複製する冗長化、24時間体制での監視、保存したデータや通信経路の暗号化も、基盤側で講じられる対策になります。いずれも利用企業の手が及ばず、事業者に委ねる領域にあたります。
利用企業が担う範囲
利用者アカウントの発行と削除、認証の設定、アクセス権や共有リンクの設定は、利用企業が権限と責任を持つ領域です。総務省の同ガイドラインは、完成したアプリケーションを利用する形態において、データの編集や削除を管理する権限と責任は利用企業にあると示しています。
利用する端末の管理や、社内の運用ルールを整えることも同じ範囲に入ります。個人データを保存する場合、第三者提供や委託に当たるかどうかは、事業者がそのデータを取り扱うことになっているかで判断されます。
参照元:個人情報保護委員会|「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q7-53
契約前に確認しておく項目
契約を結ぶ前に確認しておきたい項目を、下のチェックリストにまとめました。確認した結果は社内に記録として残し、自社のセキュリティポリシーと食い違いがないかを突き合わせます。データの保存先となる地域は特に注意が必要で、海外にデータセンターがある場合や海外の情報資産を扱う場合には、海外の法律が適用されることがあります。国や地域の法令によって記録の保存期間が定められている場合もあるため、保存先とあわせて確かめておきます。
- ●責任分界点(事業者側と自社側の担当範囲)が資料で明示されているか
- ●データの保存先となる地域と、適用される法令を確認できるか
- ●第三者認証の取得状況が公開されているか
- ●操作ログの取得範囲と保管期間が自社の監査要件を満たすか
- ●障害・災害時の復旧方針とバックアップ体制が示されているか
- ●個人データを扱う場合、事業者が当該データを取り扱わない旨が契約条項で定められているか
サービス選定時に確認する軸と費用構造
ここまでを踏まえ、自社に合うサービスを絞り込む段階では、容量、権限の粒度、ログの取得範囲、既存環境との併用、費用構造の5つを軸に据えます。
どの軸を、どの資料で確かめるのかを下表にまとめました。
| 確認軸 | 確認する具体的な項目 | 参照する情報源 |
| 容量 | 契約容量の上限、追加時の単価と最小追加単位 | 料金表・プラン表 |
| 権限の粒度 | フォルダ・ユーザー・グループ単位で設定できる権限の段階 | 機能一覧・管理画面の仕様 |
| ログの取得範囲 | 取得できる操作の種類と保管期間 | 機能一覧・監査対応資料 |
| 既存環境との併用 | ファイルサーバーやNASとの連携、既存IDとの認証連携 | 連携機能の仕様・技術資料 |
| 費用構造 | ユーザー課金型か定額型か、全社利用時の総額 | 料金表・見積 |
| 容量 | |
| 確認する具体的な項目 | |
| 契約容量の上限、追加時の単価と最小追加単位 | |
| 参照する情報源 | |
| 料金表・プラン表 | |
| 権限の粒度 | |
| 確認する具体的な項目 | |
| フォルダ・ユーザー・グループ単位で設定できる権限の段階 | |
| 参照する情報源 | |
| 機能一覧・管理画面の仕様 | |
| ログの取得範囲 | |
| 確認する具体的な項目 | |
| 取得できる操作の種類と保管期間 | |
| 参照する情報源 | |
| 機能一覧・監査対応資料 | |
| 既存環境との併用 | |
| 確認する具体的な項目 | |
| ファイルサーバーやNASとの連携、既存IDとの認証連携 | |
| 参照する情報源 | |
| 連携機能の仕様・技術資料 | |
| 費用構造 | |
| 確認する具体的な項目 | |
| ユーザー課金型か定額型か、全社利用時の総額 | |
| 参照する情報源 | |
| 料金表・見積 | |
このうち費用構造は、契約後に金額が動きやすい部分です。ユーザー数ごとに料金が加算される従量課金制では、利用する従業員が増えるほど支払う額が膨らみます。
容量追加の単価と最小追加単位も、扱うデータ量が増えれば見積もりから離れる要因です。
水準としては、定額制で月額13万円前後から、従量課金制で1人あたり月額1,800〜3,000円程度が目安です。社員数50名以上や人数の増減が見込まれる組織では定額制、10〜30名で安定していれば従量課金制が向きます。
法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」
ここまで挙げてきた課題に、法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」がどの機能で応えるのかを下表にまとめました。権限とログによる内部統制、社外との共有の統制、ランサムウェアと災害への備え、ユーザー数に左右されない費用の4点が、対応する領域にあたります。
いずれも、これまでの章で注意点として挙げた項目と重なります。それぞれの機能が何を可能にし、どのような状態をつくれるのかを順に説明します。
| 本文で扱った課題 | 対応する機能 | 得られる状態 |
| 権限設定が分散し操作の記録が残らない | 7段階のアクセスレベル、250種類以上の操作ログ(標準) | 誰がどのファイルを操作したかを追跡できる |
| 社外共有の範囲と記録を管理できない | 共有リンク、ゲスト招待、上長承認(標準) | 取引先ごとに範囲を限定して共有できる |
| 機器故障やランサムウェアでデータを失う | ランサムウェア対策(標準)、災害対策・遠隔地バックアップ(有料オプション) | 感染・障害時にデータを復元できる |
| 利用人数の増加に応じて費用が膨らむ | ユーザー数無制限の定額制 | 人数を増やしてもユーザー単価が発生しない |
| 権限設定が分散し操作の記録が残らない | |
| 対応する機能 | |
| 7段階のアクセスレベル、250種類以上の操作ログ(標準) | |
| 得られる状態 | |
| 誰がどのファイルを操作したかを追跡できる | |
| 社外共有の範囲と記録を管理できない | |
| 対応する機能 | |
| 共有リンク、ゲスト招待、上長承認(標準) | |
| 得られる状態 | |
| 取引先ごとに範囲を限定して共有できる | |
| 機器故障やランサムウェアでデータを失う | |
| 対応する機能 | |
| ランサムウェア対策(標準)、災害対策・遠隔地バックアップ(有料オプション) | |
| 得られる状態 | |
| 感染・障害時にデータを復元できる | |
| 利用人数の増加に応じて費用が膨らむ | |
| 対応する機能 | |
| ユーザー数無制限の定額制 | |
| 得られる状態 | |
| 人数を増やしてもユーザー単価が発生しない | |
参照元:DirectCloud|主要機能
権限とログで内部統制を強化できる
DirectCloudでは、7段階に分かれたアクセス権限のレベルを、グループ単位でも個人単位でも割り当てられます。使用できる機能もグループやユーザーごとに制限でき、部署や利用シーンに応じた運用を組めます。
取得できるログは管理者の操作を含めて250種類以上あり、ログイン、ファイルの送受信、ファイルリンクの作成といった操作の履歴を管理者が確認できます。Active Directoryとの連携でシングルサインオンにも対応するため、既存のID管理の仕組みをそのまま活かせます。
社外とのファイル共有を統制できる
大容量ファイルは、メール添付を使わずに共有リンクで受け渡せます。ファイルを送る代わりにリンクを発行して相手に渡す形のため、受信者がダウンロードできる期間や、ダウンロード時のパスワード入力の要否を管理者が設定できます。
共有相手がアカウントを持たない場合は、ゲスト用アカウントを発行し、担当者ごとにアクセス権を絞ったうえで共同作業に参加してもらえます。承認ワークフローを有効にすれば、上長の承認を得たファイルだけを持ち出せる形に変えられます。
参照元:DirectCloud|脱PPAP/取引先とのファイル共有/テレワーク導入
ランサムウェアやデータ消失を防げる
ランサムウェア対策は全プランに標準で提供されており、その中心にあるのがバージョン管理機能です。ファイルの世代を保持しているため、端末側で同期していたファイルが暗号化されても、クラウドに残る感染前の世代から復元できます。
サーバーは東京リージョン内の3拠点で分散保管されており、1か所が使えなくなってもデータは残ります。同一リージョン内にとどまる複製を広げたい場合は、有料オプションの「災害対策・遠隔地バックアップ」で海外を含む遠隔地へ複製を確保できます。
ユーザー数無制限でコストを抑えられる
料金体系はユーザー数無制限の定額制です。全社員にIDを発行しても人数に応じた費用が増えないため、従業員数の多い組織ほど負担の差が出ます。初期費用は0円で、必要な容量と機能に合わせてプランを選ぶ形です。
全社員がIDを持てることは、費用面だけの話ではありません。会社が承認していない無料のクラウドストレージやファイル転送サービスを従業員が業務で使ってしまう状態、いわゆるシャドーITを抑える効果も見込めます。
クラウドストレージ移行による改善事例
ここで取り上げるDirectCloud導入事例は、報道、建設、飲料製造と業種の異なる3社です。部署ごとに増えたNASの管理、物理サーバーが壊れたときの備え、社外からファイルサーバーにアクセスできない状況と、抱えていた課題もそれぞれ違います。
共通しているのは、社内に機器を置く方式のまま運用を続けていた点です。各社が導入前に何に困り、導入後に何が変わったのかを説明します。
NASの分散管理を解消し全社で共有
日刊新聞「北海道新聞」を発行する株式会社北海道新聞社様では、部署ごとにNASを運用しており、本社だけでも20台以上を抱えていました。管理工数が負担だったうえ、社員は所属している部署以外のNASにアクセスできず、社内のファイル共有も煩雑でした。テレワーク時にはVPN接続をしてNASを使う必要もありました。
DirectCloudを導入しクラウドストレージへ移行した結果、NASの管理工数は0になり、社内のファイル共有はクラウドストレージで完結しています。インターネット環境があれば場所を問わないアクセスも実現しました。
サーバー破損リスクを解消しBCPを強化
大規模な土木工事を手がける山﨑建設株式会社様の課題は、BCP上のリスクとなっているファイルサーバーをどう適切に管理するかという点にありました。物理的なサーバーが損壊した場合のリスクへの備えも必要で、バックアップの取得やハードディスクの交換にかかる工数も負担になっていました。
DirectCloudを導入後はBCP上のリスクが解消され、クラウドにデータを統合したことでサーバーの破損リスクも下がっています。バックアップの取得とハードディスクの管理にかかる工数も削減しました。
社外アクセスの制約を解消し共有を円滑化
オンプレミスのファイルサーバーをCentOSとSambaで構築し、自社で保守・運用していたのが、梅酒の製造を手がけるチョーヤ梅酒株式会社様です。社外からアクセスできないことが営業活動のボトルネックとなり、海外拠点や取引先へのファイル共有はPPAPのみで行っていました。
DirectCloudへ移行した後は、システム担当者のサーバー管理工数が減り、社内外を問わず必要なファイルにアクセスできるようになって業務効率が大きく向上しています。共有リンクにより、海外拠点や取引先との共有も円滑になりました。
まとめ
クラウドストレージは、ファイル管理の負担を減らしながら統制を強める手段になります。機器の調達も保守も事業者に委ねられるうえ、場所を選ばずに同じデータへ届き、被災時にもデータが残るためです。一方で、通信環境への依存や設定不備による情報漏えいは避けられず、セキュリティの責任も事業者と分け合う関係にあります。導入の成否は、権限とログの設計と運用ルールをどこまで詰められるかにかかっています。
DirectCloudは、7段階のアクセスレベルと250種類以上の操作ログを備え、ユーザー数無制限の定額制で全社員に展開できます。無料トライアルやお役立ち資料、導入のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

