非構造化データをデータドリブン経営に生かすAIとクラウドストレージ活用

業務を遂行するうえで日々行うファイル共有では、様々なストレージが利用されています。
昨今、場所を問わない働き方を推進する企業では、クラウドストレージが使われていますが、そのクラウドストレージには大きく分けて「ファイルストレージ」、「ブロックストレージ」、「オブジェクトストレージ」の3つの方式が存在します。

ITリテラシーが高くなくても、誰にでもわかりやすいツリー構造を持っている、すなわちファイルサーバーと同じ操作感で利用できるファイルストレージは、今後も利用者拡大が見込まれています。

そこでこのコラムでは、ファイルストレージについて深掘りしていきます。

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1. ファイルサーバーのオンプレミス環境の課題点

これまで、ファイルストレージは、オンプレミス環境でのファイル共有目的で使われてきました。
しかし、オンプレミス環境では近年の著しいビジネス環境の変化に対応できなくなってきているのが、実情です。

ここでは、その理由について解説していきます。

〈 ファイルサーバーのオンプレミス環境の課題点 〉
  • ・セキュリティレベルの低さ
  • ・災害対策が不十分
  • ・クラウドサービスとの連携が困難
  • ・ストレージ容量に上限がある

セキュリティレベルが低い|ランサムウェア感染でサーバーアクセスが不能に

近年最も問題となっているのが、ランサムウェアに代表されるマルウェアの被害です。

被害を被ることで、業務が止まるだけでなく、過去のデータ資産にアクセスができなくなる・信用を失うといった大きな損失につながります。

マルウェアの侵入経路としては、VPN装置のセキュリティホールを狙うものなどが考えられます。

万が一、ランサムウェアが侵入し、ファイルサーバーが感染した場合には、サーバーに接続している端末全体に拡散してしまいます。

災害対策(BCP対策)が不十分

日本は、地震をはじめとする災害リスクが高い国(災害大国)と言われています。

オフィスでは耐震・免振などの対策がとられていない場合、サーバーそのものの破損は免れないだけでなく、仮にビル倒壊を回避できたとしても、電源の多重化が行われていない限り、業務の継続は不可能となります。

IDaaSなどを中心としたクラウドサービスとの連携が難しい

新型コロナウイルス感染拡大を契機に、感染対策を中心とした多様な働き方が推進される中で、場所にとらわれずに業務を継続できるクラウドサービスの普及も加速しました。

クラウドを中心とした業務を続ける際に欠かせないものの1つに、IDaaSのような統合ID管理システムとの連携があります。

セキュリティと利便性の両側面からIDaaSは必須ですが、その連携を行うためにはファイルストレージもクラウド上に移管する必要があります。

ストレージ容量の上限がある

オンプレミス環境のファイルサーバーやNASのストレージ容量を追加したい場合、現場で対応する必要があります。

近年ファイルサイズの肥大化に伴い、気が付けばストレージ容量の不足となっていた、という事態がよくあります。

先回りしてストレージを発注しない限り、容量増加が間に合わず、業務を止めてしまうリスクがあります。
しかし、クラウド上のファイルストレージであれば、そのような心配もなく、迅速な容量追加が可能となります。

2. そもそもクラウドストレージとは?

クラウドストレージには、大きく分けて「ブロックストレージ」、「ファイルストレージ」、「オブジェクトストレージ」と3つの方式が存在します。

その中でもファイルストレージは、データをファイルとして管理するストレージとなります。

データをブロック単位で管理するブロックストレージは、高速なアクセスを実現していますが、構造化データしか扱うことができないため、用途はデータベースなどに限られてしまいます。

また、オブジェクトストレージの場合、オブジェクト単位での扱いが可能ですが、階層構造のようなITリテラシーが高くない方にでもわかりやすいUIは採用されているとは言えない状況です。

ファイルストレージの詳細は、こちらのコラムにまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。

3. ファイルストレージが選ばれる7つの理由

ファイルストレージは階層構造を採用することのデメリットも存在しますが、それを上回る様々なメリットがあります。

ここでは、ファイルストレージが選ばれる理由について、説明していきます。

ファイルサーバーと遜色なく使えるファイルストレージ

ファイルストレージの階層構造は、普段使用しているPCと全く同じ構造をとっており、データとしてファイルが存在し、ファイルを格納するフォルダが存在します。

これらがツリー構造として管理されているため、どこに何があるのかを瞬時に理解できます。

ファイル数があまりにも多い場合、レスポンス低下の原因となるなど、ファイルストレージ特有のデメリットは存在するものの、それを大きく上回る利便性の高さがあり、また、社内研修が不要なことで管理者への問い合わせも減少することから、管理者負担の軽減にもつながります。

操作感覚を変えることなくすぐに活用できる

普段使っているPCやファイルサーバー、NASと操作感覚が似ているので、導入後すぐに使うことができます。

これは自社だけでなく、ファイル共有を頻繁に行う取引先にも大きなメリットがあり、コラボレーションを前提で開発されたクラウドファイルストレージであれば、業務効率を自社と取引先の両方でアップさせることができ、生産性の向上に貢献します。

ファイルのサイロ化が発生しない

オンプレミス環境のファイルサーバー・NASは、管理主体の違いや容量分散の関係などでフロア・拠点ごとにファイルが分散してしまうことがありました。
これにより端末依存を起こし、結果としてデータのサイロ化が発生していました。

クラウドのファイルストレージは、ファイルを集約して保存することができるため、オンプレミス環境のような接続場所に依存することがなく、サイロ化の原因となるファイルの散在が起こりません。
ファイルを一元管理することでサイロ化を発生することなくファイル共有、ストレージの管理が可能です。

常に最新の機能を使い続けられる

オンプレミス環境のファイルサーバー・NASの利用者はあまり気にしていませんが、システム管理者は5年に1度くらいの頻度で発生するサーバー更改に頭を悩ませていました。

更改のたびに予算確保、5年先の従業員数増大、ストレージ消費容量を予測したハードウェアスペックの選定、セキュリティやデータの冗長化構成など、様々な可能性を考えて準備を求められます。

しかし、クラウドストレージの場合はその心配がなく、常に最新スペックのファイルストレージを使い続けられます。

ストレージ全体の使用状況も一元管理でき、システム管理者は本来の業務に集中できます。
また、ハードウェア故障などの心配からは開放される、すなわちマネージドなサービスとなっており、管理者負担を大幅軽減します。

各種クラウドサービス連携が可能

クラウドサービスが人気となっている理由として場所を問わない働き方への対応がありますが、他のクラウドサービスとの連携も導入が進む人気の理由の1つです。

特に、IDaaSとの連携は、複数のクラウドサービスを自社業務に合わせて最適なものを併用するマルチクラウド環境では必須のものとなっています。

クラウドのファイルストレージであれば当然対応しているため、全体的な利便性向上、管理効率アップだけでなく、企業のセキュリティポリシーに沿ったパスワード変更ルールなどを全てのクラウドサービスに適用できることから、セキュリティレベルの底上げにもつながります。

災害対策(BCP対策)にも有効

オンプレミス環境のファイルサーバーの可用性は、電源の多重化やオフィスの耐震・免振構造など、ファシリティのレベルによりファイルサーバーの可用性に大きな影響を受けてしまいます。

地震の多い日本では、これらは非常に難しい問題となっており、仮にテープバックアップなどをしていたとしても、データの復元に時間がかかるため、すぐの業務再開はできないのが現実です。

クラウドサービスであれば、一般的なオフィスビルと比較して、災害リスクの低い場所に設置されたデータセンターで運営されています。
そのうえで、ファイルの分散保存・電源の多重化などの業務を止めないファシリティが標準で提供されています。

オンプレミス環境では多額の費用と専門的な知見が求められたBCP対策も、クラウドファイルストレージであれば、仮に情報システムに関する部署がなくても、最高レベルのファシリティで構築された環境下で業務を行えます。

高いセキュリティレベルの保持が可能

ファイルストレージでは、デバイス認証やIPアドレス制限などのアクセス制限、そして次々と生まれるマルウェアに対応する高いセキュリティを提供しているものが多く存在します。

サービスによっては、ランサムウェア対策まで対応しているものがあり、これは過去のデータ資産を守るだけでなく、業務を止めないという意味でも将来に向けた大きなメリットがあります。

4. 求められるファイルサーバーのクラウドシフト

ここまで上げてきたように、オンプレミス環境で運用されていたファイルサーバーのクラウドシフトは、現場のユーザーやシステム管理者、事業の継続性を重要視する経営者といったいずれの視点からもニーズが存在します。

時流をとらえている企業では、クラウドファイルストレージを活用することは当たり前の事となっています。

ここでは、ファイルストレージの恩恵を最大限受けるためのポイントについて、まとめております。

ファイルストレージのメリットを最大限受けるには

ファイルストレージが選ばれる7つの理由で上げてきたメリットを的確に受けるためには、クラウドファイルストレージの導入が必須です。

現代のビジネスシーンにおいて、オンプレミス環境のファイルサーバーだけで業務を行っていくのは、あえて生産性を低下させている・時流に反している状況と言えます。

完全移行していない場合はメリットも半減するおそれ

ファイルストレージのメリットを最大限生かすためには、オンプレミス環境のファイルサーバーとクラウド上のファイルストレージの併用をするハイブリッド環境ではなく、ファイルストレージをクラウドストレージへ統合することが推奨されます。

ハイブリッド運用であっても、メリットの一部は限定的に受けることができますが、クラウドファイルストレージでの一元管理をすることで、ファイルストレージのメリットを最大限享受することができます。

5. まとめ | ファイルストレージの活用には完全なクラウド移行が必要

ファイルストレージのメリットを十分に活かすためには、クラウドへの移行が必要とお伝えしました。

しかし、ファイルストレージのクラウド移行は、利用者がデータセンター内に入ることができないこともあり、オンプレミス環境で運用されているファイルサーバー同士のデータ移行と比較して様々な課題も発生します。

ノウハウがない中でのクラウド完全移行は、データ移行漏れの発生、移行期間の長期化など様々な課題に直面することとなります。

そのため、クラウドへの移行をサポートしてくれるサービスを選択するとよいでしょう。

弊社が提供する「DirectCloud」では、「DCMigrator」というツールを用いて、データ移行を速やかに行えるようサポートいたします。
クラウドへの移行をご検討している際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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