ファイルサーバーやNASの管理、メール添付やパスワード付きZIPでの受け渡しに限界を感じ、オンラインストレージへの切り替えを考える企業が増えています。ただ、サービスの数は多く、何を基準に選べばよいのか迷う場面もあります。
本記事は、オンラインストレージの仕組みと他の保存・共有手段との違いから、法人利用のメリットと注意点、選定時の確認項目までを解説しています。自社に合うサービスを判断する材料として、参考にしてください。
本記事のサマリ
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オンラインストレージとは、事業者が運用するサーバーにファイルを保存し、社内外と共有できるサービスである
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場所を選ばない業務や運用負担の軽減が進む一方、共有設定やアカウント管理の不備によるリスクは利用企業側に残る
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容量と料金、セキュリティ機能、データの保管場所、移行と操作性の4点で自社の要件を先に決めることが選定の出発点となる
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7段階のアクセス権と250種類以上の操作ログ、ランサムウェア対策を標準で備えるDirectCloudなら、共有と統制を1つの基盤にまとめられる
オンラインストレージとは
オンラインストレージは、インターネット経由でファイルを保存し、社内外の相手と共有できるサービスです。自社に機器を置かずに使えるため、ファイルサーバーやNASの置き換え先として検討する企業が増えました。もっとも、どこまでを事業者が担い、どこからが利用する企業の役割になるのかは、契約前には見えにくいところがあります。
ここでは、データを預かる仕組み、業務で使う主な機能、企業で導入が広がっている背景の3点を順に説明します。
インターネット上にデータを保存する仕組み
オンラインストレージは、自社にサーバー機器を置かず、事業者が運用するサーバー領域を契約して使うサービスです。従業員はWebブラウザや専用アプリ、Windowsのエクスプローラーに似た画面からファイルを読み書きでき、機器やOSの保守は事業者が担います。
クラウドサービスの中では、ソフトウェアを提供するSaaSに位置づけられます。総務省は、事業者と利用企業が責任を分け合う責任共有モデルを示しており、利用者アカウントや公開範囲を含む業務データの設定を、SaaSを使う企業の責任としています。
参照元:総務省|クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドラインの概要
業務で使う主な機能
業務で中心になる機能は、次の6つです。
- ●ファイルの保管:全社のデータを一か所にまとめて置ける
- ●フォルダ単位の共有:部門内でのデータの持ち合いを置き換える
- ●共有リンク:メール添付に代えて取引先へファイルを渡せる
- ●バージョン管理:更新履歴をさかのぼり、前の版に戻せる
- ●検索:出張先からでも目的の資料を探し出せる
- ●ログ:誰がいつ操作したかを記録に残せる
ただし、備わる範囲はサービスやプランごとに異なり、検索の対象やログの保存期間は同じ名前でも中身が違います。機能名だけを見て同等と判断しない方が安全です。
企業で導入が広がっている背景
背景にあるのは、クラウド利用そのものの定着です。総務省が2026年5月29日に公表した「令和7年通信利用動向調査の結果」では、常用雇用者100人以上の企業2,486社のうち、クラウドサービスを一部でも使う企業が83.5%を占めました。用途別では「ファイル保管・データ共有」が73.3%で最も高い項目です。
同じ調査ではテレワークを導入する企業が50.1%に達し、利用理由でも、資産や保守体制を社内に持たずに済む点が上位に入りました。拠点や自宅からの業務と、機器を持たない運用が導入を後押ししています。
オンラインストレージと他の保存・共有手段の違い
オンラインストレージの導入を検討すると、すでに社内で使っている手段との線引きが必要になります。どれもファイルを扱う仕組みですが、データを置く場所も、想定された用途も同じではありません。
以下の表では、代表的な4つの手段について、データの保存場所、主な用途、社外への共有方法の3つの軸でまとめました。
| 手段 | データの保存場所 | 主な用途 | 社外への共有方法 |
| オンラインストレージ(クラウドストレージ) | 事業者が運用するサーバー | 全社のファイル保管と共有 | 共有リンクやゲスト招待 |
| ファイルサーバー | 自社が設置・運用するサーバー | 社内での共有と保管 | 原則として社内利用が前提 |
| NAS | 自社が設置するネットワーク接続型の機器 | 部門や拠点単位の共有と保管 | 原則として社内利用が前提 |
| ファイル転送サービス | 事業者が運用するサーバー | 都度のファイル受け渡し | ダウンロードURLの発行 |
| 手段 |
| オンラインストレージ(クラウドストレージ) |
| データの保存場所 |
| 事業者が運用するサーバー |
| 主な用途 |
| 全社のファイル保管と共有 |
| 社外への共有方法 |
| 共有リンクやゲスト招待 |
| 手段 |
| ファイルサーバー |
| データの保存場所 |
| 自社が設置・運用するサーバー |
| 主な用途 |
| 社内での共有と保管 |
| 社外への共有方法 |
| 原則として社内利用が前提 |
| 手段 |
| NAS |
| データの保存場所 |
| 自社が設置するネットワーク接続型の機器 |
| 主な用途 |
| 部門や拠点単位の共有と保管 |
| 社外への共有方法 |
| 原則として社内利用が前提 |
| 手段 |
| ファイル転送サービス |
| データの保存場所 |
| 事業者が運用するサーバー |
| 主な用途 |
| 都度のファイル受け渡し |
| 社外への共有方法 |
| ダウンロードURLの発行 |
クラウド・クラウドストレージとの違い
クラウドは、サーバーやストレージ、ネットワーク、ソフトウェアといったITの基盤をインターネット経由で使う形態全般を指す言葉です。オンラインストレージは、そのうちデータの保管に特化したサービスであり、クラウドの一部にあたります。
一方「クラウドストレージ」との関係は事情が違います。インターネット上で提供されるサービスをクラウドと呼ぶことから、オンラインストレージはクラウドストレージとも呼ばれ、両者の役割に大きな違いはありません。
呼び方で機能を選び分ける必要はないものの、社内資料や稟議で用語が混ざると議論がずれるため、どちらを使うかは社内で決めておきましょう。
ファイルサーバー・NASとの違い
ファイルサーバーとNASは、機器の購入から設置、保守までを自社が担う仕組みです。オンラインストレージでは事業者が機器を用意して運用するため、担当者は保守作業から離れられます。違いは3つの場面に表れます。容量を増やすとき、自社の機器では追加や入れ替えが必要ですが、オンラインストレージは契約の変更で増やせます。
社外から使うとき、自社の機器は社内利用が前提になる一方、オンラインストレージはインターネット経由で届きます。機器が壊れたときも、自社の機器ではデータを取り出せなくなります。既存の機器を残して併用する構成も選べるため、全面移行だけが答えではありません。
ファイル転送サービスとの違い
ファイル転送サービスは、都度の受け渡しを主な目的とした仕組みです。相手にダウンロード用のURLを伝えて渡し、渡し終えれば役目が終わります。保管と共有を継続する基盤であるオンラインストレージとは、担っている役割が別物です。
転送だけを目的に運用すると、渡したファイルが社外のどこにいくつ残り、誰が開けるのかを後から追えません。オンラインストレージの共有リンクなら、有効期限やパスワード、ダウンロード回数を決めて渡せるため、転送の用途もストレージ側にまとめることが可能です。
法人がオンラインストレージを導入するメリット
オンラインストレージを導入すると、変わるのはファイルの置き場所だけではありません。どこから業務データに触れるか、情報システム部門が何に時間を使うか、取引先とどう資料を渡すかまで、日々の運用が動きます。効果を先に見積もっておくと、稟議で示す材料としても有効です。
法人がオンラインストレージに期待できる主な効果は、働く場所の制約の解消、運用工数の削減、取引先との安全な受け渡し、災害時の備えの4つに集約されます。
場所や端末を問わず業務データを扱える
在宅勤務や出張先、複数の拠点から同じファイルへ届くため、データを持ち出す手間も、拠点ごとに同じ資料を抱える二重管理も減らせます。総務省の「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」では、クラウドを利用する理由として「場所、機器を選ばずに利用できるから」が50.6%で最も多く挙がりました(クラウド利用企業2,136社の複数回答)。
ファイルサーバーへVPN経由で接続する運用では、社外から使うたびに接続の操作を挟みます。オンラインストレージなら、ブラウザからログインするだけで社内と同じ資料に手が届く形です。
参照元:総務省|令和7年 通信利用動向調査報告書(企業編)(第3章 クラウドコンピューティング)
サーバーの運用・管理の負担を減らせる
機器の購入や設置、保守、数年ごとのリプレースといった作業は、オンラインストレージでは発生しません。事業者が用意した環境を使うため、情報システム部門は空いた工数を別の業務に振り向けられます。費用の面でも、機器を買わずに始められるため、まずは一部の部門で試し、必要に応じて容量や対象部門を広げる進め方が可能です。
前掲の総務省の調査でも、クラウドを利用する理由として「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が42.7%で3番目に多く挙がりました。運用を手放せる効果は、担当者が少ない企業ほど大きくなります。
取引先と大容量ファイルを安全に共有できる
取引先とのやり取りは、共有リンクやゲスト招待に置き換えられます。メール添付では容量の上限に引っかかり、パスワード付きZIPではパスワードを別送する手間もかかりますが、リンクを渡す方式ならどちらも起きません。送受信の履歴が残るため、誰にいつどのファイルを渡したのかを後から確認できます。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの2位に「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が挙がりました。取引先が絡む経路を管理下に置くうえで、記録の残る共有方法は現実的な選択肢です。
災害や障害時のデータ保全に備えられる
データを事業者のサーバーに置いておけば、自社拠点が被災しても、社内の機器が壊れても、ファイルは手元に残ります。総務省の調査では、クラウドを利用する理由として「災害時のバックアップとして利用できるから」を38.6%の企業が挙げました。
備えが必要なのは災害だけではありません。バージョン管理を使えば、誤って削除したファイルや上書きしてしまった資料、暗号化の被害を受けたファイルを、以前の状態へ戻せます。日常のミスと非常時の両方に、同じ仕組みで対応できる点が持ち味です。
オンラインストレージのデメリットと注意点
オンラインストレージには、導入すれば自動的に安全になるという性質はありません。データの置き場所が社外へ移っても、設定と運用の責任は利用する企業に残ります。実際に報告されている事故の多くは、サービスそのものの欠陥ではなく、設定や運用の抜けが引き金です。
導入前に押さえておきたい注意点は、大きく分けて、共有設定の不備、アカウントの不正利用、障害や通信環境への依存、既存の業務フローとのずれの4つになります。
共有設定の不備による情報漏洩
公開範囲やアクセス権を誤って設定すると、意図しない相手がファイルを開ける状態になります。共有リンクを有効期限もパスワードも付けずに発行し続ければ、退職した従業員や、担当者が代わった取引先の手元にもリンクが残ったままです。
総務省は「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」の要旨で、設定不備による顧客の個人情報の流出のおそれに至る事案が増加し、社会的に問題となっていると述べました。同じガイドラインには、利用する側が取るべき対策も並んでいます。
参照元:総務省|クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン
アカウントの不正利用と認証の運用負担
利用者が増えるほど、アカウントの発行、変更、削除の管理は煩雑になります。前掲の総務省のガイドラインも、退職者のユーザIDやパスワードを失効させずに放置すると不正に利用されるリスクを挙げました。
IDとパスワードだけの認証では、情報が漏れた時点で第三者もログインできてしまうため、多要素認証や、一度の認証で複数のサービスを使えるシングルサインオンの導入が検討課題になります。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの8位に「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」が入りました。
障害や通信環境への依存
事業者側で障害が起きている間は、ファイルを開けない時間が生まれます。通信が不安定な場所では、アップロードやダウンロードに時間がかかることもあります。障害の発生そのものを利用する企業側で防ぐ手立てはなく、復旧の作業もサービスを提供する事業者に委ねる形です。
だからこそ、障害時の連絡手段、復旧対応の体制、稼働率の公表状況は契約前に確かめておきたい項目になります。止まったときの影響が大きいデータについては、社内のNASなどと併用し、保存先を分けておく判断もあります。
既存の業務フローや運用ルールとの不整合
保存場所やフォルダ構成、命名規則を決めないまま導入すると、部門ごとにデータが散らばり、必要なファイルを探し出せない状態になります。従来の共有方法から手順が変わるため、社内ルールの改定と利用者への周知も欠かせません。
総務省のガイドラインは、利用側に求められる対策として作業規則やマニュアルの整備を挙げ、定期的な見直しとヒューマンエラー対策を組み込むよう示しています。ここまでの注意点を踏まえると、次に確かめるべきは、法人向けサービスに何が備わっているかという点です。
法人向けと個人向けオンラインストレージの違い
同じオンラインストレージでも、個人向けと法人向けでは備わる機能が違います。無料の個人向けサービスは、セキュリティ機能も管理機能も限られ、業務データを預ける前提では作られていません。
従業員が個人のアカウントを業務に使えば、会社が把握できないシャドーITが生まれます。法人向けかどうかを見分ける手がかりは、アクセス権限を組織単位で管理できるか、操作ログを残せるか、業務利用に足る契約とサポートがあるかの3点にあります。
アクセス権限を組織単位で管理できるか
見分ける手がかりの1つは、権限を組織の単位で扱えるかどうかです。部署やグループに対してまとめて権限を割り当てられれば、異動や退職が起きても、対象のグループを直すだけで反映が済みます。
次に確かめたいのが権限の段階で、閲覧だけを許す、ダウンロードまで認める、編集も任せるという区別ができると、同じフォルダを立場の違う相手と共有できます。管理者ごとに使える機能そのものを制限できるかどうかも、確認しておきたい項目です。個人用の保管領域を全社で遮断するといった運用も選べます。
操作ログを残して監査に対応できるか
操作ログは、誰がいつどのファイルを閲覧し、ダウンロードし、削除したかを記録する仕組みです。ログイン履歴やファイルの送信履歴まで残り、必要な期間さかのぼれるかどうかが分かれ目になります。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「内部不正による情報漏えい等」が組織向けの7位に入りました。記録がなければ、事故の後に何が持ち出されたのかを追えません。社内監査や、取引先から届くセキュリティチェックシートへの回答でも、ログの提示を求められます。
業務利用に必要な契約とサポートがあるか
業務で使う以上、止まったときに誰へ連絡するかを決めておく必要があります。問い合わせ窓口の有無、電話やチャットといった手段、夜間や休日の対応可否、日本語で相談できるかは、契約前に確かめておきたい項目です。海外の事業者が提供するサービスには、日本語対応がないものもあります。
利用規約で責任の範囲とデータの扱いを読み、解約したときにデータをどう返してもらい、どう消してもらうのかも押さえておきましょう。個人アカウントでは契約の当事者が従業員個人になるため、退職時に会社がデータを引き取れない事態も起こります。
オンラインストレージ選定時の確認項目
前章で挙げたのは、法人利用に足りているかどうかの最低ラインでした。続いて必要になるのは、自社が何を優先するかという判断です。
サービス名を並べて比べる前に、容量と料金、セキュリティ機能、データの保管場所、移行と操作性の4点について自社の条件を決めておくと、比較の軸がぶれず、優先順位が決まっていれば、機能の多さではなく自社への合致で選べます。
以下に社内で要件を洗い出すとき、そのまま使えるチェックリストを記載しました。ぜひご活用ください。
- ●全社で必要な保存容量と、1ファイルあたりの上限を把握しているか
- ●料金がユーザー数課金か容量課金か、増員時の費用が読めるか
- ●権限設定・多要素認証・IPアドレス制限・ログ保管が標準機能に含まれるか
- ●データを保管するサーバーの所在国と、自社の情報取扱方針が整合しているか
- ●既存のファイルサーバーやNASからの移行手段と所要期間を確認できているか
- ●現場の利用者が追加の教育なしに操作できるか、試用環境で検証できるか
- ●障害時の連絡方法と復旧対応の体制が契約上明示されているか
容量と料金体系が自社の使い方に合うか
必要な容量を左右するのは、扱うファイルの種類です。文書が中心の企業と、画像や動画を日常的に扱う企業とでは、必要な量に桁の差が出ます。現在の使用量と、1年でどれだけ増えたかを先に把握してから容量を決めてください。
料金の形も2通りあり、1ユーザーあたりで課金する方式は人数分だけ支払う仕組みで、従業員が多い企業や社外の関係者を招く運用では総額が膨らみます。容量に応じて課金する定額の方式なら、人数が増えても費用は変わりません。安いプランを選んで容量が足りず、追加費用が発生する例もあります。
必要なセキュリティ機能が標準で備わるか
確認したい機能は、通信と保存データの暗号化、多要素認証、IPアドレス制限、ウイルス対策、操作ログの5つです。同じ機能名でも、標準で使えるものと有料オプションのものがあるため、料金表と機能一覧を並べて見てください。第三者による監査や公的な評価制度を手がかりにする方法もあります。
政府が求める水準を満たすクラウドサービスを評価して登録するISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)は、その1つです。自社の方針で必須とする項目を先に書き出し、機能一覧と突き合わせる順序で進めましょう。
参照元:国家サイバー統括室|政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)
データの保管場所と法令対応を確認できるか
個人データを扱うなら、保管先のサーバーがどこの国にあるかを確かめてください。個人情報保護委員会は、外国にある事業者のクラウドサービスを使い、そのサーバーに個人データを保存する場合、当該外国の制度を把握したうえで安全管理措置を講じる必要があると示しています。
自社の情報取扱方針で国内保管を条件にしているなら、保管地域を明示しているサービスに絞ることになります。電子帳簿保存法のように保存の要件が定められた文書を扱う企業は、対応状況を契約前にあわせて確認してください。
参照元:個人情報保護委員会|「外的環境の把握」について(クラウドサービス利用時の取扱い)
既存環境からの移行と操作性に無理がないか
既存環境からの移行では、既存のフォルダ構成とアクセス権をどこまで引き継げるかが分かれ目です。移行ツールや代行サービスを事業者が用意しているかを事前に調べ、作業を自社で担うのか事業者に任せるのかを決めておいてください。操作性は、試用期間を使って複数の部門に触ってもらうと判断できます。
現場の従業員が追加の教育なしに扱えるかどうかは、管理者だけで試していても見えてきません。全面移行から始めるか、既存の機器と併用しながら進めるかは、対象データと止められない業務の範囲から決まります。
オンラインストレージのタイプ別比較
選定の項目を洗い出したら、次は自社の使い方に近いタイプを見つける番になります。オンラインストレージは、どこに重心を置いて作られているかによって、コラボレーション重視型、ファイルサーバー代替型、ハイブリッド運用型の3つに分けられます。
同じクラウドストレージという呼び方でも、想定された使われ方も強みも同じではありません。3つのタイプについて、特徴と想定される利用場面を下の表にまとめました。
| タイプ | 特徴 | 想定される利用場面 |
| コラボレーション重視型 | 共同編集や共有リンクによる社内外との作業を中心に設計 | 資料の同時編集や取引先とのやりとりが多い業務 |
| ファイルサーバー代替型 | 既存のフォルダ構成やアクセス権を引き継ぎ、エクスプローラーから操作 | 社内ファイルサーバーやNASを廃止して集約する場合 |
| ハイブリッド運用型 | 既存のファイルサーバーやNASを残したままクラウドと併用 | 移行できないデータや業務が残る場合 |
| コラボレーション重視型 | |
| 特徴 | |
| 共同編集や共有リンクによる社内外との作業を中心に設計 | |
| 想定される利用場面 | |
| 資料の同時編集や取引先とのやりとりが多い業務 | |
| ファイルサーバー代替型 | |
| 特徴 | |
| 既存のフォルダ構成やアクセス権を引き継ぎ、エクスプローラーから操作 | |
| 想定される利用場面 | |
| 社内ファイルサーバーやNASを廃止して集約する場合 | |
| ハイブリッド運用型 | |
| 特徴 | |
| 既存のファイルサーバーやNASを残したままクラウドと併用 | |
| 想定される利用場面 | |
| 移行できないデータや業務が残る場合 | |
コラボレーション重視型の特徴
コラボレーション重視型は、同じファイルを複数人で同時に開いて編集する使い方を中心に組み立てられたタイプです。ファイルへのコメント、共有リンクによる社外への受け渡し、ゲストの招待といった機能が前面に出ます。拠点をまたぐプロジェクトや、在宅勤務の従業員を含むチームで資料を持ち寄る場面では、この作りが働きます。
一方で、既存のファイルサーバーのフォルダ構成と権限をそのまま持ち込む用途には、階層の深さや権限の細かさによって向き不向きがあります。次に挙げる代替型と見比べたうえで決めてください。
ファイルサーバー代替型の特徴
ファイルサーバー代替型は、これまでの操作をそのまま残すことに重心を置いたタイプです。既存のフォルダ構成と階層ごとのアクセス権を引き継ぎ、クラウド上の領域をエクスプローラーからネットワークドライブのように扱えます。社内のファイルサーバーやNASを廃止して1か所に集める場合、検討の中心になります。
画面が変わらなければ、現場の従業員に配る手順書も作り直さずに済み、利用者教育の負担を抑えられます。既存データを運ぶ移行ツールを備えているかどうかも、あわせて確認しておきましょう。
ハイブリッド運用型の特徴
ハイブリッド運用型は、既存のファイルサーバーやNASを残したまま、クラウドと並べて使う構成です。すぐに動かせないデータや、止められない業務が残っている企業にとって、段階的な移行の受け皿になります。
ただし、運用する対象が社内とクラウドの二重になる点は見逃せません。どのデータを社内に置き、どれをクラウドへ移すのかというルールを先に決めないと、同じ資料が両方に残ります。自社に近いタイプが見えたら、次は候補となるサービスの機能をどう確かめるかという段階に進みます。
DirectCloudで解決できる課題
ここまで挙げてきた課題は、法人向けクラウドストレージの機能でどこまで手当てできるのでしょうか。DirectCloudは、社外への受け渡し、権限の管理、記録の保管、データの保全、既存環境からの移行という5つの場面それぞれに向けた機能をご用意しています。本記事で扱った課題と、記事内のどこで触れたか、どの機能が受け持つのかを表にまとめましたので、参考にしてください。
| 本記事で扱った課題 | 該当箇所 | 対応する機能 |
| メール添付やパスワード付きZIPによる社外共有の手間と誤送信リスク | 取引先と大容量ファイルを安全に共有できる | 共有リンク、ワンタイムURL、ゲスト招待 |
| 共有設定の不備による情報漏洩 | 共有設定の不備による情報漏洩 | アクセスレベル設定、リンクの使用制限、機能制限 |
| 操作の記録が残らず監査に対応できない | 操作ログを残して監査に対応できるか | 250種類以上の操作ログ、監査オプション |
| ランサムウェアや災害によるデータ消失 | 災害や障害時のデータ保全に備えられる | ランサムウェア対策(バージョン管理)、災害対策・遠隔地バックアップ |
| 既存のファイルサーバーやNASからの移行負担 | 既存環境からの移行と操作性に無理がないか | DirectCloud ドライブ、データ移行サービス、NAS併用構成 |
| メール添付やパスワード付きZIPによる社外共有の手間と誤送信リスク | |
| 該当箇所 | |
| 取引先と大容量ファイルを安全に共有できる | |
| 対応する機能 | |
| 共有リンク、ワンタイムURL、ゲスト招待 | |
| 共有設定の不備による情報漏洩 | |
| 該当箇所 | |
| 共有設定の不備による情報漏洩 | |
| 対応する機能 | |
| アクセスレベル設定、リンクの使用制限、機能制限 | |
| 操作の記録が残らず監査に対応できない | |
| 該当箇所 | |
| 操作ログを残して監査に対応できるか | |
| 対応する機能 | |
| 250種類以上の操作ログ、監査オプション | |
| ランサムウェアや災害によるデータ消失 | |
| 該当箇所 | |
| 災害や障害時のデータ保全に備えられる | |
| 対応する機能 | |
| ランサムウェア対策(バージョン管理)、災害対策・遠隔地バックアップ | |
| 既存のファイルサーバーやNASからの移行負担 | |
| 該当箇所 | |
| 既存環境からの移行と操作性に無理がないか | |
| 対応する機能 | |
| DirectCloud ドライブ、データ移行サービス、NAS併用構成 | |
パスワード付きZIPを使わず共有できる
DirectCloudでは、共有リンクに有効期限とパスワード、ダウンロード回数の制限を設定してファイルをお渡しいただけます。パスワード付きZIPを作る手間も、パスワードを別のメールで送る手順も必要ありません。1つのファイルからワンタイムURLを複数発行することも可能です。ライセンスをお持ちでない取引先には、ゲストIDを発行してご招待いただけます。
招待した相手が扱えるのは指定したフォルダだけで、社内の他の領域には触れられません。リンクの生成画面からはダウンロード履歴を確認でき、誰がいつ受け取ったかの記録が残ります。
参照元:DirectCloud|スマートで便利なファイル共有リンク
権限と共有制限で誤共有を防げる
共有フォルダには、ユーザーまたはグループの単位でアクセスレベルを設定いただけます。オーナー、編集者、ダウンローダー、閲覧者、アップローダーなど7段階に分かれており、共有フォルダ以下6階層まで業務や部署ごとに割り当てられます。ダウンロードやファイルリンクの作成を外した「編集者-(マイナス)」も、その段階の1つです。
ファイルリンクの作成や添付ファイル送信といった持ち出しの機能そのものも、グループ単位で許可と遮断を切り替えられます。モバイル機器では、他のアプリで開く操作を制限し、端末にキャッシュを残さない運用も選べます。
参照元:DirectCloud|きめ細やかなアクセスレベルでファイルの持ち出し制限
操作ログで利用状況を把握できる
ログインやファイルのアップロード、ダウンロード、プレビュー、送信を含む250種類以上の操作を記録し、管理画面からご確認いただけます。期間やユーザーIDで絞り込めるほか、絞り込んだ結果はCSVで書き出せます。オプションのDirectCloud 監査をお使いいただくと、退職者や管理者の操作を含めた記録の保管にも対応可能です。
社内監査や、取引先から届くセキュリティ確認の依頼を受けた場面でも、記録をもとに回答できます。管理者のログ記録は一部の契約プランでのご提供となるため、必要な範囲は事前にご確認ください。
参照元:DirectCloud|業界随一250種類以上のログ監視
ランサムウェアや災害時の消失に備えられる
ランサムウェア対策は、全プランに標準で提供しています。ファイルの改ざんを検知して遮断し、万一暗号化された場合もバージョン管理から被害前の状態へ復元いただけます。誤って削除したファイルや、上書きしてしまった資料を戻すときにも同じ仕組みが働きます。
バックアップを取ることよりも、戻せる状態を保てるかどうかが分かれ目です。拠点の被災に備える災害対策・遠隔地バックアップは、オプションサービスとしてご用意しています。標準機能とオプションを分けて見積もると、必要な範囲を判断しやすくなります。
参照元:DirectCloud|DirectCloud ランサムウェア対策
ファイルサーバーやNASから移行できる
既存のフォルダ構成とアクセス権を保ったままの移行に対応しています。移行ツールのDCMigratorと、当社が作業を担うデータ移行サービスをご用意しており、社内に人手を割けない場合もご相談いただけます。
移行後はDirectCloud ドライブを使い、エクスプローラーからネットワークドライブと同じ感覚で扱えるため、現場の手順を大きく変える必要がありません。既存のファイルサーバーやNASを残した併用構成も選べます。移行の前には、フォルダ構成の見直しと権限の棚卸しをおすすめしています。
DirectCloud導入によって改善した事例
機能の一覧だけでは、自社に当てはめたときの姿が見えにくいものです。続いて、DirectCloudをご利用いただいている3法人の事例を紹介します。
部署ごとに増えたNASの管理、ファイルサーバーの損壊リスク、機能が足りなくなった共有ツールという、いずれも本記事で挙げてきた課題です。導入前と導入後を、課題と成果の対でまとめました。規模も業種も異なりますが、出発点はどれも身近な運用の詰まりでした。
部署ごとのNAS管理から全社共有へ移行
株式会社北海道新聞社様は、部署ごとにNASを運用され、本社だけで20台以上を抱えていらっしゃいました。管理にかかる工数が負担だったうえ、各NASにアクセスできるのは所属部署の社員だけで、部署をまたぐ社内のファイル共有は煩雑になりがちでした。テレワークの際は、VPN接続を経由してNASを使う必要もありました。
DirectCloudの導入後は、NASの管理工数がゼロになっています。社内のファイル共有はクラウドストレージで完結し、インターネット環境があれば場所を問わずアクセスできる状態も実現しました。
サーバー損壊リスクをクラウド統合で解消
山﨑建設株式会社様は、事業継続計画(BCP)上のリスクとなっていたファイルサーバーを、どう適切に管理するかという課題をお持ちでした。物理的なサーバーが損壊した場合への備えのほか、バックアップの取得やハードディスクの交換にかかる工数も負担になっていました。
DirectCloudへ移行された後は、BCP上のリスクが解消されています。クラウドへデータを統合したことでサーバーの破損リスクが下がり、バックアップの取得とハードディスクの管理にかけていた工数も削減されました。
機能不足の共有ツールを全社基盤へ刷新
社会福祉法人恩賜財団済生会様では、独自に開発されたファイル共有ツールを長くお使いでしたが、容量の上限や操作性といった機能面の課題が出ていました。法人全体で使えるファイル共有の基盤を築くこと、メール添付でのデータのやりとりを見直すことも課題でした。
DirectCloud導入後は、従来のファイル共有ツールからクラウドストレージへの移行を実現され、DirectCloudを法人全体で利用できるファイル共有基盤としてご活用いただいています。共有リンク機能により、パスワード付きZIPを別送する運用からの脱却も実現しました。
まとめ
オンラインストレージは、ファイルの置き場所を変えるだけの仕組みではありません。働く場所の制約、サーバー運用の負担、取引先との受け渡し、災害時の備えまでを一度に見直せる基盤です。一方で、共有設定の不備やアカウント管理の甘さといったリスクは、利用する企業の側に残ります。だからこそ、容量と料金、セキュリティ機能、保管場所、移行と操作性の4点で自社の要件を先に決めることが、導入後の後悔を避ける近道です。
DirectCloudは、ユーザー数無制限の定額制で、7段階のアクセス権と250種類以上の操作ログ、ランサムウェア対策を標準でご用意しています。自社の運用に合うかどうかは、14日間の無料トライアルでお確かめいただけます。

