NASとクラウドストレージの違いと選び方|費用比較と移行手順を解説

NASのリプレースや移行を任された情報システム担当者が最初に迷うのが、機器を買い替えるのか、それともクラウドへ移すのかという判断です。老朽化や容量の逼迫だけでなく、テレワーク時の社外アクセスの遅さやランサムウェアへの備えまで重なると、NASを続ける前提そのものを見直す時期に来ています。

本記事では、NASとクラウドを5つの観点で比較したうえで、5年間の費用の見積もり方、継続・全面移行・バックアップ併用・同期併用という4つの運用パターンの選び分け、移行前の確認事項までを解説します。

本記事のサマリ

  • NASとクラウドは、接続経路・保管場所・共有範囲・運用の担い手という4点で性質が異なる
  • 費用・社外アクセス・セキュリティなど5つの観点で見比べ、自社の使い方に合う側を選ぶ
  • 継続・全面移行・バックアップ併用・同期併用の4パターンから、条件に合う運用を選べる
  • 既存NASを残すDirectCloudなら、VPNなしのアクセスと定額運用を両立できる

NASとクラウドストレージの違い

NAS(Network Attached Storage)とクラウドストレージは、複数の社員がファイルを保管して共有するという目的では共通しています。分かれ目になるのは、機器を誰が所有するか、データがどこに置かれるか、どの経路でアクセスするかという3点です。

ここでは、NASの仕組みと、クラウドストレージの提供形態、両者を分ける4つの相違点を、比較表を交えて説明します。

NASとクラウドの接続経路の違い
NASとクラウドの接続経路の違い

NASの仕組みと社内での使われ方

NASは、社内のネットワーク(LAN)につないで使うデータ保存・管理用の機器で、部署をまたいだファイル共有の土台になっています。外付けHDDがケーブルで1台の端末につながるのに対し、NASはネットワーク経由で接続するため、複数の端末から同時に読み書きできます。

運用面では、複数のHDDにデータを分散して保存するRAIDで1台の故障に備え、共有フォルダごとに部署や役職の単位で閲覧・書き込みの権限を設けます。ただし調達は部署や拠点の単位で進みやすく、1社のなかに複数台が並び立つ状態になりがちです。

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【2024年版】NASの進化がすごい!データ保護性能・可用性を求めて進化を続ける法人向けNASの特徴を解説

クラウドストレージの仕組みと提供形態

クラウドストレージは、事業者がデータセンターに置く保存領域をインターネット経由で借りて使うサービスです。多くはSaaS(Software as a Service)として提供され、総務省のテレワークセキュリティガイドライン(第5版)では、SaaSの場合にOSの管理まで事業者の責任範囲とされています。

機器の調達や保守は利用企業の手を離れます。総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年にクラウドサービスを利用する企業は80.6%に達し、用途別では「ファイル保管・データ共有」が上位を占めます。

参照元:総務省|令和7年版 情報通信白書|クラウドサービス

参照元:総務省|テレワークセキュリティガイドライン(第5版)

NASとクラウドを分ける4つの違い

NASとクラウドストレージの性質の差は、接続経路、データの保管場所、共有できる範囲、運用の担い手という4点に集約されます。

下表には、それぞれの違いをまとめました。

比較項目 NAS クラウドストレージ
接続経路 社内LAN(社外からはVPNなどの仕組みが必要) インターネット
データの保管場所 社内に設置した機器内のディスク 事業者のデータセンター
共有できる範囲 原則として社内 社内・社外の双方
運用の担い手 自社(設置・設定・保守・更新) 事業者(利用者は設定と権限管理を担う)
接続経路
NAS
社内LAN(社外からはVPNなどの仕組みが必要)
クラウドストレージ
インターネット
データの保管場所
NAS
社内に設置した機器内のディスク
クラウドストレージ
事業者のデータセンター
共有できる範囲
NAS
原則として社内
クラウドストレージ
社内・社外の双方
運用の担い手
NAS
自社(設置・設定・保守・更新)
クラウドストレージ
事業者(利用者は設定と権限管理を担う)

NASとクラウドを5つの観点で比較

NASとクラウドストレージのどちらが自社に合うかは、費用構造、社外アクセス、セキュリティの責任、運用負担、拡張性という5つの観点で見ると判断しやすくなります。

どちらが優れているかを決める話ではなく、利用人数や働き方、管理体制といった条件によって有利な側が入れ替わるためです。

まず下表で5つの観点ごとの違いを一覧し、続く各項目で、どの条件のときにどちらが向くのかを掘り下げます。

評価観点 NAS クラウドストレージ
費用構造 初期に機器費用が発生し、以降は電気代・保守費が中心 初期費用は小さく、月額または年額の料金が継続して発生
社外アクセス VPNなど別途の仕組みが必要 インターネット経由で直接アクセスできる
セキュリティの責任 機器・設定・更新まで自社が負う 基盤は事業者、アカウントと権限は利用者が負う
運用負担 設定・故障対応・機器更新を自社で実施 基盤の保守は事業者が実施
拡張性 ディスク増設や機器追加が必要 契約変更で容量・ユーザー数を調整
費用構造
NAS
初期に機器費用が発生し、以降は電気代・保守費が中心
クラウドストレージ
初期費用は小さく、月額または年額の料金が継続して発生
社外アクセス
NAS
VPNなど別途の仕組みが必要
クラウドストレージ
インターネット経由で直接アクセスできる
セキュリティの責任
NAS
機器・設定・更新まで自社が負う
クラウドストレージ
基盤は事業者、アカウントと権限は利用者が負う
運用負担
NAS
設定・故障対応・機器更新を自社で実施
クラウドストレージ
基盤の保守は事業者が実施
拡張性
NAS
ディスク増設や機器追加が必要
クラウドストレージ
契約変更で容量・ユーザー数を調整

導入費用と運用費用の構造

NASは初期投資型で、機器本体とハードディスクの購入費が最初にまとまって発生し、その後は電気代と保守費が中心になります。対するクラウドストレージは継続課金型で、初期費用はほぼかからない代わりに、月額か年額の料金が使い続けるかぎりかかります。

データ量が増えると、NASはディスク増設、クラウドは上位プランの変更で費用が動きます。人数の増減が響くかは料金体系次第で、1ユーザーあたりの課金なら人数に比例して伸び、ユーザー数無制限の定額制なら月額は動きません。

社外アクセスとテレワークへの対応

NASを社外から使うには、VPN方式のような別途の仕組みが必要です。総務省のテレワークセキュリティガイドライン(第5版)はテレワークの構成を7種類に分け、端末からオフィスネットワークへVPN接続してサーバーにつなぐ形をVPN方式としています。

通信がオフィスを経由し、同時接続が増えると回線帯域と機器の処理能力が体感速度を左右します。クラウドサービス方式はオフィスネットワークを経由せず直接つなぐ構成のため、拠点の分散や在宅勤務に向きます。方式が変われば求められるセキュリティ上の考慮事項も変わります。

参照元:総務省|テレワークセキュリティガイドライン(第5版)

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情報セキュリティと事業継続性

守る対象を誰が担うのかが、NASとクラウドストレージでは異なります。NASは自社内に機器を置くため外部からの攻撃を受けにくい半面、盗難や火災、地震による破損への備えも、ファームウェアの更新も自社が担います。

クラウドストレージでは基盤と災害への対策を事業者が担う一方、IDとパスワードが流出すれば社外からでもアクセスされるため、アカウントと権限の管理は利用者に残ります。責任の境界はサービスごとに違うため、誰が何を担うのかを契約時に切り分けないと対策が抜け落ちます。脅威の中身は次章で扱います。

管理者の運用負担

NASでは、機器をネットワークにつないだあとの初期設定、管理者とユーザーの登録、共有フォルダの作成と権限設定が自社の業務になります。稼働後も、バックアップの確認、ファームウェアの更新、故障時のディスク交換、停電時のシャットダウン対応が続きます。

クラウドストレージではサーバーのOS更新やセキュリティパッチの適用、ディスクの故障対応を事業者が担うため、管理者の仕事はアカウントと権限の管理に絞られます。情報システムの専任者を置かない企業ほど、この差が人件費と障害時の復旧の速さに直結します。

容量とユーザー数の拡張性

容量を増やすときの手間は、NASとクラウドストレージで違います。NASで容量を広げるにはディスクの増設か機器の入れ替えが必要になり、製品の手配と設置作業に時間と工数がかかります。クラウドストレージは管理画面から利用プランを変更するだけで容量を広げられ、ユーザー数の増減にも追従しやすくなっています。

ただし契約容量を超えると追加料金が発生したり、上位プランへの変更が必要になったりします。過去1年でデータがどれだけ増えたかを計算し、今後3〜5年で必要になる容量を見積もったうえで判断してください。

NAS運用を続ける企業が直面する課題

NASを使い続けていると、機器そのものの性能ではなく、運用体制と外部環境の変化から課題が生まれます。台数が増え、担当者が入れ替わり、攻撃の手口が変わっていくなかで、導入時には想定していなかった穴が開くためです。

NAS運用でとくに表面化しやすい、機器故障と災害によるデータ消失、NASを狙うランサムウェア、拠点ごとの分散による統制の弱まりという3つの課題を順に説明します。

NAS運用を続ける企業が直面する3つの課題
NAS運用を続ける企業が直面する3つの課題

機器故障と災害によるデータ消失

RAIDは冗長化の仕組みであり、バックアップの代わりにはなりません。複数のHDDにデータを分散して保存するため1台の故障には耐えますが、方式ごとに復元できる故障台数の上限があり、本体そのものが失われた場合は取り戻せないからです。

NASを1か所にまとめて置いていると、火災や水害、地震で本体が破損したとき、そばに置いたバックアップ用の機器も一緒に失われます。冗長化とバックアップを別の対策として組み、遠隔地にコピーを持つ構えが事業継続の前提になります。

NASを狙うランサムウェア

ランサムウェアは侵入後に社内を探索し、重要データとバックアップの場所を突き止めてから暗号化します。共有データもまとめて暗号化されるため、社内LANにつながるNASが被害の範囲に入ります。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、ランサム攻撃が組織向け脅威の1位に11年連続で選ばれました。警察庁によると、2025年の被害報告件数は226件で、規模別では中小企業が約6割を占めます。バックアップをNASと同じネットワーク上に置けば、一緒に暗号化されます。

参照元:IPA|情報セキュリティ10大脅威 2026

参照元:警察庁|サイバー空間をめぐる脅威の情勢等

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拠点ごとのNAS分散による統制の弱まり

部門や拠点ごとにNASを導入していくと、どこに何が保管されているのかを全社で把握できなくなります。機器が分かれた分だけデータが散在し、必要な資料を探す手間が増えるうえ、同じファイルが別々に保存される状態も生まれるためです。

管理していた担当者が異動や退職でいなくなると、誰にどの権限を与えたのか、その経緯をたどれない状態も起こります。取得できる操作ログの範囲も機器や標準機能によって異なるため、誰がいつファイルを扱ったのかを全社でそろえて確認することが難しくなります。

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NASとクラウドの費用を5年間で比較する

NASとクラウドストレージの費用は、単年の支出ではなく、NASの更新周期に合わせた5年程度の期間で見比べる必要があります。NASの寿命は5年ほどとされており、機器の買い替えまで含めないと総額が見えないためです。

どちらが安いかという一般論ではなく、自社の条件で費目を積み上げてください。NAS側とクラウド側それぞれで計上する費目を挙げたうえで、5年分の発生額を書き込む比較表の作り方を説明します。

NAS側で計上する費目

NAS側では、最初に機器本体とハードディスクの購入費が立ち、稼働後は保守契約費と電気代が積み上がります。ここに、故障時のディスク交換、容量が足りなくなったときの増設、5年ほどとされる寿命に合わせた買い替えの費用を重ねます。

社外からアクセスする構成なら、VPN機器と通信回線の費用、災害に備えて別に用意するバックアップ先の費用も必要です。さらに、初期設定や障害対応、機器更改に情報システム部門が費やす時間を、担当者の人件費に換算して計上してください。

クラウド側で計上する費目

クラウド側で軸になるのは、月額または年額の利用料です。1ユーザーあたりで課金される場合は在籍人数分が毎月かかり、ユーザー数無制限の定額制なら人数が増えても総額は変わらないため、料金体系を確かめたうえで5年分を並べてください。

契約容量を超えたときの追加料金と、上位プランへ切り替える条件も事前に確認します。導入時には、既存のNASからデータを移す費用と、社内へ使い方を説明し教育する工数が発生します。全社が同時に使って帯域が足りなければ、回線を増強する費用も含めます。

比較表に落とし込む手順

洗い出した費目は、下表の形にそろえてから金額を入れると比べやすくなります。費目ごとに発生区分を書き分けて並べ、NAS側とクラウド側それぞれの欄に、1年目から5年目までの発生額を書き込みます。

費目 発生区分 NAS クラウドストレージ
機器・ディスクの購入 初期 計上する 計上しない
利用料 継続 計上しない 計上する
保守・障害対応 継続 自社の工数または保守契約 事業者が実施
容量の追加 都度 ディスク増設または機器追加 プラン変更
社外アクセスの基盤 初期・継続 VPN機器・回線 サービスに含まれる範囲を確認
データ移行 初期 機器更改のたびに発生 導入時に発生
費目
機器・ディスクの購入
発生区分
初期
NAS
計上する
クラウドストレージ
計上しない
費目
利用料
発生区分
継続
NAS
計上しない
クラウドストレージ
計上する
費目
保守・障害対応
発生区分
継続
NAS
自社の工数または保守契約
クラウドストレージ
事業者が実施
費目
容量の追加
発生区分
都度
NAS
ディスク増設または機器追加
クラウドストレージ
プラン変更
費目
社外アクセスの基盤
発生区分
初期・継続
NAS
VPN機器・回線
クラウドストレージ
サービスに含まれる範囲を確認
費目
データ移行
発生区分
初期
NAS
機器更改のたびに発生
クラウドストレージ
導入時に発生

記入のときは、機器購入やデータ移行のように一度だけ発生する費用と、利用料や保守のように毎年発生する費用を、行を分けて扱います。

合計額が出たら、機器が止まっている間のダウンタイムや復旧までに要する時間など、金額に置き換えにくい要素も表の下に書き添えてください。

クラウド化で新たに生じる検討事項

NAS運用の課題がクラウド化で解消される一方、移行後は新しく管理する対象が生まれます。機器を自社で抱える形から、事業者のサービスを継続して借りる形に変わるため、確認すべき相手も内容も入れ替わるからです。どれも移行を見送る理由にはなりません。

回線への依存、継続課金と契約更新、解約時のデータ引き上げという3点は、サービスを選ぶ段階で条件を確かめ、契約書の記載を読み合わせておけば、移行前のうちに対処できます。

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回線とネットワークへの依存

クラウドストレージの利用は、インターネット接続に支えられています。社内の回線や接続に障害が起きればファイルへ手が届かなくなり、通信環境が悪いだけでも作業効率は落ちます。全社が同時に使う時間帯には通信が集中してボトルネックが生まれ、体感速度と業務の進み方を左右します。

依存度を下げる手当てとしては、頻繁に使うデータを手元にも置いて必要なときに使える状態にしておく方法や、回線や機材を複数用意して並列に動かす冗長化があります。

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継続課金と契約更新の見通し

クラウド化すると、機器を資産として持つ形から、毎年決まった費用が出ていく形へ予算の立て方が変わります。契約前に確かめたいのは、契約容量を超えたときに追加料金が発生するのか、上位プランへの変更が求められるのかという条件です。

料金改定があった場合に費用がどう変わるかも、契約書で読み合わせます。もう1つは、サービスの稼働率、障害の発生頻度、障害時の回復目標時間といったサービス品質保証が示されているかどうかです。障害でデータが失われた場合にどこまでが事業者の責任なのかは、利用規約で読み取れます。

解約・乗り換え時のデータ引き上げ

利用を終える場面の条件も、契約前の確認対象に入ります。過年度分を含む全データを返却してもらえるか、社内のパソコンへダウンロードできるかを確認し、返却されるデータの形式がほかのサービスと互換性を持つか、移行先に一括で取り込む機能があるかも見ておきます。

返却後に事業者側へ残るデータが完全に消去され、再利用されないと保証されているかも確認事項です。データ量が大きいほど引き上げには時間がかかるため、期限も見積もっておきましょう。次は自社に合う運用パターンを選びます。

参照元:IPA|中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(付録7 クラウドサービス安全利用の手引き)

NASとクラウドの4つの運用パターン

NASかクラウドかは、どちらか一方を選ぶ二者択一ではありません。現行のNASを継続する、クラウドへ全面移行する、クラウドをバックアップ先に使う、NASとクラウドを同期して併用するという4つのパターンがあり、自社の使い方によって適した形が変わります。

下表に4パターンの概要と向いている状況をまとめました。自社がどれに当てはまるかは、続く4項目に挙げた条件と照らし合わせると絞り込めます。

NASとクラウドの4つの運用パターン
NASとクラウドの4つの運用パターン
運用パターン 概要 向いている状況
NASを継続 現行のNAS運用を維持する 利用が社内に閉じており、更新予算と保守体制を確保できる
クラウドへ全面移行 NASを廃止し、データをクラウドに集約する 拠点が分散し、社外アクセスと全社統制を優先したい
クラウドをバックアップ先に NASを主として使い、複製をクラウドに保管する 現行の操作性を変えずに災害・ランサムウェア対策を強化したい
NASとクラウドを同期 同じフォルダ構成で双方を同期して併用する 社内は高速アクセス、社外はVPNなしのアクセスを両立したい
NASを継続
概要
現行のNAS運用を維持する
向いている状況
利用が社内に閉じており、更新予算と保守体制を確保できる
クラウドへ全面移行
概要
NASを廃止し、データをクラウドに集約する
向いている状況
拠点が分散し、社外アクセスと全社統制を優先したい
クラウドをバックアップ先に
概要
NASを主として使い、複製をクラウドに保管する
向いている状況
現行の操作性を変えずに災害・ランサムウェア対策を強化したい
NASとクラウドを同期
概要
同じフォルダ構成で双方を同期して併用する
向いている状況
社内は高速アクセス、社外はVPNなしのアクセスを両立したい

NASの運用を継続する場合の条件

現行のNAS運用を続ける判断が成り立つのは、ファイルのやり取りが社内で完結している場合です。インターネットを介さずに運用でき、拠点や利用者が限られた環境ならNASは使いやすく、社外や取引先との共有頻度が低いほど、クラウドへ移す必要性は薄くなります。

ただし機器は経年で劣化するため、買い替えの予算とメーカーの保守サービス、故障時にディスク交換や停電対応を担える要員が欠かせません。災害に備えた遠隔地のバックアップを別に用意できることも条件です。

クラウドへ全面移行する場合の条件

NASを廃止してクラウドに集約する判断は、社外からのアクセスが日常になっている場合に向きます。拠点が分かれ在宅勤務が広がると、VPN経由のアクセスに不満や障害が出やすく、拠点ごとに置いたNASへデータが散らばるためです。

権限とログを全社でそろえて管理したい要望があるなら、データを一元管理できるクラウドが答えになります。移行前には社内の総データ量と年間の増加量を確かめ、全社が同時に使っても足りる回線帯域を用意できるかを見ておきます。

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NASのバックアップ先にクラウドを使う場合の条件

操作のしかたを変えずにデータ消失のリスクだけを下げたいなら、NASを主として使い、複製をクラウドに置く形が合います。データ管理には、コピーを3つ持ち、2つ以上の媒体に保存し、1つは遠隔に保存するという3-2-1ルールがあり、NASとクラウドの組み合わせはこの考え方に沿います。

攻撃者は復旧を妨げるためバックアップも暗号化するので、保管先がNASと同じネットワークから書き換えられない状態かを確かめてください。複製を置いただけで安心せず、実際に復元できるかを定期的に試します。

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NASとクラウドを同期して併用する場合の条件

社内では大容量ファイルを高速に扱いながら、社外からはVPNを介さずアクセスしたい場合は、NASとクラウドを同じフォルダ構成で同期する形が合います。同期の向きは用途によって選び分けます。

共同利用ではNASとクラウドの変更を互いに反映する双方向同期、バックアップではNASからクラウドへ一方向に送る片方向同期が適します。導入前には、使っているNASが同期の対象になるかどうか、環境の確認を受けておく必要があります。

NASのクラウド化を進める手順と確認事項

運用パターンを決めたあとも、移行作業に取りかかる前に詰めておくことが残ります。いきなり全データを移すのではなく、容量や権限、現場の使い方を先に確かめておかないと、作業に入ってから移したデータを戻す手間が生じるためです。

データ量と回線環境、アクセス権限とフォルダ構成、移行後の運用ルールという3つを先に固めておけば、着手後の手戻りを減らせます。

移行前に確認するデータ量と回線環境

移行に取りかかる前に、まず社内のデータを棚卸しします。NASに保存されているデータの種類と容量、アクセス頻度を把握したうえで、総データ量と年間の増加量、長期間更新されていないデータがどれだけあるかを数えてください。

全社が同時にアクセスしたときの回線帯域も確かめ、足りなければ回線やルーターの増強を考えます。1フォルダあたりに置けるファイル数のように、サービス側で決まっている上限も先に確認しましょう。下の項目は、移行前のチェックリストとして使えますので活用してください。

  • 移行対象の総データ量と年間の増加量
  • 拠点ごとの回線帯域と同時アクセス数
  • 1フォルダあたりのファイル数の上限
  • ファイル名やパスの文字数・使用できる文字
  • 長期間更新されていないデータの取り扱い方針
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アクセス権限とフォルダ構成の引き継ぎ

現行NASの共有フォルダと権限設定を洗い出し、そのまま移すか作り直すかを決めます。既存のフォルダ構成やアクセス権限をそのまま引き継げるサービスなら、社員の操作方法や業務フローを大きく変えずに済むためです。

洗い出しの段階では、退職した担当者に残ったままの権限、兼務によって広がった権限、部署改編で不要になった権限を見直します。社内のユーザー情報を一元管理するActive Directoryなど、既存の認証基盤と連携できるかも確かめておきます。

移行後の運用ルールとユーザー教育

運用ルールは、移行と同じタイミングで決めておきます。保存場所の命名規則、共有リンクを発行するときの取り決め、社外へ共有する際の承認の流れが定まっていないと、誤った操作や不適切なアクセスが起きやすくなるためです。

操作方法が変わる範囲も事前に洗い出し、説明会やマニュアルを用意して社員へ周知します。移行はアクセス頻度の高いデータから段階的に進め、直後の一定期間は旧環境を残し、必要なら戻せる状態を保ってください。

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NAS運用の課題を解決するDirectCloud

DirectCloudは、当社が提供している法人向けのクラウドストレージです。ここまで挙げてきたNAS運用の課題は、機器を入れ替えるのではなく、既存のNASを残したままクラウドと組み合わせる形でも減らせます。

本文で取り上げた5つの課題と、それが生じる背景、対応する機能の関係を下表にまとめました。社外アクセス、データの退避、操作ログ、費用という4つの面は、NASを廃止しなくても改善できます。

本文で挙げた課題 課題が生じる要因 DirectCloudの対応機能
社外アクセスが遅い VPN経由でのアクセスに帯域が集中する クラウド経由のアクセス、DirectCloud ドライブ
機器故障・災害によるデータ消失 データが1か所の機器に集中している 国内データセンターへの分散保存、自動バックアップ
ランサムウェアによる暗号化 バックアップが同一ネットワーク上にある ランサムウェア対策機能、世代管理
権限のブラックボックス化 機器ごとに権限とログが分かれている きめ細かなアクセス権設定、250種類以上の操作ログ
利用人数の増加による費用増 ユーザー単位で課金が積み上がる ユーザー数無制限の定額制
社外アクセスが遅い
課題が生じる要因
VPN経由でのアクセスに帯域が集中する
DirectCloudの対応機能
クラウド経由のアクセス、DirectCloud ドライブ
機器故障・災害によるデータ消失
課題が生じる要因
データが1か所の機器に集中している
DirectCloudの対応機能
国内データセンターへの分散保存、自動バックアップ
ランサムウェアによる暗号化
課題が生じる要因
バックアップが同一ネットワーク上にある
DirectCloudの対応機能
ランサムウェア対策機能、世代管理
権限のブラックボックス化
課題が生じる要因
機器ごとに権限とログが分かれている
DirectCloudの対応機能
きめ細かなアクセス権設定、250種類以上の操作ログ
利用人数の増加による費用増
課題が生じる要因
ユーザー単位で課金が積み上がる
DirectCloudの対応機能
ユーザー数無制限の定額制
関連記事
【サービス説明書】Directcloud Gateway

社外からVPNなしで安全にアクセスできる

DirectCloud Gatewayをお使いいただくと、既存のNASを残したまま、社内はNAS経由の高速アクセス、社外はDirectCloudへの直接アクセスという構成をとれます。

社内で扱う大容量ファイルは従来どおりの操作レスポンスを保ち、外出先や在宅勤務の社員、取引先はクラウド側へつなぐため、VPNを経由しません。テレワークの利用が重なるとVPNは帯域が逼迫して遅くなりますが、その影響を受けずに済みます。VPN機器の構築と運用にかかる負荷も軽くなります。

参照元:DirectCloud|DirectCloud Gateway

NASのデータを自動でクラウドへ退避できる

NASに保存したデータは、DirectCloudへ自動で退避できます。バックアップは自動で走るため、これまで手作業に割いていた時間はもう必要ありません。機器の故障や災害でNASが使えなくなっても、クラウド側に残ったファイルへ切り替えれば業務を続けられる状態です。

オプションの災害対策・遠隔地バックアップなら、復旧用のDRサイトに国内の大阪リージョンを選べるので、遠隔地にコピーを置くという要件も満たせます。

参照元:DirectCloud|災害対策・遠隔地バックアップ

操作ログでファイルの取り扱いを把握できる

DirectCloudで取得できる操作ログは、管理者の操作ログを含めて250種類以上です。ログイン、ファイルの送受信、ファイルリンクの作成といった操作が記録され、誰がいつどのファイルを扱ったかを管理画面からたどれます。

共有フォルダのアクセス権はユーザーまたはグループの単位で設定でき、権限も7段階から選べるため、必要のない範囲まで見られる心配はありません。拠点ごとの機器に分かれていた権限とログが1つの管理画面に集まり、内部統制を一本化できます。

参照元:DirectCloud|ハイスペックのセキュリティ

ユーザー数無制限でコストを見通せる

DirectCloudには、ユーザー数無制限の定額制のプランをご用意しています。社員が増えても月額費用は変わらないため、部門単位の試験導入ではなく全社での利用を前提に見積もれます。1ユーザーあたりの課金では人数の増減がそのまま総額に響きますが、定額制なら5年先までの月額が読めるので、その心配はありません。

前章で作成した5年間の費用比較表のクラウド欄に定額の月額を並べれば、NAS側の費目と突き合わせた試算ができます。

参照元:DirectCloud|サービスプラン・料金

NASからクラウドへ移行した企業の事例

ここまで挙げてきた課題を、実際にクラウド移行で解決した3社を紹介します。いずれもDirectCloudを導入した企業で、業種はサービス業、不動産管理、電気設備工事と分かれています。

部署ごとのNAS管理、機器故障とブラックボックス化した権限、支店からの接続切れとコスト増という、それぞれ抱えていた課題と、移行後に得られた成果を紹介します。

部署ごとのNAS管理から解放され全社共有を実現

株式会社北海道新聞社様は、20台以上のNASを部署ごとに使い分けており、その管理工数が負担になっていました。社員は所属部署以外のNASにアクセスできず、社内でのファイル共有も煩雑で、テレワークのときはVPN接続でNASにつなぐ必要がありました。

DirectCloudへ移行した結果、NASの管理工数はゼロになり、社内のファイル共有はクラウドストレージだけで完結するようになりました。インターネット環境さえあれば、場所を問わずファイルにアクセスできる体制も整っています。

機器故障の不安を解消し内部統制まで強化

トーセイ・コミュニティ株式会社は、ファイルサーバーの故障によるデータ消失を懸念していました。前任者の退職で権限設定はブラックボックス化し、標準機能では詳細な操作ログも取れていませんでした。

DirectCloudへ移行した結果、ファイルは複数拠点に分散して保存されるようになり、故障によるデータ消失の不安とバックアップの手間から解放されました。権限はユーザーごとに把握でき、250種類以上の操作ログを取得できるため、内部統制も強化できています。

支店からの接続切れを解消しコストも抑制

浅海電気株式会社では、支店の事務所から本社のファイルサーバーへアクセスする際、接続切れが頻発していました。容量制限のため一部のファイルは支店ごとのNASに置くしかなく、管理者の負担が増していたうえ、約450名分のユーザー登録によるコスト増も心配の種でした。

DirectCloudへ移行した結果、場所を問わずファイルへアクセスできるようになり、3TBのストレージ領域を確保してデータを移し、管理を一本化しました。ユーザー数無制限の定額制も、コスト面での後押しになっています。

まとめ

NASとクラウドのどちらを選ぶかは、両者の違いを費用・社外アクセス・セキュリティ・運用負担・拡張性という観点で見比べ、自社の使い方に照らして判断することが欠かせません。機器の老朽化やランサムウェア、拠点ごとの分散といった課題は、NASの継続・全面移行・バックアップ併用・同期併用という4つのパターンから自社に合う形を選ぶことで解消へ近づきます。5年間の費用を積み上げて比べ、移行前の確認事項までそろえれば、迷いなく次の一歩を踏み出せるでしょう。

既存のNASを残したままクラウドと組み合わせられるDirectCloudなら、社外アクセスからコスト管理までまとめて見直せます。DirectCloudは、社内はNASの高速アクセスを保ちながら社外はVPNなしで安全につなげる構成に対応し、ユーザー数無制限の定額制で人数が増えても費用の見通しが立ちます。250種類以上の操作ログで内部統制を強めながら、既存の運用を大きく変えずに段階的な移行を進められる点も、多くの企業に選ばれている理由です。まずは資料をダウンロードのうえ、自社に合った移行の形をご検討ください。

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