クラウドでのファイル共有とは?法人向けの共有方法の使い分けと選び方

取引先への大容量ファイルの受け渡しや在宅勤務先からの資料の閲覧が増え、メール添付や社内のファイルサーバーだけでは共有に手間がかかる場面が出てきています。クラウドに切り替えれば場所を問わず同じファイルを扱えますが、相手に合わない方法を選ぶと、設定の誤りから情報漏えいを招くおそれもあります。
本記事では、法人がクラウドでファイルを共有する方法の使い分けと、メリット・注意点、サービスの選び方、切り替えの進め方を解説します。
本記事のサマリ
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クラウドでのファイル共有は、クラウド上のファイルを権限を与えた社内外の相手と扱える仕組みである
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共有フォルダ・共有リンク・ゲスト招待のどれが適するかは、共有する相手と期間で決まる
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設定の誤りやシャドーITを防ぐには、権限設計と共有ルールを定めてから段階的に移行することが欠かせない
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DirectCloudなら、共有リンクやゲスト招待、250種類以上の操作ログで共有と統制を両立できる
目次- 1. クラウドでのファイル共有とは
- 2. クラウドでファイルを共有する方法と使い分け
- 3. クラウドでファイル共有するメリット
- 4. クラウドでのファイル共有の注意点
- 5. 法人向けクラウド共有サービスの選び方
- 6. クラウド共有へ切り替える進め方
- 7. DirectCloudで安全性を高めるファイル共有
- 8. クラウドでのファイル共有を改善した導入事例
- 9. よくある質問
- 10. まとめ
クラウドでのファイル共有とは
クラウドでのファイル共有とは、インターネット上のストレージ(クラウドストレージ)にファイルを保存し、権限を与えた社内外の相手が閲覧・編集・ダウンロードできるようにする仕組みです。本記事は法人での利用を前提とし、個人の写真共有などは扱いません。
利用する企業は端末とWebブラウザ、インターネット接続を用意すればよく、サーバーの調達や保守はサービス事業者が担います。
従来の方法との違いは、データの置き場所と社外の相手との共有のしやすさの2点で、下表では仕組みの違いだけを比べました。表中のNASはネットワーク接続型の記憶装置、VPNは社外から社内ネットワーク(LAN)へ安全に通信する仕組みを指します。
| 共有方法 | データの置き場所 | 社外からのアクセス | 社外の相手との共有 |
| ファイルサーバー・NAS(社内LAN) | 社内に設置した機器 | VPNなどの接続環境が別途必要 | 原則として別の手段(メール添付など)を併用 |
| メール添付 | 送信者・受信者それぞれのメール環境 | メールを受信できる環境から確認 | 添付容量の上限内で送付し、送るたびに複製が作られる |
| クラウドストレージ | サービス事業者のデータセンター | インターネット経由でアクセス | 共有リンクやゲスト招待などで共有 |
総務省が実施し2026年5月に公表した「令和7年通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%で、利用内容では「ファイル保管・データ共有」が73.3%と最も多くなっています。調査対象は、公務を除く産業の常用雇用者100人以上の企業です。
クラウドでの共有方法は1種類ではありません。共有する相手が社内か社外か、共有が継続的か一時的かによって適した方法が異なるため、次の章ではその使い分けを説明します。
クラウドでファイルを共有する方法と使い分け
クラウドストレージでの共有には複数の形態があり、共有する相手・期間・与える権限によって適した形態が異なります。下表は、「誰と、どのくらいの期間共有するか」を軸に3つの形態を比べたものです。各形態の使い方と注意点は、この後の見出しで説明します。
なお、エクスプローラーからドライブのように操作する方式(ドライブ型)は共有フォルダを使うための利用方式にあたり、3つの形態とは別の扱いです。
| 共有形態 | 主な共有相手 | 共有する期間 | 権限の考え方 |
| 共有フォルダ | 社内の部門・プロジェクトのメンバー | 継続的 | フォルダ単位でアクセス権を付与する |
| 共有リンク | アカウントを持たない社外の相手 | 一時的 | 有効期限やパスワードを設定して渡す |
| ゲスト招待 | 継続して取引する社外の相手 | 案件・プロジェクトの期間中 | ゲストに必要最小限の権限を付与する |
機能の名称や設定できる項目はサービスごとに違うため、導入するサービスの仕様を事前に確かめておきましょう。
社内の共有フォルダをクラウドで運用する
部門やプロジェクトごとにクラウド上の共有フォルダを作り、メンバーにアクセス権を付与すれば、常時共有できます。たとえば経理部が月次決算の資料フォルダを作り、部員だけに編集を許す形です。社内のファイルサーバーの共有フォルダをクラウドへ移すと、インターネットにつながる場所なら拠点や在宅勤務先からも同じフォルダを開けます。
アクセス権は「閲覧のみ」「編集可」など必要な範囲に絞り、異動や退職のたびに見直してください。総務省の「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」も、退職者のIDの放置が不正利用や情報漏えいを招くと指摘しています。
共有フォルダをドライブとして使う
ドライブ型は、共有相手を増やす形態ではなく、クラウド上の共有フォルダを操作するための利用方式の一つです。共有フォルダをパソコンのエクスプローラー(MacではFinder)にドライブとして表示し、ローカルのファイルと同じ操作で開いたり保存したりします。フォルダのアクセス権にはクラウド上の設定がそのまま適用されるので、ブラウザから開く場合と権限は変わりません。
総務部の担当者なら、規程集のフォルダをこれまでどおりたどって開けるため、操作を覚え直す負担が小さく、切り替え後の定着にもつながります。
社外への一時的な受け渡しは共有リンクを使う
ファイルやフォルダのリンク(URL)を発行し、メールなどで相手に伝える共有方法が、共有リンクです。相手がアカウントを持っていなくても受け取れるので、取引先への資料送付や、メールに添付できない大容量ファイルの受け渡しに使われています。
リンクには有効期限やパスワードを設定でき、受け取れる期間と相手を限定できます。図面を建築事務所へ渡すときも、期限を1週間にすれば、その後はURLが出回っても開けません。パスワード付きZIPをメールで送る方法(PPAP)をやめ、共有リンクへ切り替えた企業もあります。
継続的な取引先はゲスト招待で招く
案件の期間中に社外の相手と双方がファイルを置き合うなら、ゲスト招待が適しています。社外の相手にゲスト用のアカウント(ID)を発行し、特定のフォルダに招いて共同作業する使い方で、都度渡す共有リンクとは役割が違います。翻訳業者と製品マニュアルを仕上げる間、原稿と訳文を同じフォルダでやり取りする運用が一例です。
前述の総務省のガイドラインは、ゲストの権限を必要最小限にするよう求めています。案件が終わったら招待を解除し、社内の利用者が独断で社外の人を招かないよう、管理者の承認を経る設定も検討しましょう。
クラウドでファイル共有するメリット
クラウドでファイルを共有すると、日々の共有の手間と、管理・運用の負担の両方が軽くなります。企業が得られる主なメリットは、次の4つです。
- ●場所や端末を問わず社内外と共有できる
- ●メールで送れない大容量ファイルも共有できる
- ●最新版を一か所で管理できる
- ●サーバーの保守負担と災害リスクを減らせる
最初の3つは共有の手間を、4つ目は管理・運用の負担を減らすメリットです。各メリットの中身と裏づけとなる調査結果を、続く見出しで順に説明します。
場所や端末を問わず社内外と共有できる
インターネットに接続できれば、オフィスでも在宅勤務先でも外出先でも、同じファイルにアクセスできます。最初の見出しで挙げた総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを利用する企業が挙げた理由(複数回答)は、「場所、機器を選ばずに利用できるから」が50.7%で最多でした。
たとえば在宅勤務中の人事担当者も、本社と同じ就業規則のファイルを自宅から更新可能です。テレワークや複数拠点での業務でも、ファイルの置き場所を気にせず作業を進められます。
メールで送れない大容量ファイルも共有できる
メール添付には容量の上限があるため、図面や動画、大量の資料を送るときは、ファイルを分割して何通にも分けたり、USBメモリなどの記録媒体で受け渡したりする手間が生じやすくなります。クラウドなら、ファイルをストレージに置いたまま、リンクやフォルダの共有で相手に渡せます。
最初の見出しの表のとおり、メール添付では送るたびに複製が作られるのに対し、クラウドで相手が開くのは元の同じファイルです。そのため、送信者と受信者の双方で保管するファイルが増えずに済みます。
最新版を一か所で管理できる
関係者全員がクラウド上の同じファイルを参照するため、メールで送り合う運用で起きがちな「どれが最新版かわからない」状態を防げます。たとえば企画書の修正版をメールで3回やり取りした後、受信箱に残るのは版の違う3つの添付ファイルです。クラウドの一か所に置けば、各自が手元に複製を持つ必要がなく、更新のたびに他部署へ問い合わせる手間も省けます。
サービスによっては、更新履歴を自動で保存し、誤って上書きした際に過去の版へ戻せるバージョン管理機能も備えています。
サーバーの保守負担と災害リスクを減らせる
自社でファイルサーバーを運用すると、機器の調達や保守、容量の増設を社内で担わなければなりません。クラウドならこれらを事業者に任せられ、データも事業者のデータセンターに保存されるため、自社拠点の被災や機器故障の影響を受けにくくなります。
前述の総務省の調査でも、クラウドを使う理由として「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が42.8%、「災害時のバックアップとして利用できるから」が38.7%と上位に入りました。ただし重要なデータはサービスのバックアップ機能や別の保管先でも確保しておきましょう。
クラウドでのファイル共有の注意点
クラウドでのファイル共有には、通信環境への依存と、設定や運用の不備による情報漏えいのリスクがあります。事前に把握しておきたい注意点は、次の3つです。
- ●通信環境に業務が左右される
- ●共有設定の誤りが情報漏えいにつながる
- ●ルールがないと共有範囲を管理できなくなる
どれも多くはサービスの選び方と社内ルールの決め方で抑えられるため、導入前の検討が欠かせません。各注意点の中身を続く見出しで説明し、その後の章でサービスを選ぶ際のポイントを解説します。
通信環境に業務が左右される
クラウドはインターネット経由で利用するため、回線が遅い環境や不安定な環境ではファイルの表示やアップロードに時間がかかり、通信が途切れればファイル自体を開けなくなることもあります。回線速度の遅い支店で数百MBの動画ファイルを開く場面が、その一例です。
前述の総務省のガイドラインは、クラウド利用時の通信の確保は原則として利用者側の責任だとしています。予備の回線を用意する冗長化などを、導入前に検討しておきましょう。
共有設定の誤りが情報漏えいにつながる
共有リンクの公開範囲やフォルダのアクセス権を誤って設定すると、意図しない相手に機密情報が渡るおそれがあります。前述の総務省のガイドラインは、セキュリティ情報を提供する公的機関、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況 2021年」を引用しています。この届出状況では、不正アクセスの原因別比率で設定不備がおよそ17.7%を占め、第3位でした。IPAが2026年3月に公表した2025年版の届出状況でも、実際に被害があった不正アクセスの原因のうち「設定の不備」は7件で3番目に多く、引き続き主要な原因の一つです。
初期設定のまま使い始めず、共有リンクの有効期限やパスワードの既定値、フォルダの権限を導入時に確かめてください。
参照元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況[2025年(1月~12月)]
ルールがないと共有範囲を管理できなくなる
部署や個人が企業の許可していないクラウドサービスを使い始めると、企業が把握していない場所に業務データが散らばります。この状態をシャドーITと呼び、総務省のガイドラインも、従業員が個人で使うクラウドに機密情報を置き、公開設定のままにしていた事例を挙げています。
誰が・どのファイルを・誰と共有しているかを管理部門が把握できるよう、利用するサービスと用途を定めましょう。同ガイドラインは、事業部門が独自にクラウドを使う場合のルールを明確にし、文書化するよう求めています。
法人向けクラウド共有サービスの選び方
法人向けのクラウド共有サービスは、課金の単位と容量の決まり方によって、大きく3つのタイプに分かれます。
下表では、それぞれのタイプを課金の単位・容量の決まり方・サービス例で比べました。
| タイプ | 課金の単位 | 容量の決まり方 | 例 |
| 業務アプリ一体型(ユーザー数課金) | 利用者1人ごと | 利用者数×1人あたりの容量 | Google Workspace、Microsoft 365 |
| ストレージ単体型(容量課金) | 容量プランごと(ユーザー数無制限) | 契約したプランの容量 | DirectCloud(スタンダードほか) |
| ストレージ単体型(ユーザー数課金) | 利用者1人ごと | サービスにより異なる(利用者数に比例、チーム全体で共有、上限なしなど) | Box、Dropbox、DirectCloud Team Business |
※2026年10月時点で各社の公式サイトに掲載された情報をもとに、課金の単位と容量の決まり方で本記事が分類したものです。同じサービスでもプランによって異なる場合があります。
そのうえで選定時に確かめたいのが、「共有の目的と相手」「権限管理とセキュリティ機能」「課金体系と利用人数」の3つの観点です。料金や容量は改定されることがあるため、最新の条件は各サービスの公式サイトで確認してください。サービスごとの機能や料金の比較は、関連記事で紹介しています。
参照元:Google Workspace 管理者ヘルプ|Business editions
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速
参照元:DirectCloud│AI搭載の法人向けクラウドストレージ Team Business
参照元:Microsoft|Microsoft OneDrive: プランと価格を比較
参照元:Dropbox|Dropbox Business のアカウント、料金プランなどについて
参照元:Box|料金プラン
共有の目的と相手で選ぶ
社内の常時共有が中心なのか、社外への受け渡しや取引先との共同作業が多いのかによって、重視すべき機能は変わります。部門内で資料を使い回すなら共有フォルダの権限設定、社外へ頻繁に送るなら共有リンクの期限とパスワード、取引先と継続して作業するならゲスト招待の管理機能が確認の対象です。
扱う情報の重要度も把握しておきましょう。個人情報や営業秘密が含まれる場合は、社外のサービスに置いてよいデータかを社内規程と照らし、置けない場合は規程の見直しや対策の検討が必要です。
参照元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版 付録「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(2026年6月)
権限管理とセキュリティ機能で選ぶ
権限管理では、フォルダ単位のアクセス権、多要素認証(2つ以上の要素を組み合わせて本人確認する方式)、IPアドレスや端末による接続元の制限に対応しているかを確認します。誰が・いつ・何をしたかを残す操作ログも、不正の発見や原因調査に欠かせません。
事業者の信頼性は、第三者認証の取得状況から判断できます。クラウド固有の管理策を対象とするISMSクラウドセキュリティ認証や、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)が代表例です。データの保存先の国・地域も、契約前に確かめてください。
参照元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版 付録「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(2026年6月)
課金体系と利用人数で選ぶ
課金体系には、利用者数に応じて料金が増える方式と、容量で料金が決まり利用者数は無制限の方式があります。全従業員や社外のゲストまで利用者が広がるなら人数の増加で総額がどう変わるかを、少人数のチームで使うなら使わない容量に払う分がないかを試算しましょう。どちらが割安かは、利用人数と容量の組み合わせしだいです。
比較の際は、現在の人数だけでなく数年後の人数とデータ量も見込んでおきます。ユーザー数課金なら増員のたびに、容量課金なら保存量がプランの上限に近づくたびに費用が上がるため、数年分の総額で比べると判断を誤りにくくなります。
3つの観点で選定時に確かめたい項目を、チェックリストとして下表にまとめました。
| 観点 | 確認すること |
| 共有の目的と相手 | 社内の常時共有・社外への受け渡し・取引先との共同作業のどれが中心か、社外に置けないデータがあるか |
| 権限管理とセキュリティ | フォルダ単位の権限、多要素認証、IPアドレス・端末による接続元の制限、操作ログ、第三者認証、データの保存先 |
| 課金体系と利用人数 | ユーザー数課金か容量課金か、数年後の人数とデータ量を見込んだ総額 |
クラウド共有へ切り替える進め方
ファイルサーバーやメール添付を中心とした共有からクラウドへ切り替える流れは、大きく3つの段階に分かれます。1つ目は共有の現状とデータの棚卸し、2つ目はフォルダ構成とアクセス権の設計、3つ目は共有ルールの策定と段階的な移行です。
全社のデータを一度に移すと、権限の設定誤りや操作の混乱が一斉に起こりかねません。部門や用途を区切り、少しずつ移すのが基本となります。
共有の現状とデータを棚卸しする
最初に行うのは、どの部署が、どのファイルを、誰と、どの方法で共有しているかの洗い出しです。総務部は契約書を取引先へメール添付で送り、製造部は作業手順書を社内のファイルサーバーで共有しているというように一覧にすると、移行後に使う共有形態の見当もつきます。
そのうえで、データを仕分けて移行対象を決めましょう。使われていない古いファイルや、複数の部署が重複して保管している資料は移さず、前の章で触れた社外に置けないデータも除外しておきます。
フォルダ構成とアクセス権を設計する
フォルダは部門やプロジェクトの単位で構成を決め、権限は上位のフォルダでまとめて設定すると、ファイルごとに付ける手間と設定漏れを抑えられます。社外と共有するフォルダは社内用と分けて作り、ゲストを招待できる範囲もそのフォルダに限定しましょう。取引先を誤って社内用フォルダへ招く事態も防げます。
あわせて管理担当者を決め、権限の付与や変更の申請と承認の流れも定めておきます。IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」も、管理担当者の選任と、承認権限を管理職に与える例を示しています。
参照元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版 付録「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(2026年6月)
共有ルールを定めて段階的に移行する
移行前に、共有リンクの有効期限やパスワードの既定値、社外共有を上長が承認する手順、退職・異動時に権限を止める手順といった共有ルールを決めます。ルールが固まったら、まず一部の部門で試行して問題点を見つけ、反映してから全社へ広げましょう。たとえば人事部で1か月使ってみると、手順書に書くべき迷いやすい操作が具体的にわかります。
全社展開の際は、利用者向けの手順書と問い合わせ窓口を用意しておくと、誤共有などの操作ミスを減らせます。
DirectCloudで安全性を高めるファイル共有
法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」は、株式会社ダイレクトクラウドが提供する、社内外とのファイル共有とデータ管理のためのサービスです。
ここまでの章で取り上げた課題に対し、DirectCloudのどの機能で応えられるのかを下表にまとめました。
| 本文で扱った課題 | DirectCloudの対応機能 | 関連する章 |
| 社外への一時的な受け渡し | 共有リンク(有効期間・パスワード設定、受取フォルダ) | クラウドでファイルを共有する方法 |
| 取引先との継続的な共同作業 | ゲスト招待(アクセスレベル設定、管理者承認) | クラウドでファイルを共有する方法 |
| 既存の操作感の維持 | DirectCloud ドライブ(エクスプローラー・Finderで操作) | クラウドでファイルを共有する方法 |
| 共有設定の誤りと統制 | アクセス権限、デバイス認証、IPアドレス制限、操作ログ | 注意点 |
| 課金体系と利用人数 | ユーザー数無制限の定額プラン、Team Business | 選び方 |
参照元:DirectCloud|社内外との安全なファイル共有・外部との共同作業を実現
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速
共有リンクで期限とパスワードを設定して社外へ渡せる
DirectCloudの共有リンクには有効期間とパスワードを設定でき、受信者がダウンロードできる期間を限定できます。取引先から資料を受け取る際は、こちらが指定したフォルダへ相手が直接ファイルを送れる受取フォルダが便利です。見積用の図面を複数の協力企業から集める場合も、メールで届いた添付ファイルをまとめ直す手間が省けます。
大容量ファイルにも対応しており、アップロードできる1ファイルの上限はプランごとに異なり、スタンダードプランの10GBからエンタープライズプランの60GBまでです。
参照元:DirectCloud|社内外との安全なファイル共有・外部との共同作業を実現
ゲスト招待で取引先と共同作業できる
ゲスト招待では、DirectCloudのライセンスを持たない社外の利用者にゲストIDを発行し、指定したフォルダへのアクセスを許可します。ゲストにもアクセスレベルを設定できるため、閲覧だけを許す相手と編集まで任せる相手を分けて運用できます。アドバンスド以上のプランでは、社内の利用者がゲストを招待する前に、管理者または副管理者の承認を経るよう設定することも可能です。
ユーザー数無制限の定額プランなら、取引先やグループ企業をゲストとして招いても料金は変わりません。
参照元:DirectCloud|社内外との安全なファイル共有・外部との共同作業を実現
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速
ドライブでいつもの操作のまま共有できる
DirectCloud ドライブをインストールすると、エクスプローラー(MacではFinder)にクラウド上のフォルダが表示され、パソコン上のファイルと同じように開く・保存・移動といった操作ができます。Windowsではフォルダごとにドライブ文字(ドライブレター)を割り当てられるため、ファイルサーバーと同じフォルダパスのまま使い続けられます。
DirectCloud ドライブは排他制御にも対応しています。複数人が同じファイルを同時に書き換えないよう制御するため、共同で使うファイルでもデータの整合性を保てます。
参照元:DirectCloud|社内外との安全なファイル共有・外部との共同作業を実現
権限設定と操作ログで共有を統制できる
DirectCloudは、管理者が許可した端末以外からの接続を制限するデバイス認証、指定外のIPアドレスからのアクセスを遮断するIPアドレス制限、IDプロバイダー(社内の認証基盤)経由でログインするシングルサインオン(SSO)に対応しています。
操作ログは250種類以上を取得でき、誰が・いつ・何をしたかを後から追跡できます。共有リンクで送信するファイルはアップロード時に自動でウイルス検知が行われ、過去1年間の送受信履歴を期間やユーザーIDで絞り込んで検索する機能も備えています。
参照元:DirectCloud|社内外との安全なファイル共有・外部との共同作業を実現
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速
人数や規模に合わせてプランを選べる
ユーザー数無制限で容量別に選べる定額プランは、スタンダード(500GB)の月額44,000円(2026年10月時点)から用意しています。全従業員や取引先まで利用者を広げても、ユーザー数によって料金は増えません。
少人数のチーム向けには、1ユーザーあたり月額980円(税別)で、10ユーザーから10ユーザー単位で利用できるユーザー数課金制の「Team Business」もあります。過去5年以内に有料プランを利用したお客様は申し込めないなどの条件があるため、詳細は公式情報でご確認ください。
クラウドでのファイル共有を改善した導入事例
共有リンク、ゲスト招待、全社で使う共有基盤という本記事で取り上げた共有形態を活用し、ファイル共有を改善した事例を3つ紹介します。自社と近い課題を持つ企業の取り組みを、切り替えの検討材料としてご覧ください。
部門ごとのツールを統合し社外との大容量共有を円滑化
人材育成支援や手帳事業を手がける株式会社日本能率協会マネジメントセンター様では、手帳やeラーニング用の動画など、大容量のデータを扱っています。導入前は社外と大容量ファイルを円滑に受け渡すツールがなく、定期的に共有する取引先と密にやり取りする方法も求めていました。部門ごとに異なるクラウドストレージの統合も課題でした。
導入後は共有リンクで大容量ファイルをスムーズに共有でき、ゲスト招待で取引先や顧客ともシームレスにやり取りできるようになりました。事例公開時点では、全社のファイル共有ツールとしてご利用いただいています。
業種:サービス業/従業員数:573名(連結、2024年6月時点)
メール添付を脱却し協力会社と直接ファイルをやり取り
分析計の専門メーカーである京都電子工業株式会社様では、メール添付によるファイル共有が中心で、大容量ファイルを送れないことが開発の妨げになっていました。外部の協力企業は社内の基幹システムにアクセスできず、共同作業を円滑に進める仕組みも必要でした。
DirectCloud導入後は共有リンクの活用で脱PPAPを実現しています。協力企業の従業員をゲストとして招待したことで、外部の担当者も作業報告書などのファイルを直接アップロード・ダウンロードできるようになりました。
業種:製造業/従業員数:357名(2023年3月時点)
取引先や店舗との大容量共有を整えシャドーITを防止
全国に店舗を持つ携帯電話販売代理店の兼松コミュニケーションズ株式会社様では、メールの添付容量を1ファイル20MBに設定しており、画像や動画など20MBを超えるファイルを送れませんでした。取引先とのファイル授受を円滑にしたい一方で、従業員が許可されていないクラウドストレージを使うシャドーITも起きていました。
導入後、DirectCloudは社内のファイル共有ツールとしてすぐに浸透し、シャドーITの防止にもつながりました。コロナ禍を機に広がったテレワークでも、ファイル共有の手段として活用されています。
業種:卸売業・小売業/従業員数:2,363名(2024年4月時点)
よくある質問
クラウドでのファイル共有を検討する際によく寄せられる4つの疑問にお答えします。
無料のクラウドストレージを業務の共有に使ってよい?
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個人で契約した無料サービスに業務データを置くと、企業はアクセス権や共有状況を把握できません。注意点の章で挙げた総務省ガイドラインの事例のように、公開設定のまま放置されるおそれもあります。
業務で使うかどうかは、まず企業として利用を認めるサービスを定め、扱う情報の重要度と社内規程に照らして判断しましょう。顧客名簿のように社外に置けない情報を扱う業務であれば、無料サービスは利用の対象から外します。 Excelなどをクラウド上で同時編集できる?
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共同編集機能を持つサービスなら、クラウド上のExcelなどのファイルを複数人で同時に編集できます。Excelの旧来の「共有ブック」は制限が多く、共同編集に置き換えられたとMicrosoftのサポートページに記載されています。
DirectCloudでは、Word・Excel・PowerPointのファイルをブラウザやDirectCloud ドライブ内で編集でき、複数ユーザーでの同時編集にはオプションサービス「DirectCloud Office」(同時編集は最大5名)を用意しています。利用条件は公式サイトでご確認ください。
参照元:Microsoft サポート|共有ブック機能について
参照元:DirectCloud|社内外との安全なファイル共有・外部との共同作業を実現
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速 ファイルサーバーとクラウドは併用できる?
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ファイルサーバーやNASをすべてクラウドへ移す必要はありません。社内の大容量データや社外に出せないデータは社内に残し、社外共有やテレワークで使うデータをクラウドに置く運用は、ハイブリッドと呼ばれます。クラウドストレージの種類にも、パブリック・プライベート・ハイブリッドの区分があります。
併用する際は、データの置き場所の基準と、同じファイルを両方で更新しないためのルールを決めておきましょう。DirectCloudでも、NASとクラウドを連携するオプション「DirectCloud Gateway」を提供しています。
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速 クラウドで共有したデータの管理責任は誰にある?
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クラウドのセキュリティは、事業者と利用者が責任を分担する「責任共有モデル」という考え方で運用されます。総務省のガイドラインによると、ファイル共有サービスのようなSaaS(インターネット経由で利用するソフトウェア)では、アプリケーションの動作に関わる設定は事業者の責任です。一方、利用者のアカウントや業務データに関わる設定は利用者が責任を負います。
責任の範囲はサービスや契約条件によって異なるため、事業者の免責事項は契約前に確認しておく必要があります。
参照元:総務省|「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」(案)に対する意見募集の結果と「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」及び「ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示指針(ASP・SaaS編)第3版」 の公表
まとめ
クラウドでのファイル共有は、場所や相手を問わず安全に情報をやり取りするための基盤です。テレワークや社外との協業が広がり、メール添付やファイルサーバーだけでは容量や管理の面で限界が見えてきた今、共有の相手と期間に応じて方法を使い分けることが欠かせません。目的に合うサービスを選び、権限設計と共有ルールを整えたうえで段階的に移行すれば、共有の手間と管理の負担を同時に減らせます。
DirectCloudは、有効期間とパスワードを設定できる共有リンクやゲスト招待、エクスプローラーから操作できるドライブ、250種類以上の操作ログを備えた法人向けクラウドストレージです。社内外のファイル共有を統制の効いた基盤へ切り替えたい企業のご担当者様は、ぜひ導入をご検討ください。
※記載の会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。




