社内サーバーのクラウド化はするべき?判断基準と移行先・費用を解説

サーバーの老朽化や保守の負担、社外からのアクセスへの対応をきっかけに、社内サーバーのクラウド化を検討する企業が増えています。一方で、費用が本当に下がるのか、どのサーバーをどこへ移せばよいのかが見えにくく、判断に迷う担当者も少なくありません。
本記事では、クラウド化のメリット・デメリットから、サーバーの役割別の移行先、総額で比べる費用の考え方、自社に合うかを見極める判断基準と進め方までを解説します。
本記事のサマリ
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社内サーバーのクラウド化は、自社の物理サーバーをクラウド事業者のサービスへ切り替え、保守や設備の負担を手放す取り組みである
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社外からの利用や災害への備えが強まる一方、利用料の継続的な発生や、IDとアクセス権の管理責任は利用企業側に残る
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費用は機器代と利用料だけでなく、人件費や移行費用を含めた5年程度の総額で比べ、OSのサポート終了などの時期を機に判断する必要がある
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結論として、費用削減だけが目的ならクラウド化は慎重に判断し、社外からの利用、災害への備え、サーバー管理人材の不足のいずれかに当てはまる場合に検討する価値が高い
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ユーザー数無制限の料金体系、従来に近い操作感、NASとの併用を備えたDirectCloudなら、ファイルサーバーから段階的にクラウド化を進められる
目次- 1. 社内サーバーのクラウド化とは
- 2. 社内サーバーをクラウド化するメリット
- 3. クラウド化のデメリットと注意点
- 4. 社内サーバーをクラウド化する方法と移行先
- 5. クラウド化にかかる費用の考え方
- 6. クラウド化すべきかを判断する基準
- 7. 社内サーバーをクラウド化する進め方
- 8. ファイルサーバーのクラウド化ならDirectCloud
- 9. 社内サーバーをクラウド化した企業の事例
- 10. よくある質問
- 11. まとめ
社内サーバーのクラウド化とは
社内サーバーのクラウド化とは、自社内に置いた物理サーバーを手放し、クラウド事業者のサーバーやサービスへ切り替えることを指します。社内サーバーはファイル共有やメール、ID管理を担うActive Directory、業務システムなど複数の役割を持つため、企業は役割ごとに移行先を選んで進めます。
クラウドも、事業者のデータセンター(サーバーを集約した大規模施設)にあるサーバーをインターネット経由で使う仕組みです。違いは、設備を所有し運用するのが自社か事業者かにあります。
費用や運用の担い手、災害時のデータ保全など6項目で、社内サーバー(オンプレミス)とクラウドの違いを比べると、下表のとおりです。
| 比較項目 | 社内サーバー(オンプレミス) | クラウド |
| 初期費用 | サーバー機器の購入・構築費用がかかる | 機器の購入が不要で、利用料として支払う |
| 運用・保守の担い手 | 自社または保守委託先が担う | 基盤部分はクラウド事業者が担う |
| 容量・性能の拡張 | 機器の増設や買い替えが必要 | 契約内容の変更で増減できる |
| 社外からの利用 | VPNなどの接続環境を自社で用意する | インターネット環境があれば利用できる |
| カスタマイズ性 | 自社の要件に合わせて構築できる | サービス仕様の範囲内に限られる |
| 災害時のデータ保全 | 遠隔地バックアップを自社で用意する | 事業者のデータセンターで保管される |
社内サーバーをクラウド化するメリット
情報システム部門は、社内サーバーの監視や更新、機器の買い替え、データのバックアップから、社外からの接続に使うVPN(外部からの不正アクセスを防ぎながら社内に接続する仕組み)の管理まで担ってきました。クラウド化すると、こうした業務の多くをクラウド事業者が引き受けるため、担当者の仕事の中身と企業の支出のかたちが変わります。
主なメリットは、次の4つです。
- ●保守・運用の負担を手放せる
- ●設備投資を利用料に置き換えられる
- ●社外や拠点から同じ環境を使える
- ●災害時も業務データを守りやすい
以下では、それぞれについて解説します。
保守・運用の負担を手放せる
稼働状況やCPU・メモリ使用率の監視、OSやソフトウェアの更新、障害対応、故障した機器の修理や買い替えは、社内サーバーでは自社か委託先の仕事でした。クラウド化後は、ハードウェアの管理やソフトウェアの更新、障害への対応をクラウド事業者が担います。
情報システム部門や他業務と兼任する担当者にとっては、保守に割いていた時間を本来の業務へ振り向けられるのが大きな変化です。サーバー運用に詳しい専任者がいない企業でも、トラブル時は事業者のサポートを受けられるので、自社だけで抱え込まずに済みます。
設備投資を利用料に置き換えられる
社内サーバーを導入するときは、サーバー機器の購入費のほか、設置場所の確保や電気代といった固定費が必要でした。クラウドなら機器を買わず、月額や年額の利用料でサーバー環境を使えるため、初期投資を抑えられます。
数年ごとのサーバー入れ替え(リプレース)で生じていた大きな支出を、設備の更新を提供元が担うクラウドでは毎年の利用料として平準化できるのも特長です。ただし、長期の累計額が社内サーバーを上回る場合もあるため、総額の比べ方は「クラウド化にかかる費用の考え方」で確かめてください。
社外や拠点から同じ環境を使える
社外から社内サーバーを使うには、専用ルーターの購入や設置、端末ごとの設定といったVPNの環境づくりが必要です。接続が集中すると、通信速度が落ちやすい点も課題でした。クラウド化すれば、インターネットにつながる場所なら、在宅勤務先や出張先、複数の拠点から同じデータやシステムを使えます。
総務省の「令和7年通信利用動向調査」(常用雇用者100人以上の企業が対象)では、テレワークを導入している企業の割合が50.1%に増えました。社外でも社内と同じ環境で作業できることは、クラウド化を考える大きな理由です。
災害時も業務データを守りやすい
地震や火災でオフィスごと被災すると、社内に設置したサーバーは故障・破損し、事業継続に必要なデータを失うおそれがあります。遠隔地にサーバー用の拠点を設ける方法もあるものの、費用と運用の手間を考えると簡単ではありません。
一方、クラウド事業者は国内外の遠隔地にあるデータセンターでデータを管理しているため、自社が被災しても業務再開に必要なデータを確保しやすくなります。なお、冗長化(設備を二重化して停止に備えること)やバックアップの範囲はサービスや契約プランごとに異なるので、契約前に確かめておきましょう。
クラウド化のデメリットと注意点
クラウド化で保守や設備の負担は軽くなる一方、社内サーバーでは生じなかった課題も出てきます。主なものは、通信環境への依存、利用料の継続的な発生、独自仕様のシステムの移しにくさ、IDとアクセス権の管理責任の4つです。
いずれも移行前に把握しておけば、回線の見直し、料金体系の選び方、移行範囲の判断、アカウント管理のルールづくりといった対策で影響を抑えられます。
通信環境に業務が左右される
インターネット経由で使うクラウドでは、回線の速度や障害がそのまま業務に響きます。回線が止まれば、データを開けません。容量の大きいファイルを扱う業務では、社内LANでサーバーを使っていた頃より、読み込みや保存に時間がかかる場合もあります。
対策の方向性は、複数の回線を契約する冗長化や、帯域(一度に送受信できるデータ量)の見直しです。大容量ファイルの多い部署なら、社内ではNAS(社内LANにつなぐファイルサーバー機器)を使い、社外からはクラウドを使うハイブリッド構成で影響を抑える方法もあります。
利用料が継続的に発生する
クラウドの利用料は使い続ける限り発生し、メリットの章で触れたとおり、長期の累積コストが社内サーバーを上回ることもあります。使った量に応じて支払う従量課金のサービスでは、データ転送量や利用量が増えると費用が想定を超えやすい点にも注意が必要です。
費用の増え方は料金体系でも変わり、人数課金なら利用者が増えるたびに、容量課金ならデータが増えるたびに金額が上がります。定額制であれば、通信量に応じた追加料金はかかりません。今後増えるのが人なのかデータなのかを見込み、合う体系を選びましょう。
独自仕様のシステムは移しにくい
自社向けに開発した業務システムや、特定の機器・OSを前提に動くシステムは、クラウドの仕様と互換性がなく、そのままでは移せない場合があります。クラウドではOSや仮想化環境(1台の機器を複数のサーバーのように分けて使う仕組み)を事業者が用意するため、自社システムの動作条件に合うとは限りません。
設定できる範囲もサービス仕様の内側に限られ、機器の構成や回線を自由に選ぶようなカスタマイズはできなくなります。互換性の確認だけで時間がかかることもあるため、移行計画には余裕を持たせてください。
参照元:総務省|平成30年版 情報通信白書 クラウドサービスの概要
IDとアクセス権の管理責任は残る
事業者と利用企業が責任を分け合う「責任共有モデル」が、クラウドの前提です。総務省が2022年に公表した設定ガイドラインでも、利用者アカウントや業務データの設定は利用企業の責任とされています。アクセス権の設定不備は情報流出につながり、退職者のIDを放置すれば不正利用を招きかねません。
管理者への多要素認証(パスワードと別の手段を併用する本人確認)の導入や権限の絞り込み、退職・異動に合わせたアカウント停止が欠かせない対策です。使うクラウドサービスが増えるほどIDの管理が分散し、管理者の負担も増します。
参照元:総務省|クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドラインの概要
社内サーバーをクラウド化する方法と移行先
社内サーバーのクラウド化には、2つの方法があります。1つは、社内サーバーが担っていた機能を事業者のサービスに置き換えるSaaS(Software as a Service)です。
もう1つは、事業者から借りたサーバー基盤へ自社のシステムを移すIaaS(Infrastructure as a Service)を指します。
どちらが適するかはサーバーの役割で変わるため、2つの方法の違いを押さえたうえで、役割ごとの移行先を確かめていきましょう
SaaSに置き換える方法
SaaSは、事業者が提供するアプリケーションをインターネット経由で使う形態です。サーバーの構築や保守は事業者が担うため、自社で機器を用意して管理する必要はありません。ファイル共有ならクラウドストレージ、メールならクラウドメールというように、社内サーバーが受け持っていた機能をサービスごと置き換えるのが特徴です。
機器の監視や更新から手が離れる分、運用の負担は大きく減ります。その反面、機能や設定はサービス仕様の範囲内で使うことになり、自社独自の要件に合わせた作り込みはできません。
参照元:総務省|平成30年版 情報通信白書 クラウドサービスの概要
IaaSへ載せ替える方法
サーバーやストレージ、ネットワークといった基盤を事業者から借り、その上にOSやアプリケーションを自社で構築する形態がIaaSです。仮想環境に必要なソフトウェアを自由に導入できるので、既存の業務システムを大きく作り変えずに移しやすくなります。
一方、総務省のガイドラインでは、IaaS上で動くOSを含むすべてのソフトウェアの管理は利用企業の責任とされています。OSやミドルウェア(OSとアプリケーションの間で動くデータベースなどのソフトウェア)の更新は自社に残り、設計や運用にも専門知識が欠かせません。
参照元:総務省|クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドラインの概要
サーバーの役割別に移行先を選ぶ
ファイルサーバーは、社内サーバーの中でも比較的取り組みやすい領域です。ファイル共有やアクセス権の管理といった従来の運用を保ったまま移せる法人向けクラウドストレージも増えており、最初に着手する対象として検討しやすいといえます。
独自の業務システムは、IaaSへ載せ替えるか、同等の機能を持つSaaSへ置き換えるかを、システムごとに判断しなければなりません。社内サーバーの主な役割ごとに、移行先と移行時に確認することを下表にまとめました。
| サーバーの役割 | 主な移行先 | 移行時に確認すること |
| ファイルサーバー | クラウドストレージ(SaaS) | フォルダ構成とアクセス権を再現できるか |
| メールサーバー | クラウドメール(SaaS) | 既存のメールデータとアドレスの移行方法 |
| 認証サーバー(Active Directory) | クラウド型のID管理サービス | 既存アカウントとの連携方法とシングルサインオンの対象 |
| 業務システムのサーバー | IaaSへの載せ替え、または同等機能のSaaS | OS・ミドルウェアの対応状況と他システムとの連携 |
| Webサーバー | IaaS、ホスティングサービス | 公開範囲とセキュリティ設定 |
クラウド化にかかる費用の考え方
社内サーバーとクラウドの費用を、サーバーの機器代とクラウドの月額料金だけで比べると、判断を誤りやすくなります。社内サーバーには保守費や電気代、担当者の工数がかかり、クラウド化ではデータ移行の費用も発生するためです。
導入から運用、更新、移行までの費用を合計した総保有コスト(TCO)で比べることが欠かせません。比べ方は、費目の洗い出し、比較期間の設定、前提条件を置いた試算の3つの手順で進めます。
比較に含める費目を洗い出す
下表は、社内サーバーを使い続ける場合とクラウド化する場合に、それぞれ発生する費目を区分ごとに示したものです。見落としやすいのは人件費で、社内サーバーでは監視や更新、障害対応に担当者の時間が割かれます。
クラウド化した後も、アカウントやアクセス権の管理には工数がかかります。移行時には、データを移す作業の工数か委託費と、利用者に新しい操作を覚えてもらう教育の費用も必要です。担当者の工数は請求書に表れないため、意識して比較に含めておきましょう。
| 費用の区分 | 社内サーバーで発生する費用 | クラウド化で発生する費用 |
| 初期費用 | サーバー機器の購入費、構築費 | 初期設定費 |
| 運用費 | 保守費、電気代、設置スペース、セキュリティソフト | 月額・年額の利用料、インターネット回線費 |
| 人件費 | 監視・更新・障害対応を担う担当者の工数 | アカウントやアクセス権を管理する工数 |
| 更新費用 | 故障時の修理費、数年ごとのサーバー購入費 | 容量や利用量の増加に伴う料金の増加 |
| 移行費用 | - | データ移行作業の工数または委託費、利用者への教育 |
比較期間を更新周期に合わせる
比較期間は、サーバーの更新周期に合わせて5年程度が目安です。国税庁の耐用年数表では、サーバーは電子計算機の「その他のもの」に当たり、法定耐用年数は5年とされています。データ移行費のように一度だけ発生する費用も、この期間の総額に含めて比べます。
期間中にOSのサポート終了や保守契約の更新が重なる場合は、その対応費用を社内サーバー側に上乗せしてください。たとえば、Windows Server 2016の延長サポートは2027年1月12日に終わるため、使い続けるなら更新費用を見込む必要があります。
前提条件を決めて総額を試算する
試算の前提は、従業員100名、データ3TB、拠点1か所の企業がファイルサーバーを5年間使う場合とし、社内サーバーの更新とクラウド化を下表で比べました。クラウドは、容量で料金が決まる容量課金と、利用者1人ごとに料金がかかる人数課金の2パターンです。
同じ前提でも、利用者が100名いると、人数課金の総額は容量課金より約333万円高くなります。
| 費目 | 社内サーバーを継続した場合(5年間) | クラウド化した場合・容量課金(5年間) | クラウド化した場合・人数課金(5年間) |
| 前提条件 | 従業員100名、データ3TB、拠点1か所 | 同左 | 同左 |
| 初期費用 | サーバー更新費 2,174,254円 | 初期設定費・データ移行費 85,160円 | 初期設定費・データ移行費 118,160円 |
| 運用費 | 電気代 203,670円(保守費3年分は初期費用に含む) | 利用料・回線費 8,580,000円 | 利用料・回線費 11,880,000円 |
| 人件費 | 運用担当者の工数 600時間×2,129円=1,277,400円 | 管理工数 240時間×2,129円=510,960円 | 管理工数 240時間×2,129円=510,960円 |
| 5年間の総額 | 3,655,324円 | 9,176,120円 | 12,509,120円 |
試算では、クラウドの総額が社内サーバーの約2.5倍(容量課金の場合)になりました。社内サーバーは機器を5年間使い切る前提のため費用が小さく見える一方、クラウドの利用料には冗長化や社外からの利用にかかる費用が含まれているためです。
ただし、社内サーバー側には、社外から接続するためのVPN機器、遠隔地バックアップ、4〜5年目の保守延長、故障時の対応工数を含めていません。これらをクラウドと同じ水準まで整えると、差は縮まります。差額で得られるのは、社外からの利用、災害時のデータ保全、担当者が抜けたときに運用が止まるリスクの解消です。
費用削減だけを目的にするなら、クラウド化が合わない場合もあります。一方、利用拠点が多い企業では、後述の明光ネットワークジャパン様の事例のように、移行によって費用が下がるケースもあります。
※金額はすべて税込です。税別で公表されている価格は1.1倍して換算しました。価格は2026年10月14日時点のものです。
※サーバー更新費は、次の合計です。
- ●タワーサーバー本体(基本構成、3年間の保守付き):705,831円
- ●Windows Server 2025 Standard:193,265円
- ●ユーザーCAL 50パック×2:913,148円
- ●4TB HDD×3(RAID 5):197,424円
- ●導入サービス:164,586円
※運用費(社内サーバー)は電気代です。平均消費電力を150Wと仮定し、150W×24時間×365日×5年=6,570kWhに、目安単価31円/kWh(税込)を掛けて算出しました。4〜5年目の保守延長費は見積もり制のため、含めていません。
※人件費の単価は、一般労働者の賃金月額340,600円を月160時間で割った約2,129円です。工数は、社内サーバーの運用を月10時間、クラウドの管理を月4時間、データ移行と利用者教育を40時間と仮定しました。
※容量課金は、容量4TB・ユーザー数無制限のプラン(月額130,000円・税別、初期費用0円)です。
※人数課金は、一般的な人数課金型サービスの料金水準を想定し、1ユーザーあたり月額1,800円(税抜)、初期費用30,000円(税抜)と仮定しました。
※回線費は、既存のインターネット回線を使う前提とし、追加費用を0円としました。
参照元:Dell|PowerEdge T360タワーサーバー
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速 “DirectCloud”
クラウド化すべきかを判断する基準
ここまでのメリット・デメリット、移行先、費用の比べ方を踏まえると、クラウド化すべきかどうかの答えは企業ごとに変わります。
すべてのサーバーを一律に移すのではなく、見直しのタイミングが来ているか、自社の状況がクラウドに合っているか、社内サーバーを残すほうが合理的ではないかの3つの観点で比べて判断することが大切です。
費用の試算で見たとおり、機器代と運用費だけを比べるとクラウドは割高になりやすいため、その差額に見合う価値が得られるかも確かめましょう。結論として、費用削減だけが目的なら慎重に判断し、社外からの利用、災害への備え、サーバー管理人材の不足のいずれかに当てはまるなら、クラウド化を検討する価値は高いといえます。
見直しのタイミングを把握する
クラウド化を検討する主なきっかけは、サーバーOSのサポート終了、保守契約の満了、機器の老朽化、管理担当者の退職や異動です。中でも期限がはっきりしているのがOSのサポート終了で、Windows Server 2016の延長サポートは2027年1月12日に終わり、通常のセキュリティ更新プログラムは提供されなくなります。
サポートが終了したOSを使い続けると、見つかった脆弱性が修正されないまま残ります。移行には準備や検証の期間も要るため、終了日から逆算して検討を始めましょう。
参照元:Microsoft Learn|Windows Server 2016 – Microsoft Lifecycle
クラウド化が向いている企業
社外や複数の拠点から使う機会が多い企業は、VPNの準備や速度低下の悩みを解消しやすく、クラウド化の効果が出やすいといえます。
サーバーを管理できる人材が限られる企業、災害対策を強化したい企業、容量の増減が大きい企業も同じです。保守や遠隔地でのデータ保管、容量の拡張を事業者に任せられるため、自社で抱えていた負担を減らせます。
次の項目は、自社の状況を確かめるためのものです。当てはまる項目が多いほど、クラウド化を前向きに検討する価値があります。
- ●社外や拠点から社内サーバーにVPN経由で接続している
- ●サーバーを管理できる担当者が限られている
- ●サーバーのOSサポートや保守契約の期限が近い
- ●災害時にデータを守る手段が決まっていない
- ●容量不足による機器の増設を繰り返している
社内サーバーを残す・延命する選択肢
厳しいセキュリティ要件がある企業や、独自システムとの連携が多い企業、リソースの増減がない企業では、社内サーバーを使い続ける判断も成り立ちます。すぐに全面移行しない場合は、一部をクラウドへ移して残りを社内に置くハイブリッド構成も選べます。
サーバー機器をデータセンターのハウジング(機器を事業者の施設に預けて運用する形態)へ移し、リプレースの時期にクラウド化する段階的な方法もあります。社内サーバーを残す場合も、OSや機器の保守期限を確かめ、移行の要否を定期的に見直してください。
社内サーバーをクラウド化する進め方
社内サーバーのクラウド化は、下表の4段階で進めると、移行中に業務が止まるリスクを抑えられます。現状を棚卸しして優先順位を決め、計画を立て、一部で試してから本番に切り替える流れです。
| 段階 | 主な作業 | 押さえること |
| 現状の棚卸し | サーバーの役割、データ量、利用者、保守期限の洗い出し | 保守期限が近いサーバーから優先度を付ける |
| 移行計画の策定 | 移行先、順序、スケジュール、体制の決定 | 影響の小さいサーバーから段階的に進める |
| テスト移行 | 一部の部署やデータで試験的に移行 | 権限の反映や操作感を利用者と確かめる |
| 本番移行と切替 | 本番移行、利用者への周知、旧サーバーの停止 | 旧サーバーのデータを消去してから処分する |
移行後に操作方法が変わると、利用部門の負担が増え、業務の効率が落ちかねません。事前の周知や研修を行うとともに、これまでのファイルサーバーに近い操作で使える移行先を選ぶと、現場の戸惑いを減らせます。
社内に移行の人手やノウハウが足りない場合は、データ移行を代行する支援サービスを活用する方法もあります。
ファイルサーバーのクラウド化ならDirectCloud
本記事で取り上げた課題のうち、ファイルサーバーのクラウド化に関わるものは、法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」と関連サービス・オプションで解決をお手伝いできます。
操作の変化、移行の人手不足、継続的な利用料、IDの管理、通信環境への依存、災害への備えという6つの課題と、対応する機能・サービス、詳しく説明する見出しの関係を下表に示しました。
| 本文で扱った課題 | DirectCloudの機能・サービス | 該当する見出し |
| 移行後に操作方法が変わる利用部門の負担(進め方) | DirectCloudドライブ | 操作を変えずにファイルサーバーを移せる |
| 移行の人手やノウハウが足りない(進め方) | DirectCloudへのデータ移行サービス | 移行作業を専門スタッフに任せられる |
| 利用料が継続的に発生する | ユーザー数無制限の料金体系 | ユーザー数無制限で利用料を見通せる |
| IDとアクセス権の管理責任は残る | 管理者機能、CloudGate UNO | IDと権限の管理を一元化できる |
| 通信環境に業務が左右される/社内サーバーを一部残す構成(判断基準) | DirectCloud Gateway | NASを残したまま段階的にクラウド化できる |
| 災害時の業務データの保全(メリット) | 国内3拠点のデータセンターへの分散保存、災害対策・遠隔地バックアップ | 災害時もデータを守り業務を続けられる |
操作を変えずにファイルサーバーを移せる
WindowsのエクスプローラーやMacのFinderから、クラウド上のファイルをそのまま開いたり保存したりできるのが、DirectCloudドライブです。Windowsではドライブ文字を割り当てられるため、移行後も従来と同じドライブ文字とフォルダパスで資料にたどり着けます。
利用者は新しい操作を覚え直す必要がほとんどありません。情報システム部門にとっても、操作マニュアルの作成や利用者への説明にかかる手間を抑えられます。
参照元:DirectCloud|エンタープライズ企業のDXをクラウドストレージでサポート
移行作業を専門スタッフに任せられる
社内に移行の人手やノウハウが足りない企業に向けて、当社では「DirectCloudへのデータ移行サービス」をご用意しています。NASや社内サーバーにある既存データの調査から、移行計画の立案、移行作業までを当社が代行するサービスです。
ユーザー情報の登録やアクセス権の設定もあわせて依頼できるため、情報システム部門がない企業や、サーバー管理の委託先がなくなった企業にも向いています。納期の目安はデータ量1TBで5営業日、10TBで40営業日で、料金は移行元やデータの状況に応じた個別のお見積りです。
参照元:DirectCloud|ファイルサーバーから法人向けクラウドストレージDirectCloudへの移行サービス
ユーザー数無制限で利用料を見通せる
Team Businessを除くDirectCloudの各プランは、ユーザー数無制限の料金体系を採用しています。料金は契約する容量で決まるため、利用者が増えても費用は増えにくい仕組みです。全従業員はもちろん、委託先やグループ企業の担当者にアカウントを発行しても利用料は変わりません。
費用の章で触れたとおり、人数課金では利用者が増えるたびに金額が上がります。容量で決まる料金なら、継続的に発生する利用料を見通しやすく、年度ごとの予算も組みやすくなります。
少人数から始めたい企業向けには、1ユーザー月額980円(税別、10ユーザー単位)の人数課金プラン「Team Business」もご用意しています。利用者の増減が大きい企業や、委託先・グループ企業にもアカウントを発行したい企業にはユーザー数無制限のプラン、利用者が少なく人数が安定している企業にはTeam Businessが向いています。
ただし、Team Businessは「災害対策・遠隔地バックアップ」や管理者の操作ログに対応していません。首都圏の広域災害に備えるなら、遠隔地バックアップを追加できるビジネスプラン以上のユーザー数無制限プランが適しています。管理者の操作ログも利用できるプランが限られるため、必要な場合は契約前にご確認ください。人数課金でも単価や機能によって総額は大きく変わるため、利用者数・データ量・必要な機能の3点で比べることが大切です。
なお、Team Businessからユーザー数無制限のプランへは変更できないため、将来の利用規模も見込んでお選びください。
参照元:PR TIMES|1ユーザー月額980円、中小企業のAXをスモールスタート。法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」に新プラン「Team Business」が登場
参照元:DirectCloud|AI搭載の法人向けクラウドストレージ Team Business
参照元:DirectCloud|シンプルなデータ管理でAI活用を加速 “DirectCloud”
IDと権限の管理を一元化できる
フォルダごとのアクセス制御、登録した端末に利用を限るデバイス認証、接続元を絞るIPアドレス制限、操作ログの取得は、DirectCloudの管理者機能で行えます。これらは、利用企業に残る管理責任を果たすための機能です。
当社が正規販売パートナーとして提供する「CloudGate UNO」を組み合わせれば、複数のクラウドサービスへのログインを1つの入口にまとめ、多要素認証や端末制限もかけられます。CloudGate UNOは、株式会社インターナショナルシステムリサーチが開発・提供するサービスです。
参照元:DirectCloud|CloudGate UNO(クラウドゲート ウノ)とは|パスワードレス認証・高度なアクセス制御を標準搭載のSSO/IDaaS
NASを残したまま段階的にクラウド化できる
既存のNASとDirectCloudを同期させるハイブリッドストレージが、DirectCloud Gatewayです。社内ではNAS、社外ではDirectCloudから、同じファイルを利用できます。CADデータのような大容量ファイルも、社内では社内LANの速度で扱えるため、通信環境による業務への影響を抑えられます。
既存のフォルダ構成や運用を活かしたまま、部署・用途・拠点ごとに段階的にクラウド化を進められます。社内サーバーを一部残す構成にも対応しており、全面移行を急がずに済みます。
災害時もデータを守り業務を続けられる
DirectCloudに保存したデータは、物理的に区分けされた日本国内3カ所のデータセンターに分散して保管されます。自社のオフィスが被災しても、データそのものは社外の複数拠点に残る仕組みです。データセンターはいずれもAWS東京リージョン内にあるため、首都圏の広域災害にも備えたい企業向けに、バックアップ先として大阪またはシンガポールのリージョンを選べる有料オプション「災害対策・遠隔地バックアップ」(ビジネスプラン以上で利用可能)をご用意しています。BCP(事業継続計画)の強化にお役立てください。
DirectCloud Gatewayを併用すれば、NASが故障や災害で止まった場合も、クラウド側に切り替えて必要なファイルを開けます。
社内サーバーをクラウド化した企業の事例
本文で取り上げたサーバーの保守負担、老朽化、運用コストの課題を、クラウド化によって解決した事例を3つ紹介します。
サーバーの保守負担をなくし事務所スペースの有効活用を実現
生活クラブ生活協同組合・東京様では、社内に置いたファイルサーバーの設置スペースや保守の人件費など、維持管理のコストが重荷になっていました。組合員の個人情報を扱うため、セキュリティに不安のあるサービスは選べず、切り替え後に利用者へ操作を教える人手もありませんでした。
DirectCloudへの移行後は、ファイルサーバーを維持する保守業務がなくなり、維持管理のコストを削減しています。空いた事務所の面積も有効に活用でき、外出先からスマートデバイスでファイルを開けるようになりました。
耐用年数の限界を迎えたサーバーを手放しテレワークを実現
株式会社ユニヴァ・コーポレーション様では、部署間の共有や営業担当者の社外からのアクセスにVPNを経由しており、使い勝手に課題がありました。ファイルサーバー自体も耐用年数の限界を迎えており、業務に支障を来さずにテレワーク環境へ移りたいという要望も抱えていました。
DirectCloudへ移行してからは、場所を問わずスムーズにファイルを共有できています。サーバーの耐用年数を気にする必要もなくなり、導入直後に在宅勤務へ切り替えた際も、ファイル共有で混乱は起きませんでした。
サーバー運用の工数と費用を抑え全国での共有を実現
全国に1,700以上の教室を展開する株式会社明光ネットワークジャパン様では、オンプレミスのファイルサーバーの管理やメンテナンスに多くの工数がかかり、運用コストも負担になっていました。本社以外からはファイルサーバーにアクセスできず、教室とのファイル共有も円滑ではありませんでした。
DirectCloudの導入後は、ファイルサーバーの管理工数を減らし、ストレージサーバー費用の経費を35%削減しています。全社で場所を問わずにファイルを共有できる環境も整いました。
よくある質問
社内サーバーのクラウド化を検討する段階で、疑問に感じやすい4つの質問を取り上げます。社内クラウドの意味、WindowsやLinuxのサーバーの移行、社内サーバーの遅さへの効果、クラウドを利用する企業の割合について、本文の内容を補う形でお答えします。いずれも、移行を判断する前に確かめておきたい内容です。
社内クラウドとは何ですか?
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社内クラウドは、自社専用のクラウド環境であるプライベートクラウドを指して使われることが多い言葉です。プライベートクラウドは、物理サーバーを置く場所によって2つの型に分かれます。
自社の施設内にサーバーを置くのがオンプレミス型、外部の施設に自社専用の領域を設けるのがホスティング型です。オンプレミス型は機器を自社で保有するため、社内サーバーと同じく、機器の保守や更新の負担が残ります。 WindowsやLinuxのサーバーも移せますか?
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IaaSでは、WindowsやLinuxの仮想マシンを作成でき、既存のサーバーと同じOSのまま業務システムを動かせます。VMwareやHyper-Vで構築した仮想環境から、仮想マシンを移す仕組みを用意しているサービスもあります。
ただし、手持ちのOSライセンスをクラウド上でも使えるか、既存システムが移行先の環境に対応しているかは、事業者や製品ごとに条件が異なります。移行を決める前に、両方を確認しておきましょう。 社内サーバーが遅いのはクラウド化で解消できますか?
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遅さの原因には、サーバー自体の負荷、自社のインターネット回線の速度不足、VPNへの接続集中などがあります。社外からVPNで接続しているときに遅い場合は、クラウド化してVPNを経由しない使い方に切り替えると、改善が見込めます。
一方、自社の回線が細いことが原因なら、クラウド化した後も遅さが残るおそれがあります。どこで遅くなっているのかを切り分けてから、クラウド化で解消できるかを判断してください。 クラウドを利用している企業はどのくらいですか?
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総務省が常用雇用者100人以上の企業を対象に行った「令和7年通信利用動向調査」では、クラウドサービスを利用する企業が8割を上回り、増加傾向が続いています。
利用する理由では、「システムの拡張性が高いから(スケーラビリティ)」の前年からの増加が最も大きくなりました。事業の変化に合わせて容量や性能を増減しやすい点が、クラウドを選ぶ理由として重みを増しているとうかがえます。
まとめ
社内サーバーのクラウド化は、すべての企業が一律に進めるものではなく、自社の状況に合わせて範囲と時期を見極めることが成功への近道です。保守負担の軽減や社外からの利用といった効果がある一方、利用料の発生や管理責任などの注意点も残るため、OSのサポート終了や機器の更新時期を機に、総額と運用体制を比べて判断する必要があります。比較的取り組みやすいファイルサーバーから着手すれば、段階的に移行しながら効果を確かめられるでしょう。
DirectCloudは、従来に近い操作感やユーザー数無制限の料金体系、移行支援サービス、NASとの併用を備えた法人向けクラウドストレージです。ファイルサーバーのクラウド化をお考えのご担当者様は、ぜひ導入をご検討ください。
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