クラウドバックアップとは?仕組み・メリットと失敗しない選び方を解説

地震や水害、機器の故障、ランサムウェアなど、企業のデータを脅かすリスクは多様化する一方です。大切なデータを守り、万一のときにも事業を止めないための備えとして、クラウドバックアップへの関心が高まっています。ただし、その仕組みや種類、費用の考え方は幅広く、何を基準に選べばよいか迷う担当者も少なくありません。

本記事では、クラウドバックアップの仕組みからメリット・デメリット、失敗しない製品の選び方までを、実際の事例も交えてわかりやすく解説します。自社に合ったバックアップ体制を築くための参考にしてください。

本記事のサマリ

  • クラウドバックアップは、データを事業者側に複製し、災害や障害からデータを守る仕組みである
  • 遠隔地保管による事業継続性の向上や運用工数の削減が得られ、通信依存や費用変動は対処法で抑えられる
  • 取得していても復元できないことがあり、復旧目標や保管先から要件に合う製品を選ぶことが欠かせない
  • 国内3拠点分散と遠隔地バックアップ、世代管理を持つDirectCloudなら、安全にデータを守れる
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クラウドバックアップとは

クラウドバックアップとは、社内のデータを事業者のサーバーへ複製し、災害や機器障害からの復元に備える手法です。総務省が公表した令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)では、クラウドサービスを利用する理由に「災害時のバックアップとして利用できるから」を挙げた企業が40.1%を占めました。

導入を判断する前に、その動作の流れ、オンプレミス方式との差、クラウドストレージとの違いという3点を順に解説します。

参照元:総務省|令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)

クラウドバックアップの仕組み

クラウドバックアップは、社内のデータを暗号化したうえで事業者のデータセンターへ転送し、複数の拠点に複製して保管する仕組みで動きます。データは転送中と保存時の両方で暗号化されるので、通信経路やサーバーへ第三者が侵入しても、中身の解読は困難です。

最初に対象範囲を決め、パソコンへエージェント(バックアップを自動実行する常駐ソフト)を導入しておけば、その後は人手を介さず自動でデータが取得されます。さらに世代管理の機能を使えば、誤って上書きする前の特定の時点まで、ファイルの状態を戻すことも可能です。

社内データを対象設定し、暗号化して自動転送し、複数拠点に複製・保管する流れ。世代管理により過去の状態から復元できる。
クラウドバックアップの基本的な仕組み
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クラウドストレージとは?仕組みと法人利用のメリット・注意点を解説

オンプレミスのバックアップとの違い

クラウドバックアップと、自社内にサーバーを設置するオンプレミス方式には、設備投資・保守運用・拡張性の3点で差があります。オンプレミス方式では、サーバーやソフトウェアを購入する初期投資が必要なうえ、導入後も保守や機器更新の費用が継続的にかかる点が負担です。

クラウドは機器を自社に持たずに済み、容量も必要な分だけ後から増やせます。外付けHDDやLTO(大容量の磁気テープ記録装置)などの外部媒体を使う場合、媒体の交換や保管、世代管理の責任は自社に残ったままです。
3方式の違いは下表にまとめています。

方式 保管場所 初期費用の考え方 運用で発生する作業
クラウドバックアップ 事業者のデータセンター 月額・従量課金が中心 設定後は自動取得。設定と監視が中心
オンプレミス 自社内のバックアップサーバー サーバー・ソフトの購入費が必要 保守、機器更改、障害対応
外部媒体 自社が保管する媒体 媒体の購入費が必要 媒体の交換、保管、世代管理
クラウドバックアップ
保管場所
事業者のデータセンター
初期費用の考え方
月額・従量課金が中心
運用で発生する作業
設定後は自動取得。設定と監視が中心
オンプレミス
保管場所
自社内のバックアップサーバー
初期費用の考え方
サーバー・ソフトの購入費が必要
運用で発生する作業
保守、機器更改、障害対応
外部媒体
保管場所
自社が保管する媒体
初期費用の考え方
媒体の購入費が必要
運用で発生する作業
媒体の交換、保管、世代管理

参照元:NTTドコモビジネス|クラウドバックアップの重要性とは? メリット・デメリットを紹介

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【2026年最新版】ファイルサーバーのクラウド化|メリットと移行方法をわかりやすく解説

クラウドストレージとの違い

クラウドストレージとクラウドバックアップは、名前こそ似ていても設計思想が別物です。前者は日常的な保存と共有を担い、後者はデータの復元を主な役割としています。同期型のストレージでは、誤削除やランサムウェア(データを人質に身代金を要求する不正プログラム)による被害が、そのまま同期先に反映される点に注意が必要です。

ただし、世代管理やごみ箱の機能があるストレージなら、過去の状態を呼び戻せて、バックアップの役割も兼ねられます。両者を混同したまま検討を進めると、必要な保護水準に届かない結果になりかねません。

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クラウドバックアップのメリット

クラウドバックアップが多くの企業に選ばれる背景には、オンプレミス方式だけでは補いきれない実務上のメリットが複数あります。具体的には、以下の4つが代表的です。

  • 遠隔地保管による事業継続性の向上
  • 運用工数の削減
  • 初期投資を抑えたコストの平準化
  • 社外端末のデータ保護

いずれも、限られた人員と予算でデータを守る情報システム部門にとって、日々の負担と将来のリスクを同時に軽くする決め手となります。

遠隔地保管で事業継続性を高められる

拠点が被災しても事業を止めない体制づくりに、クラウドバックアップは役立ちます。クラウド事業者の多くは遠隔地に複数のデータセンターを持つため、自社の拠点が地震や火災に見舞われても、預けたデータは影響を受けにくいからです。

さらに、インターネット環境と端末さえあれば、被災した拠点に立ち入れなくても、別の拠点や自宅から復旧作業に取りかかれます。出社が困難な状況でも、テレワークで事業を継続しやすくなる点は見逃せません。こうした遠隔地保管の仕組みが、BCP(事業継続計画)の土台を支えます。

バックアップ運用の工数を減らせる

日々のバックアップ運用にかかる手間は、クラウドバックアップで大きく減らせます。対象範囲を一度設定すれば、以降は自動でデータが取得されるため、担当者が都度ファイルをコピーするような手作業が要らなくなるからです。

取得の状況は管理画面で確認でき、失敗した際にはアラートで通知が届くので、常時張り付いて監視する必要もありません。バックアップ用サーバーを自社で持たずに済むため、機器の保守や更改も不要です。その結果、担当者は空いた時間をシステムの改善や問い合わせ対応などに振り向けられます。

初期投資を抑えコストを平準化できる

オンプレミス方式で大きな負担だった初期費用を抑え、毎月の支出も見通しやすくできます。サーバーやソフトウェアの購入費が不要になり、まとまった初期投資を避けられるからです。費用は月額または使った分だけの従量課金が中心となるため、支出が平準化され、年間の予算も立てやすくなります。

しかも必要な容量に応じて後から拡張できるので、将来の増加を見込んだ過剰な設備投資も不要です。初期と運用の両面で、費用の負担とばらつきを抑えられます。

社外端末のデータも保護できる

社外に持ち出した端末のデータも、クラウドバックアップなら保護の対象に含められます。VPN(社外から社内網へ安全につなぐ仕組み)経由で社内のファイルサーバーへ保存する方式では、社外端末のデータが保護から漏れやすいからです。

一方、クラウドバックアップならインターネット経由で社外端末のデータも継続して守れ、保護から外れません。通信も自動で暗号化されるのが一般的で、脆弱性のあるWi-Fiでも盗み見のリスクを抑えられます。場所を問わず端末を守れる点は、テレワークが定着した企業にとって心強い備えです。

クラウドバックアップのデメリットと対処法

導入メリットの大きいクラウドバックアップですが、方式の特性から生じるデメリットもあり、対策なしでは思わぬ支障につながりかねません。

具体的には、通信環境への依存による復旧時間、セキュリティ水準が事業者に左右される点、データ量の増加に伴う費用の変動という3つが代表的です。いずれも仕組みを踏まえて対処法を講じれば、影響を最小限に抑えながら安全に運用できるようになります。

通信環境に依存し復旧に時間がかかる

クラウドバックアップは、取得と復旧に時間がかかる場合があります。データをインターネット経由で転送する方式のため、回線の帯域(一度に送れるデータ量の幅)が狭かったり、距離が遠かったりすると、転送や復旧の速度が落ちるからです。対処としては、通信が混みにくい業務時間外に取得を予約し、帯域制限機能で日中の回線負荷を軽くできます。

大容量のデータは、社内のオンプレミスを一次保管先とし、変更のあった差分だけをクラウドへ送る構成も選択肢です。通信環境に合わせた取得の工夫で、復旧までの遅れを抑えられます。

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セキュリティ水準が事業者に左右される

セキュリティの水準が事業者の方針に左右される点は、見落とせません。運用とセキュリティの一部を事業者に委ねる仕組みのため、その事業者のポリシーに従うことになり、自社独自の要件をそのまま通せない場合があります。

事業者と利用者の責任範囲は一律に決まらないので、どこまでを事業者が担うのかを契約書や免責事項で事前に確かめておくことが大切です。

そのうえで、暗号化や認証、ログの保存、監査対応が自社の水準に達しているかを、導入前に確認しておきましょう。

データ量の増加で費用が変動する

データ量が増えるほど、クラウドバックアップの費用は上振れしやすくなります。料金の多くが利用容量に連動するため、同じデータを重複して保管したり、不要なファイルをためこんだりすると、その分だけ費用がかさむからです。対処として、何を残し、どのくらいの期間保管するのかを定期的に見直し、不要になったデータは削除しておきます。

あわせて、同一データを一つにまとめる重複排除や、変更分だけを取得する増分バックアップに対応したサービスを選ぶ方法も有効です。保存する対象を絞り込む運用が、費用の上振れを防ぎます。

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クラウドバックアップの種類

クラウドバックアップでは、守りたい対象によって適した取得方式が変わります。取得方式は、システム全体をまるごと取得するもの、必要なファイルだけを選ぶもの、共有用のクラウドストレージを保護にも併用するものの3つが代表的です。

業務端末やファイルサーバー、基幹システム、SaaS(インターネット経由で使う業務ソフト)上のデータなど、対象ごとに向き不向きがあります。主な対象と方式、確認ポイントを下の表にまとめました。

保護対象 主に用いられる方式 確認すべき点
ファイルサーバー・NAS ファイル単位の取得、またはシステム全体の取得 拠点間の回線速度と取得にかかる時間
基幹システムのサーバー システム全体の取得 復旧の手順と所要時間
業務端末(PC) ファイル単位の取得 社外利用時の通信経路と暗号化
SaaS上の業務データ サービス標準の保持機能、または別途取得 保持期間と復元できる範囲
ファイルサーバー・NAS
主に用いられる方式
ファイル単位の取得、またはシステム全体の取得
確認すべき点
拠点間の回線速度と取得にかかる時間
基幹システムのサーバー
主に用いられる方式
システム全体の取得
確認すべき点
復旧の手順と所要時間
業務端末(PC)
主に用いられる方式
ファイル単位の取得
確認すべき点
社外利用時の通信経路と暗号化
SaaS上の業務データ
主に用いられる方式
サービス標準の保持機能、または別途取得
確認すべき点
保持期間と復元できる範囲

参照元:NTTドコモビジネス|クラウドバックアップの重要性とは? メリット・デメリットを紹介

参照元:総務省|クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン

イメージバックアップ

イメージバックアップは、システム全体をまるごと取得します。OSやアプリケーション、各種設定まで含めてボリューム単位(記憶領域の単位)で取得するため、復旧の際に環境を一から作り直さずに済み、停止時間を短く抑えられるからです。

そのぶん取得には時間がかかり、取得したファイル自体が壊れると、含まれるデータすべてを失う恐れがあります。停止が業務に直結する基幹システムのサーバーなど、短時間での全面復旧を求められる対象に適した方式です。

ファイルバックアップ

ファイルバックアップは、必要なファイルやフォルダーだけを選んで取得する方式です。対象を必要な範囲に限定するので、取得にかかる時間が短く済み、保存する容量も抑えられます。

ただし、システム全体は取得しないので、機器が使えなくなったときの復旧には、OSやアプリケーションの再インストールや環境の再設定まで必要です。ファイルサーバーや業務端末に置かれた日々の業務文書など、データ単位で守りたい対象に向いています。

クラウドストレージ併用型

クラウドストレージ併用型は、共有に使っているクラウドストレージを保護の手段としても兼ねます。ストレージ側に世代管理やごみ箱の機能があれば、過去のファイルを呼び戻せるため、共有と保護を一つの基盤でまかなえるからです。

一方で、OSや設定まで含めたシステム全体の復旧には対応できず、あくまで補助的な位置づけになります。共有基盤をそのまま活用でき、運用する対象を増やさずに済む点が、この方式の使いどころです。

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タイプ別に見るクラウドバックアップの選択肢

取得方式に加えて、製品の形態でも3つのタイプに分けられます。自社の重視点に合うタイプを押さえると、比較がしやすくなります。

タイプ 特徴 向くケース
専用バックアップ製品型 イメージ/ファイル取得に特化し、システム全体の復旧に強い 基幹システムやサーバーの全面復旧を重視する場合
クラウドストレージ兼用型 共有と保護を1つの基盤にまとめ、世代管理でバックアップ用途を兼ねる 共有と保護をまとめ、運用対象を増やしたくない場合
ハイブリッド型 オンプレミスを一次保管し、差分をクラウドへ転送する 大容量で、復旧の速さと遠隔保管を両立したい場合
専用バックアップ製品型
特徴
イメージ/ファイル取得に特化し、システム全体の復旧に強い
向くケース
基幹システムやサーバーの全面復旧を重視する場合
クラウドストレージ兼用型
特徴
共有と保護を1つの基盤にまとめ、世代管理でバックアップ用途を兼ねる
向くケース
共有と保護をまとめ、運用対象を増やしたくない場合
ハイブリッド型
特徴
オンプレミスを一次保管し、差分をクラウドへ転送する
向くケース
大容量で、復旧の速さと遠隔保管を両立したい場合

バックアップを取得していても復元できない理由

バックアップを取得していても、いざというときに復元できるとは限りません。警察庁が公表した「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」では、ランサムウェア被害企業のうち約9割がバックアップを取得していたにもかかわらず、被害直前の状態まで復元できたのは約2割にとどまりました。

復旧の成否を分けるのは取得しているかどうかではなく、どこに保管し、どのように運用しているかです。

参照元:警察庁|サイバー空間をめぐる脅威の情勢等

バックアップも暗号化される、3-2-1ルール未達、必要な世代が残っていない、復旧手順を検証していない、という4つの落とし穴と対策。
バックアップがあっても復元できない主な4つの理由

バックアップデータごと暗号化される

バックアップが本番環境と同じネットワーク上にあると、攻撃を受けた際にまとめて暗号化される恐れがあります。ランサムウェアは、感染した端末と同じネットワークや物理的につながった機器のデータまで暗号化するため、同居するバックアップも巻き添えになるからです。

警察庁の調査でも、復元できなかった理由の最多は「バックアップも暗号化された」で、約67%を占めています。対策として、本番環境から論理的に切り離した保管先を用意し、攻撃の影響が及ばない状態にしておきましょう。

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ランサムウェア対策|EDRやバックアップでも防げない死角と実装手順

3-2-1ルールを満たしていない

復元できない構成の多くは、3-2-1ルールを満たしていません。3-2-1ルールとは、データのコピーを3つ持ち、2種類の異なる媒体に保存し、そのうち1つを拠点外に置くという考え方です。本番環境と同じネットワーク上だけに保管している構成では、拠点外のコピーがなく、この条件から外れます。

クラウドをオフサイト(拠点外)の保管先に充てるのが、条件を満たす近道です。まずは自社の構成が、3つの条件のうちどれを欠いているかを確認してみてください。

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凶悪なランサムウェアに対抗!3-2-1ルールに基づいたバックアップを簡単に実現する方法

運用の不備で必要な世代が残っていない

運用の不備で必要な世代(過去の時点のデータ)が残っていなければ、取得していても復元できません。たとえば取得が失敗したまま気づかれなかったり、保存期間が短くて感染前の状態が消えていたりすると、戻したい時点のデータがないからです。

ランサムウェアは侵入から発覚まで時間が空くこともあるため、必要な保存期間を逆算して長めに設定しておく必要があります。取得の結果は人手に頼らず、通知やログで自動的に検知できる運用に切り替えましょう。

復旧手順を検証していない

取得できていても、復旧の手順を試していなければ、有事に想定どおり戻せないことがあります。復旧の単位や必要な操作は製品によって異なり、実際に手を動かしてみないと、いざというときに手順でつまずくおそれがあるからです。

だからこそ、年1回以上を目安に復旧テストを実施し、システム全体の復旧と単一ファイルの復旧の両方を試して、所要時間やつまずいた手順を記録しておきます。バックアップを使える備えにするには、取得と復旧の両方を確認しておく姿勢が欠かせません。

自社に合うクラウドバックアップの選び方

自社に合うクラウドバックアップを選ぶには、機能の多さや価格の安さだけで判断せず、自社の事情に沿って要件を見極めることが大切です。何をどこまで守りたいのかという復旧目標を起点に、保管先の所在地、ランサムウェア対策、料金体系、運用の負担という順で確認すると、過不足のない選定に近づきます。

どれも一つでも欠けると復旧の確実性が下がるため、順に確認して自社の要件と照らし合わせることが欠かせません。

復旧目標を起点に、保管先、ランサムウェア対策、総コスト、運用負担の順で要件を具体化して製品を選ぶ流れ。
クラウドバックアップ選定で確認する5つの観点

復旧目標から必要な要件を決める

製品を比べる前に、まず重要業務ごとの復旧目標を定めるところから始めます。内閣府の事業継続ガイドラインでも、いつまでに戻すかを示す目標復旧時間と、どの水準まで戻すかを示す目標復旧レベルを先に定めるよう求めているからです。

この目標が決まると、どのくらいの間隔で取得し、何世代残し、どれくらいの速さで復旧すべきかという要件が具体的に見えてきます。目標を定めずに比較を始めると、機能が過剰になったり不足したりする選定になりがちです。

参照元:内閣府|事業継続ガイドライン(令和5年3月)

保管先とデータセンターの所在地を確認する

契約前に、データが保管される国とリージョン(地域)を確認しておきましょう。保管先が自社の拠点から遠いほど、同じ災害で同時に被災するリスクは避けやすくなりますが、そのぶん転送や復旧には時間がかかるという関係があるからです。

さらに、保管する国の法制度によっては、データの取り扱いや開示のルールが変わる場合があります。同時被災の避けやすさ、復旧の速さ、法制度という3つの兼ね合いで、保管先を見極めることが欠かせません。

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ランサムウェア対策機能を確認する

ランサムウェア対策として、そのサービスにどこまで機能があるかを確認しましょう。本番環境から分離された保管、世代管理、改ざん防止がそろっていれば、攻撃を受けてもバックアップを守りやすくなるからです。3-2-1ルールのオフサイト保管をそのサービス単体で満たせるか、取得データが暗号化されたときに検知できる仕組みがあるかも確認します。

あわせて、通信時と保管時の暗号化、認証方式、アクセス権限の設定範囲も確かめておくと安心です。こうした機能の有無が、いざというときに戻せるかどうかを左右します。

料金体系と総コストを確認する

料金は、月額の安さだけでなく、増えたときにどう伸びるかまで含めて確認します。容量に応じて課金される方式か、利用者数に応じて課金される方式かによって、データ量や社員数が増えたときの費用の伸び方が変わるからです。

また、復元やデータの取り出しに別途費用がかかるかを契約前に確かめ、保存期間や世代数の設定で総コストが動く点も見込んでおきましょう。月額だけでなく、将来の増加と復元時まで含めた総額で比べることが、費用面での失敗を防ぎます。

費用の目安(各社の公式料金より)

料金は課金体系によって伸び方が変わります。実際に公開されている公式料金には、次のような例があります。

サービス 課金体系 公式に公開されている料金 参照元
AWS Backup 従量課金 バックアップ保存が1GBあたり月0.05米ドル(ウォームストレージ)、復元が1GBあたり0.02米ドル。最低利用料金や初期費用はなし(米ドル建て。リージョンや保護対象リソースの種類によって変動) AWS Backup 料金
Microsoft 365 Backup 従量課金 保護対象データが1GBあたり月0.15米ドル(従量課金) Microsoft 365 Backup の価格モデル
DirectCloud 月額定額制 初期費用無料。ユーザー数無制限で、容量別の7プランを月額44,000〜1,200,000円で提供 DirectCloud 公式サイト
AWS Backup
課金体系
従量課金
公式に公開されている料金
バックアップ保存が1GBあたり月0.05米ドル(ウォームストレージ)、復元が1GBあたり0.02米ドル。最低利用料金や初期費用はなし(米ドル建て。リージョンや保護対象リソースの種類によって変動)
参照元
AWS Backup 料金
Microsoft 365 Backup
課金体系
従量課金
公式に公開されている料金
保護対象データが1GBあたり月0.15米ドル(従量課金)
参照元
Microsoft 365 Backup の価格モデル
DirectCloud
課金体系
月額定額制
公式に公開されている料金
初期費用無料。ユーザー数無制限で、容量別の7プランを月額44,000〜1,200,000円で提供
参照元
DirectCloud 公式サイト

従量課金型はデータ量に応じて費用が伸び、月額定額制はユーザーが増えても料金が変わりません。通常の復元は月額料金の範囲で行えますが、大容量の一括リストアやリージョンをまたぐ転送は別途費用がかかる場合があるため、予算化の際は各社の公式料金と見積もりで確認してください。

管理と運用の負担を見積もる

導入後の管理と運用にかかる負担についても、選定の段階で見積もっておきましょう。設定と監視を誰が担うのか、取得や復旧の状況を管理画面からひと目で把握できるのかによって、担当者の日々の手間が大きく変わるからです。

障害が起きたときの問い合わせ窓口や対応時間、日本語での対応があるかも確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。ここまでの確認項目を、下のチェックリストとして社内検討に活用してください。

  • 重要業務ごとの目標復旧時間と目標復旧レベルを定めたか
  • 必要な取得間隔と保存世代数を決めたか
  • 保管先の国とリージョンを確認したか
  • 本番環境から分離された保管ができるか確認したか
  • 通信時と保管時の暗号化方式を確認したか
  • 復旧の単位と手順、所要時間を確認したか
  • 容量が増えた場合の料金の変動を確認したか
  • 障害時のサポート窓口と対応時間を確認したか

導入から運用開始までの流れ

製品を選んだあとは、要件定義から本運用まで段階的に進めます。まず守るべき業務と復旧目標を固め、次にバックアップの対象範囲を決めます。続いて試験的に取得して動作を確認し、復旧テストで実際に戻せることと所要時間を検証します。問題がなければ本運用へ移行し、以降は取得の結果を通知やログで監視します。

DirectCloudで実現する安心・安全なクラウドバックアップ

ここまで見てきた課題の多くは、日本国内のデータセンターを利用する法人向けクラウドストレージのDirectCloudで対処できます。機器の故障によるデータ消失、拠点の被災による事業停止、誤削除やファイルの暗号化はもちろん、費用の見通しや運用の負担といった選定時の課題にも、DirectCloudの機能がそれぞれ対応する仕組みです。

課題 対応する機能 得られる状態
機器故障によるデータ消失 国内3カ所のデータセンターへの分散保存 単一拠点の障害でデータを失わない
拠点被災による事業停止 災害対策・遠隔地バックアップ(オプション) 別リージョンから復旧に着手できる
誤削除やファイルの暗号化 世代管理による復元 特定時点の状態に戻せる
利用者の増加に伴う費用の膨張 月額定額制・ユーザー数無制限(初期費用無料) 利用者が増えても月額費用を見通しやすい
導入後の管理・運用の負担 管理画面と、国内データセンターの24時間365日運用 運用状況を把握でき、国内体制で支えられる
機器故障によるデータ消失
対応する機能
国内3カ所のデータセンターへの分散保存
得られる状態
単一拠点の障害でデータを失わない
拠点被災による事業停止
対応する機能
災害対策・遠隔地バックアップ(オプション)
得られる状態
別リージョンから復旧に着手できる
誤削除やファイルの暗号化
対応する機能
世代管理による復元
得られる状態
特定時点の状態に戻せる
利用者の増加に伴う費用の膨張
対応する機能
月額定額制・ユーザー数無制限(初期費用無料)
得られる状態
利用者が増えても月額費用を見通しやすい
導入後の管理・運用の負担
対応する機能
管理画面と、国内データセンターの24時間365日運用
得られる状態
運用状況を把握でき、国内体制で支えられる
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国内3拠点への分散保存でデータ消失を防げる

国内3拠点への分散保存でデータ消失を防げる

DirectCloudでは、預けたファイルが国内3カ所のデータセンターに分散して保存されます。この3カ所はAWSの東京リージョン内で物理的に分かれており、複数の拠点で同じデータを保管するため、どこか1カ所で障害が起きても、ほかの拠点にデータが残るからです。

単一拠点のハードウェア故障でファイルを失う心配は小さくなりますが、同一リージョン内の構成のため、広域災害に備えるなら次に述べる遠隔地バックアップの併用が欠かせません。拠点分散を土台に、機器故障によるデータ消失を防げます。

参照元:DirectCloud|特徴

遠隔地バックアップで災害時も業務を継続できる

災害対策・遠隔地バックアップは、ビジネスプラン(月額130,000円)以上で利用できる有料オプションです。これを使えば、DirectCloudのデータを別リージョンに退避できます。大阪リージョンなどのDRサイト(災害時に切り替える代替の保管先)へ自動で同期されるため、東京リージョンに障害が起きても、退避先から復旧に着手できるからです。

同期は自動で実行されるので、システム管理の担当者に日々の作業は発生しません。サービス仕様では、DRサイトからの復旧について目標復旧時間(RTO)24時間以内が定められています。拠点被災による事業停止に対し、業務を止めにくくする有力な備えです。

参照元:DirectCloud|災害対策・遠隔地バックアップ

世代管理で誤削除やウイルス感染から復元できる

複数の世代を保持するDirectCloudなら、誤って上書きや削除をしても以前の状態に戻せます。一つ前だけでなく過去の複数時点のファイルを残しているため、間違いに後から気づいても、必要な時点までさかのぼって復元できるからです。

ランサムウェアにファイルを暗号化された場合でも、感染前の世代が残っていれば、そこから元のデータを取り戻せます。誤削除やウイルス感染に遭っても、特定の時点の状態へ戻せるのがこの世代管理の強みです。

参照元:DirectCloud|法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」の特徴

クラウドバックアップで課題を解決した事例

これまで説明してきたクラウドバックアップの効果は、実際の導入現場でも具体的な成果として表れています。ここで取り上げるのは、ファイルサーバーの老朽化、物理サーバーの損壊への備え、NAS(ネットワークに接続する共有ストレージ)の故障不安という、異なる課題をDirectCloudで解決した3社の事例です。

老朽化したサーバーを刷新しBCP対策を強化

物流を手がける株式会社アルプス物流様は、老朽化したファイルサーバーの刷新を機に、BCP対策を強化しました。導入前は、バックアップを取得していても復元時の工数が大きく、サーバーが災害で損壊するとバックアップごと引き出せなくなるリスクが課題でした。

DirectCloudへ移行し、有料オプションの災害対策・遠隔地バックアップを導入したことで、取得を自動化し、災害時にも24時間以内にデータを戻せる体制を整えています。全国に拠点を持つ同社にとって、BCP対策を自動化できた点が導入の決め手となりました。

損壊リスクに備えバックアップ工数を削減

土木工事を手がける山﨑建設株式会社様は、ファイルサーバーが抱えるBCP上のリスクを改善しました。以前は、ファイルサーバーの管理がBCP上のリスクとなっていたうえ、物理サーバーが損壊した場合への備えや、バックアップの取得とハードディスクの交換にかかる工数が負担でした。

DirectCloudにデータを統合したことで、サーバーの破損リスクを抑えつつ、BCP上のリスクを解消できました。バックアップの取得やハードディスクの管理にかけていた工数も削減しています。損壊への備えと運用工数の軽減を両立した例です。

NASの故障不安を解消し内部統制を強化

不動産管理のトーセイ・コミュニティ株式会社様は、5台・5TBのNASを約1か月でクラウドへ移行しました。移行前は、ファイルサーバーの故障によるデータ消失を懸念し、堅牢なバックアップ体制を求めていました。さらに、前任者の退職で権限設定がブラックボックス化し、操作ログも十分に取れていませんでした。

AWS東京リージョン内の3カ所に分散保存されることで、故障の不安とバックアップの手間から解放され、アクセス権も容易に把握できるようになりました。250種類以上の操作ログ取得機能で、内部統制も強化できています。

よくある質問(FAQ)

  • クラウドバックアップとクラウドストレージの違いは?
  • クラウドストレージは日常的な保存と共有、クラウドバックアップはデータの復元を主な目的とします。同期型のストレージは誤削除や暗号化が同期先に反映される場合があり、世代管理やごみ箱があればバックアップ用途を兼ねられます。
  • 費用はどのくらいかかりますか?
  • 費用は課金体系で決まります。従量課金の例では、AWS Backupがバックアップ保存1GBあたり月0.05米ドルから(復元は1GBあたり0.02米ドル)、Microsoft 365 Backupが保護データ1GBあたり月0.15米ドルです。DirectCloudのような月額定額制では、ユーザー数無制限・初期費用無料で、容量別のプラン料金(月額44,000〜1,200,000円)となります。実際の金額は各社の公式料金と見積もりで確認しましょう。
  • 復元にはどのくらい時間がかかりますか?
  • 通信環境とデータ量に左右されます。インターネット経由の転送のため、回線の帯域が狭かったり距離が遠かったりすると時間がかかります。復旧目標(目標復旧時間)を先に定め、復旧テストで所要時間を実測しておくと安心です。
  • 無料でも使えますか?
  • 無料プランやトライアルを用意するサービスもありますが、法人利用では容量や世代数、サポートの範囲が有料プランで確保されるのが一般的です。復旧目標や保管の要件を満たせるかを基準に選びましょう。

まとめ

クラウドバックアップは、災害や機器の故障、ランサムウェアからデータを守り、事業を止めないための有効な手段です。ただし取得しているだけでは復元できないこともあり、どこに保管し、どう運用するかが復旧の成否を分けます。だからこそ、復旧目標やコスト、ランサムウェア対策といった観点から、自社の要件に合う製品を選ぶことが欠かせません。

日本国内のデータセンターで運用されるDirectCloudなら、3拠点への分散保存でデータ消失を防ぎ、遠隔地バックアップで災害時の業務継続を支え、世代管理で誤削除やウイルス感染からの復元にも対応できます。ユーザー数無制限の定額で、安心・安全なデータ保護を実現できるDirectCloudを、ぜひ導入候補としてご検討ください。

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