生成AIの社内活用が広がるなか、社内データをAIに使わせる方法として「RAG」と「MCP」が並べて語られる場面が増えました。ただ、どちらも外部の情報をAIに渡す点が共通するため、情報システム部門やDX推進の担当者にとって、違いや自社に合う選び方は判断しにくい状況にあります。実際には、RAGは回答の精度を高める手法、MCPはAIと外部をつなぐ規格であり、比べる層が異なる仕組みです。
本記事では、MCPサーバーとRAGの関係を含めた両者の役割の違いや、社内ファイルを扱う際に差が出る点、使い分けと併用の判断軸を解説します。社内データをAIに使わせる方法を選ぶ際の参考にしてください。
本記事のサマリ
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RAGは社内文書を検索して回答に生かす手法、MCPはAIと外部をつなぐ規格であり、比べる層が異なる
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社内ファイルを扱う際は、更新の反映や閲覧権限の適用、記録の範囲、運用の負担に違いが出る
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文書に答えさせるならRAG、外部システムの操作まで任せるならMCPを軸に、併用も含めて選ぶ必要がある
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高精度RAGとMCPサーバーを備えたDirectCloud AIなら、両者を一つの基盤で使い分けられる
目次- 1. MCPとRAGの違いは「手法」と「規格」
- 2. MCPとRAGを6つの観点で比較する
- 3. 社内ファイルをAIに使わせる際の違い
- 4. MCPとRAGの使い分けと併用の考え方
- 5. 導入を進める前に確認したいこと
- 6. RAGとMCPの両方に対応するDirectCloud AI
- 7. AIに渡すデータの土台を整えた事例
- 8. よくある質問
- 9. まとめ
MCPとRAGの違いは「手法」と「規格」
検索拡張生成(RAG)とModel Context Protocol(MCP)の違いは、比べる層にあります。RAGは回答の精度を高めるために外部の情報を検索してAIに渡す「手法」、MCPはAIと外部のツールやデータをつなぐ「規格」です。
MCPが定めるのは接続の取り決めまでで、受け取った情報をAIがどう使うかまでは定めていません。本記事は、企業での利用を想定した内容です。RAGとMCPの定義と混同されやすい理由を、続く3つの項目で説明します。
RAGは社内文書を検索して回答に生かす手法
RAGは、AIが回答する前に社内文書などから関連する情報を検索し、その内容を入力に追加して回答を生成させる手法です。事前に社内文書を整形・分割し、意味を数値で表した「埋め込み」に変換して検索用のデータベースへ取り込みます。質問を受けるたびに「検索→入力への追加→生成」を繰り返す流れです。
AIモデルを学習し直さなくても、社内固有の情報や学習後に作られた情報を回答に反映できる点が、企業でRAGが使われる理由となっています。精度を左右する要素や運用上の課題は、下記の記事でも解説していますので、ぜひご一読ください。
MCPはAIと外部をつなぐ共通規格
AIアシスタント「Claude」を開発するAnthropic社が2024年11月に公開したMCPは、AIアプリケーションと社内外のデータやツールをつなぐオープンな標準規格です。AIアプリケーション(MCPホスト)は、接続先ごとに用意される「窓口」のプログラムであるMCPサーバーへ、サーバーごとに用意したMCPクライアントを通じて1対1で接続します。
MCPサーバーの機能は、操作を実行する「ツール」、参照用データの「リソース」、定型の指示である「プロンプト」の3つです。2025年12月には非営利団体Linux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)へ寄贈され、特定のAIベンダーに依存しない中立の規格として運営されています。
参照元:Google Cloud|What is Model Context Protocol (MCP)? A guide
参照元:Anthropic|Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation
混同されやすいのは外部の情報を渡す点が共通だから
RAGとMCPが混同されやすいのは、AIが学習していない外部の情報を回答や作業に生かす目的が重なり、同じ土俵で比較されがちだからです。ただ、RAGは検索した文書を入力に加える「渡し方」、MCPはデータやツールとの「つなぎ方」を指すため、どちらか一方を選ぶ関係にはありません。
RAGが参照するデータの取得元には、データベースやAPI(システム同士がデータをやり取りする仕組み)も含まれうるので、両者が重なって見えるわけです。RAGの検索処理をMCP経由で呼び出す構成もあり、詳細は併用の章で扱います。
MCPとRAGを6つの観点で比較する
位置づけ・目的・データの向き・主な対象・主な構成要素・標準化の6つの観点から、RAGとMCPの違いを下表にまとめました。
| 比較項目 | RAG(検索拡張生成) | MCP(Model Context Protocol) |
| 位置づけ | 回答の精度を高めるための手法 | AIと外部をつなぐためのオープンな標準規格 |
| 目的 | 外部の文書から関連情報を検索し、回答の根拠に加える | AIアプリケーションと外部のツールやデータの接続方法をそろえる |
| データの向き | 検索した情報をAIの入力に加える読み取りが中心 | データの参照に加え、ツールを通じた外部システムの操作も扱う |
| 主な対象 | 事前に検索用に取り込んだ社内文書など | ファイル、データベース、API、業務システムなどの接続先 |
| 主な構成要素 | 埋め込み、検索用データベース、検索、生成 | MCPホスト、MCPクライアント、MCPサーバー(ツール・リソース・プロンプト) |
| 標準化 | 実装方法は提供者ごとに異なり、共通の接続規格ではない | 公開された仕様にもとづく共通の規格 |
| RAG(検索拡張生成) | |
| 位置づけ | 回答の精度を高めるための手法 |
| 目的 | 外部の文書から関連情報を検索し、回答の根拠に加える |
| データの向き | 検索した情報をAIの入力に加える読み取りが中心 |
| 主な対象 | 事前に検索用に取り込んだ社内文書など |
| 主な構成要素 | 埋め込み、検索用データベース、検索、生成 |
| 標準化 | 実装方法は提供者ごとに異なり、共通の接続規格ではない |
| MCP(Model Context Protocol) | |
| 位置づけ | AIと外部をつなぐためのオープンな標準規格 |
| 目的 | AIアプリケーションと外部のツールやデータの接続方法をそろえる |
| データの向き | データの参照に加え、ツールを通じた外部システムの操作も扱う |
| 主な対象 | ファイル、データベース、API、業務システムなどの接続先 |
| 主な構成要素 | MCPホスト、MCPクライアント、MCPサーバー(ツール・リソース・プロンプト) |
| 標準化 | 公開された仕様にもとづく共通の規格 |
6つの観点のうち、社内ファイルの扱いに直結するのはデータの向きです。RAGは文章を作るための情報を受け身で取得する仕組みで、外部システム内で操作を実行する用途には通常使われません。MCPはAIと外部を双方向につなぎ、ツールを通じてファイル操作やAPIの呼び出しまで担えます。
たとえば、休暇の申請方法を答えさせるならRAGで足りますが、勤怠システムへ申請を登録させるにはMCPのツールが必要です。読み取りだけか操作まで含むかの違いは、AIに社内ファイルを使わせる際の管理範囲を左右し、業務での使い分けにもつながります。
参照元:Google Cloud|What is Model Context Protocol (MCP)? A guide
社内ファイルをAIに使わせる際の違い
社内のファイルをAIに使わせる方式は、事前に文書を取り込んで検索するRAG型と、実行時に接続先からデータを取得するMCP型の2つに分かれます。ここでいうMCP型は規格名ではなく、MCP経由で必要な時点にデータを取りにいく構成を指す呼び方です。データを手元に置く時点が異なるため、管理で気をつける点も変わります。
向き不向きは自社が重視する条件によって分かれるものであり、優劣の問題ではありません。以下では、RAG型とMCP型の差が表れる更新の反映、閲覧権限の適用、記録の範囲、運用の負担の4点について解説します。
更新が回答に反映されるタイミング
RAG型では、元のファイルを更新しても、検索用データベースへの再取り込みが終わるまで回答に新しい内容は反映されません。文書を事前に取り込み、その写しを検索する仕組みだからです。たとえば価格表を差し替えた直後に質問すると、AIが古い価格で答えるおそれがあります。
一方のMCP型は、AIが必要になった時点で接続先からデータを取得するため、更新頻度の高い情報を扱いやすい点が強みです。ただし、大量の文書から目的の情報を探す場面では、接続先が備える検索機能の性能に結果が左右されることも覚えておきましょう。
閲覧権限が適用されるタイミング
閲覧権限の適用にも、方式による差があります。RAG型では、文書と一緒に権限情報を検索用データベースへ取り込み、検索のたびに利用者ごとに結果を絞り込む設計が必要です。権限情報を取り込み時点で写し取る構成の場合、元のフォルダで権限を変えても、反映されるまでずれが生じかねません。
MCP型では、利用者本人の認証で接続先に問い合わせる構成にすると、接続先で設定された権限をそのまま適用しやすくなります。なお、MCPの規格自体は権限管理や利用者の同意を強制せず、各サービスの実装に委ねています。
記録として残せる操作の範囲
記録として残すべき内容は、AIが読むだけか、操作まで行うかで変わります。RAG型の記録は、誰が何を質問し、どの文書が検索・参照されたかという「参照の記録」が中心です。
MCP型では、AIがどのツールをどの内容で実行したかという「実行の記録」まで残さなければなりません。MCPのツールは外部システムへの操作を伴うため、実行前の確認と事後の追跡を両方そろえる必要があります。
たとえば、AIが共有フォルダのファイルを移動したとき、誰の指示で何が動いたかを記録からたどれなければ、誤操作の原因を特定できません。
運用の負担がかかる場所
手間がかかる場所で比べると、RAG型はデータの整備、MCP型は接続の統制に負担が集まる点で両者は異なります。RAG型で担うのは、文書の整形・分割、検索用データベースの更新、回答精度の評価で、いずれも一度で終わる作業ではありません。
MCP型では、接続先の追加と管理、認証情報の管理、利用を許可する範囲の設定に手間がかかります。自社の体制がデータの整備と接続の統制のどちらを担いやすいかが、続く使い分けを判断する材料です。
MCPとRAGの使い分けと併用の考え方
RAGとMCPのどちらを主に使うかは、AIに求める役割によって決まります。社内の文書を読ませて答えさせたいならRAG、外部システムにつないで作業まで任せたいならMCPが中心です。実務では、どちらか一方に決めるより、目的に応じて両者を組み合わせる場面も少なくありません。
RAGが向いている業務
蓄積された文書をもとに、根拠を示して回答させる業務にはRAGが向いています。社内規程やマニュアル、製品資料、過去の問い合わせ履歴を取り込んでおけば、AIが関連する箇所を探して答えを返せるからです。
たとえば、情報システム部門や総務に寄せられる「VPNの接続手順」「備品の申請方法」といった社内問い合わせへの対応がこれにあたります。営業部門が似た案件の提案資料を探す場面も、RAGを生かしやすい業務です。根拠となる文書がまとまっていて、更新頻度が比較的低い情報ほど、RAGの効果を得やすくなります。
MCPが向いている業務
チケットの起票や予定の登録、業務システムへの登録のように、外部システムの操作までAIに任せる業務ではMCPが役立ちます。MCPのツールは、AIが外部の機能を呼び出して作業する仕組みだからです。在庫や案件の状況など、問い合わせのたびに最新の値を取得したい業務にも向いています。
商談前に在庫を尋ねられたAIが、在庫管理システムから現時点の数を取り出して答える使い方がその一例です。共通規格のため、ChatGPTやMicrosoft Copilotなど複数のAIツールから同じ接続先を使える点も見逃せません。
RAGの検索機能をMCPサーバー経由で使う構成
RAGの検索機能をMCPサーバーのツールとして提供すれば、ClaudeやChatGPTなど使い慣れたAIツールから社内文書を検索・取得できます。この構成では、AIツール側はMCPで接続するだけでよく、検索の精度はMCPサーバーの背後にあるRAGの仕組みが担うという役割分担です。
RAGで出張規程から上限額を確かめ、MCPで許可された範囲に限って経費システムへ出張申請を登録させる組み合わせ方もあります。併用する際は参照と実行の両方で統制を設計しなければならず、導入前の確認事項も多くなるわけです。
導入を進める前に確認したいこと
導入するのがRAGとMCPのどちらであっても、事前に確かめておきたい項目を下の6つにまとめました。デジタル社会の実現を進めるデジタル庁は、「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」の中で、利用形態やユースケースによって想定されるリスクは変わると示しています。各項目は、社内問い合わせ対応や業務システムへの登録といった用途ごとに点検してください。
- ●AIに読ませる文書の範囲と、正本となる保存場所が決まっているか
- ●文書の更新が検索や回答に反映されるまでの時間を把握しているか
- ●フォルダや文書の閲覧権限が、AI経由の利用でも守られる仕組みか
- ●AIに許可する操作が参照のみか、作成・更新まで含むかを決めたか
- ●誰がAI経由で何を参照・実行したかを記録し、確認できるか
- ●取得したデータが接続先のAIサービスでどう扱われるかを確認したか
進め方としては、確認できない項目が多いほど、参照のみ・RAG中心の小さな構成から始めるのが安全です。効果と記録を確認しながら作成・更新といった操作へ段階的に広げれば、想定外の操作が起きたときの影響も小さく抑えられます。
RAGとMCPの両方に対応するDirectCloud AI
法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」のAIサービスであるDirectCloud AIは、高精度RAGとMCPサーバーの両方を備えています。社内文書をもとにした回答、閲覧権限を守ったファイル利用、AI経由の操作の追跡と誤操作への備えという、本文で取り上げた課題に1つのサービスでまとめて対応できる点が特徴です。
高精度RAGが意味で探す精度を担い、MCPサーバーがRAGでは届きにくい大量のファイルや深い階層まで参照範囲を広げる点は、本文で触れた併用の一つの形です。課題と機能の対応関係を下表に示し、それぞれの機能の詳細を続く3つの項目で説明します。
| 本文で扱った課題 | DirectCloud AIの機能 | 得られる効果 |
| 社内文書をもとに根拠のある回答を得たい | 高精度RAG | DirectCloudに保管した社内文書をもとに回答を得られる |
| 使い慣れたAIツールから閲覧権限を守って社内ファイルを使いたい | MCPサーバー(利用者の権限範囲でのみ動作) | 権限のある範囲だけで社内ファイルを検索・取得できる |
| 大量のファイルや深い階層のデータもAIに参照させたい | MCPサーバー(大量ファイル・下位フォルダへのアクセス) | 高精度RAGでは届きにくいデータまでAIの参照範囲を広げられる |
| AI経由で誰が何をしたかを追跡したい | API操作ログの保存 | AI経由の操作を後から確認できる |
| AIによる誤操作や想定外の実行に備えたい | 削除時のゴミ箱移動、ワンタイムリンクでのダウンロード | ゴミ箱に残っている間は削除したファイルを復元でき、ダウンロード用リンクの使い回しも防げる |
| 社内文書をもとに根拠のある回答を得たい | |
| DirectCloud AIの機能 | |
| 高精度RAG | |
| 得られる効果 | |
| DirectCloudに保管した社内文書をもとに回答を得られる | |
| 使い慣れたAIツールから閲覧権限を守って社内ファイルを使いたい | |
| DirectCloud AIの機能 | |
| MCPサーバー(利用者の権限範囲でのみ動作) | |
| 得られる効果 | |
| 権限のある範囲だけで社内ファイルを検索・取得できる | |
| 大量のファイルや深い階層のデータもAIに参照させたい | |
| DirectCloud AIの機能 | |
| MCPサーバー(大量ファイル・下位フォルダへのアクセス) | |
| 得られる効果 | |
| 高精度RAGでは届きにくいデータまでAIの参照範囲を広げられる | |
| AI経由で誰が何をしたかを追跡したい | |
| DirectCloud AIの機能 | |
| API操作ログの保存 | |
| 得られる効果 | |
| AI経由の操作を後から確認できる | |
| AIによる誤操作や想定外の実行に備えたい | |
| DirectCloud AIの機能 | |
| 削除時のゴミ箱移動、ワンタイムリンクでのダウンロード | |
| 得られる効果 | |
| ゴミ箱に残っている間は削除したファイルを復元でき、ダウンロード用リンクの使い回しも防げる | |
社内文書をもとに高い精度で回答を得られる
DirectCloud AIの高精度RAGを使うと、DirectCloudに保管した社内文書をもとに回答を得られます。文書を安全に保管したまま、必要な情報を検索して回答に生かす仕組みです。解析の面では、表の行と列の関係を保ったまま読み取ることで、従来は崩れていた数値も正しく扱えるよう改良されています。
たとえば、四半期ごとの経費を記録した表から、部門別の推移をまとめさせる使い方が可能です。原本ファイルの保存先は国内データセンターで、顧客のデータはモデルの学習に使われません。
使い慣れたAIから権限の範囲内で社内ファイルを使える
DirectCloud MCPサーバーなら、Claude・ChatGPT・CopilotなどMCP対応のAIツールから、DirectCloud内のファイルを検索・取得できます。AIは利用者の権限範囲でのみ動き、アクセス権のあるフォルダならサブフォルダまで検索の対象になる一方、権限のないフォルダは参照できません。
高精度RAGの基本機能では届きにくい大量のファイルや深い階層のデータにも、MCPサーバー経由ならAIが迷わずアクセスできます。全データを一括で外部へ送るのではなく、操作と権限に応じて必要な検索結果だけが取得される仕組みです。AI機能は初期状態では無効で、管理者が許可した利用者と範囲だけが段階的に開放されます。
AI経由の操作を記録して監査に生かせる
DirectCloud AIの製品ページには「全API操作のログを保存」とあり、AI経由の操作も誰が・いつ・何をしたかの記録対象です。どのファイルが誰の指示で扱われたかを後から確かめられるため、IT監査や内部統制の検証に役立ちます。
管理者は管理画面でファイル操作ログを表示し、ログファイルとしてダウンロードすることも可能です。たとえば、退職予定者がAI経由で大量の資料を取得していないかを、ダウンロードしたログを表計算ソフトで絞り込んで調べるといった事後調査に生かせます。
誤操作への備えとして、AIによる削除はゴミ箱への移動となり、ダウンロードにはワンタイムリンクを使う設計です。AIが誤って削除したファイルも、ゴミ箱に残っている間は、ログで経緯を確かめたうえで元に戻せます。
AIに渡すデータの土台を整えた事例
RAGで社内文書を検索させる場合も、MCPでファイルを取得させる場合も、AIに渡すデータが探しやすい状態にあり、権限と記録が管理されていなければ期待した効果は得られません。DirectCloudに保管したファイルは、そのまま高精度RAGやMCPサーバーからAIが参照する対象です。
ここでは、データの土台をDirectCloudで整えた例として、物流業の株式会社アルプス物流様と製造業の株式会社ヨシザワ様の事例をご紹介いたします。
探せなかった文書をすぐ検索できる状態へ
電子部品を主な貨物とする総合物流企業の株式会社アルプス物流様では、従来のファイルサーバーに文書検索機能がなく、必要なファイルをすぐに探し出せないことが課題でした。
DirectCloudの導入後は、文書検索機能によって必要なファイルを瞬時に検索できるようになりました。フォルダを指定した絞り込みや文書内テキストの検索も、標準で備わっています。拠点ごとのファイルサーバーで管理していたデータもクラウドストレージに統合され、他拠点のファイルも共有フォルダからすぐに使える体制が整いました。
権限管理の負担を減らし統制できる状態へ
工業用の包装トレーなどを製造する株式会社ヨシザワ様では、ファイルサーバーの管理が属人化し、ユーザーの運用ポリシーも統一されていませんでした。アクセス権の管理にかかる負担も、管理者にとって看過できない状況だったといいます。
DirectCloudの導入後は、組織のセキュリティポリシーに応じて部署ごとにアクセス制限を設けられる環境に移行しました。管理画面で250種類以上の操作ログを収集し、社内統制の強化にもつなげています。ファイルサーバー運用に関する管理者の負担からも解放されたとのことです。
よくある質問
MCPとRAGについて調べていると、APIやLLM、Agentic RAGといった関連用語にも出会います。本文では詳しく扱わなかったこれらの用語について、MCPとRAGの検討を進めるうえで疑問になりやすい4つの質問を取り上げ解説します。
MCPとAPIの違いは?
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APIは、システム同士が機能やデータをやり取りするための窓口です。一方のMCPは、AIがそうした機能やデータを共通の手順で使うための規格を指します。MCPサーバーの内部では、データベースやWebサービスにつなぐ既存のAPIが呼び出されることが多く、MCPがAPIを置き換えるわけではありません。
たとえば会議室の予約システムがAPIを公開していれば、MCPサーバーはそのAPIで空き状況を取得し、AIが扱える形に変換して渡します。 Agentic RAGとは何ですか?
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Agentic RAGは、検索の進め方をAI自身が判断するRAGの発展形です。質問と会話の流れを分析し、複雑な質問を単純な問いに分解したうえで、使う検索手段を選んで必要に応じて複数回検索します。
回答の品質を確かめながら、足りなければ追加で検索する点が、文書を検索してそのまま回答する通常のRAGとの違いです。網羅的な回答を得やすい反面、検索の回数が増えるぶん、応答に時間がかかる場合があります。 MCPがあればRAGは不要ですか?
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MCPがあっても、RAGの役割はなくなりません。MCPはAIと接続先をつなぐ規格であり、検索の手法であるRAGとは担う部分が異なります。MCPでファイルを取得できても、大量の文書から意味で探して根拠を示すには、ベクトル化(文書の意味を数値で表す処理)などRAG型の仕組みが必要です。
DirectCloud AIでも、ベクトル化していないファイルはファイル名やフォルダ、メタデータでの検索となり、内容の意味で探せるかどうかは、AIによる解析(ベクトル化)が済んでいるかどうかに左右されます。両方の仕組みを併せ持つ構成なら、互いの不足を補える点が魅力です。 LLMとRAGはどう違いますか?
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大規模言語モデル(LLM)は、文章を理解・生成するAIモデルそのものにあたります。これに対してRAGは、LLMに外部の情報を渡して回答させる手法です。LLMの知識は学習した時点のものに限られ、その後に作られた情報や社内固有の情報は持っていません。
そこで、社内文書などから関連する情報を検索してLLMに渡し、モデルを学習し直さずに足りない知識を補う方法としてRAGが使われています。
まとめ
MCPとRAGは、どちらか一方を選ぶ関係ではありません。RAGは社内文書を検索して回答に生かす手法、MCPはAIと外部のデータやツールをつなぐ規格であり、役割が異なるためです。文書を読ませて答えさせたいならRAG、外部システムの操作まで任せたいならMCPを軸に、目的に応じて使い分けや併用を検討しましょう。まずは参照に範囲を絞って始めれば、社内データを安全に使いながらAIの活用範囲を広げられます。
DirectCloud AIは、DirectCloudに保管した社内文書をもとに回答する高精度RAGと、Claude・ChatGPT・CopilotなどのAIツールから利用者の権限範囲でファイルを検索・取得できるMCPサーバーの両方を備えています。全API操作のログを保存するため、AI経由で誰が何をしたかを後から確かめられる点も特長です。RAGとMCPを一つの基盤で使い分け、社内データの活用と統制を両立したい企業のご担当者様は、ぜひ導入をご検討ください。
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