ゼロトラストセキュリティ導入戦略

デジタル化とクラウド活用が進む中、企業防衛の要は「信頼の継続性」です。
境界型防御では防ぎきれない攻撃が増加し、取引先や委託先を含むサプライチェーン全体がリスクにさらされています。
そのような中、求められるのはすべてのアクセスを常時検証するゼロトラストセキュリティです。

本コラムでは、その基本概念と導入効果、クラウドストレージ比較、運用におけるベストプラクティスを解説します。

本記事のサマリ

  • 境界型防御の限界により、サプライチェーン全体を継続的に検証する「ゼロトラストセキュリティ」が企業価値維持の鍵となっている。
  • XDR・ID管理・多層防御を組み合わせた統合的セキュリティ基盤が、サイバー攻撃急増時代の必須要件として位置づけられる。
  • DirectCloudをはじめとするゼロトラスト対応クラウド基盤により、操作ログの統合、監査の効率化、説明責任の強化を実現でき、経営価値の向上に直結する。

サプライチェーン全体の信頼を守る企業へ ─ ゼロトラストセキュリティが“経営投資”になる理由

デジタル化が進む今、企業価値を左右するのは“サプライチェーン全体で信頼を守れるか”です。1社の脆弱性が全体へ波及する中、サイバーセキュリティは将来の信頼を守るための経営投資へと位置づけが変わっています。
データ共有の透明性まで確保できるクラウドストレージは、もはやIT資産ではなく“経営管理資産”へと進化しています。
ゼロトラストセキュリティが注目されるのは、経営面では企業価値向上を支える施策であり、情報システム部門にとっては運用負荷を抑えながら統制を強化できる仕組みでもあるためです。
次の項目では、このゼロトラストセキュリティの考え方を支える「主要要素」について、より具体的に解説していきます。

ゼロトラストセキュリティの基本理解

ゼロトラストセキュリティとは、「従来の「社内は安全」という前提を捨て、あらゆるアクセスに対して常に正当性を確認する考え方」です。

この「決して信用せず、常に検証する」を実現するには、複数の要素を組み合わせた総合的な仕組みが必要となります。

まず、XDR(eXtended Detection and Response) は、ゼロトラストの「常時監視・迅速対応」を担う中核的な技術です。
端末・クラウド・ネットワークといった個別領域ごとに散らばるログを統合し、攻撃の兆候を横断的に分析します。単体のシステムでは見逃しがちな複合攻撃も早期に発見でき、企業全体のセキュリティ態勢を一段引き上げます。

一方、ゼロトラストのもう一つの柱が IdP(Identity Provider)です。IdPはIDを一元管理し、多要素認証とリスクベース判定を実現します。
「誰がアクセスしているのか」を正確に特定することはゼロトラストの核心であり、取引先や委託先のアカウントも含めて統合管理することで、サプライチェーン全体の安全性を高めることができます。

さらに、情報漏えい対策としては、データ暗号化・アクセス権限制御・ログ監視・不審行為の自動遮断といった多層防御が不可欠です。
統合IDガバナンスと組み合わせることで、社員や外部関係者を共通基盤で認証し、どのデータに誰がアクセスできるのかを常に検証します。

ゼロトラストアクセス制御は端末・時間・場所から動的に判断します。状況対応の柔軟制御でセキュリティと利便性を両立します。

ゼロトラスト主要要素まとめ

項目 概要 主な要素・機能
1. ID統制(最重要基盤) ネットワークを信頼しない前提で、IDを中心とした厳格なアクセス管理を行う。 IDの一元管理(オンプレ/クラウド統合)
SSO(利便性向上とパスワードリスク低減)
アクセスコントロール(属性・場所・デバイス状態に応じた動的認証/MFA)
2. デバイス統制・保護 社外にある端末の安全性を確認し、問題ある端末からのアクセスを制御する。 MDM(機能制限、紛失時ロック、設定強制)
EDR(振る舞い検知、未知の脅威対応、感染隔離)
3. ネットワークセキュリティ 従来VPNに代わり、アプリ単位での認証やクラウド利用の安全性を確保する。 IAP(アプリ単位の認証・制御)
SWG / CASB(Web通信制御、シャドーIT可視化・制御)
4. データ漏洩防止 データを資産と捉え、不正閲覧や持ち出しを防ぐ。 DLP(機密情報のアップロード/コピー制限)
IRM(ファイル暗号化、閲覧/編集/印刷などの権限管理)
5. ログの収集・分析 システム全体の状況を可視化し、異常検知や改善に役立てる。 SIEM(ログ集約・相関分析、攻撃・異常検知)
全体連携 各要素が連動し、動的なアクセス制御を行う。 例:IDaaS が MDM/EDR の端末リスク情報を参照して安全でない端末からのアクセスを拒否
1. ID統制(最重要基盤)
概要ネットワークを信頼しない前提で、IDを中心とした厳格なアクセス管理を行う。
主な要素・機能IDの一元管理(オンプレ/クラウド統合)
SSO(利便性向上とパスワードリスク低減)
アクセスコントロール(属性・場所・デバイス状態に応じた動的認証/MFA)
2. デバイス統制・保護
概要社外にある端末の安全性を確認し、問題ある端末からのアクセスを制御する。
主な要素・機能MDM(機能制限、紛失時ロック、設定強制)
EDR(振る舞い検知、未知の脅威対応、感染隔離)
3. ネットワークセキュリティ
概要従来VPNに代わり、アプリ単位での認証やクラウド利用の安全性を確保する。
主な要素・機能IAP(アプリ単位の認証・制御)
SWG / CASB(Web通信制御、シャドーIT可視化・制御)
4. データ漏洩防止
概要データを資産と捉え、不正閲覧や持ち出しを防ぐ。
主な要素・機能DLP(機密情報のアップロード/コピー制限)
IRM(ファイル暗号化、閲覧/編集/印刷などの権限管理)
5. ログの収集・分析
概要システム全体の状況を可視化し、異常検知や改善に役立てる。
主な要素・機能SIEM(ログ集約・相関分析、攻撃・異常検知)
全体連携
概要各要素が連動し、動的なアクセス制御を行う。
主な要素・機能例:IDaaS が MDM/EDR の端末リスク情報を参照して安全でない端末からのアクセスを拒否

サプライチェーン防衛におけるゼロトラストセキュリティの重要性

国際的な報告では、サプライチェーン防衛におけるゼロトラストセキュリティの重要性が高まっています。サプライチェーン攻撃が全脅威の10.6%を占め、約4,900件のインシデント分析で顕著な脅威増加が確認されています。 (参照:European Network and Information Security Agency「ENISA THREAT LANDSCAPE 2025」(October 2025) P8、P15) 企業単体の防御ではリスクを止められない現状を踏まえ、政府や産業界では「取引関係を含むセキュリティ連携」を経営課題と位置づけています。
経営層にとってゼロトラストセキュリティは、単なるセキュリティ投資ではなく企業の説明責任を果たし、企業価値向上を実現する仕組みです。情報システム部門にとっては、社内外を跨ぐセキュリティポリシーを一元的に管理する手段となります。 (参照:独立行政法人情報処理推進機構 「ゼロトラスト移⾏のすゝめ」 (2022年6月) P36)

ファイルサーバー vs クラウドストレージ

ゼロトラストセキュリティの導入を成功させるには、計画的かつ段階的なアプローチが重要です。まず、PoC(試験導入)により実環境での効果を検証し、課題を明確化します。

次に、認証と権限管理を一元化できる統合ID基盤を整備し、属性ベースのアクセス制御ポリシーを策定します。

運用段階では、あらゆるユーザー操作ログを自動収集し、異常行動を早期に検知できる体制の構築が不可欠です。ゼロトラストを「理想」ではなく「実践」にするうえで、継続的な監視と改善は欠かせません。

こうしたゼロトラストの要件を踏まえると、企業が利用する情報ストレージのあり方も見直す必要があります。特に、従来型のオンプレミスファイルサーバーを使い続けるのか、ゼロトラストの思想に沿ったクラウドストレージへ移行するのかは、多くの企業が検討を迫られるテーマです。
その違いを整理した比較表が以下のとおりです。

比較項目 ファイルサーバー クラウドストレージ
アクセス制御 社内IP中心 MFA+属性ベース(ABAC)
監査対応 手動収集 閲覧・ダウンロード・共有履歴を自動保存
運用コスト インフラ維持費高 サブスクリプション制で可変
コラボレーション 部門間連携に制約 権限付き自動共有で即時連携
法令準拠 通常非対応 ISO27001・ISMAP準拠
ゼロトラストセキュリティ対応 限定的 常時検証・最小権限を標準化
アクセス制御
ファイル
サーバー
社内IP中心
クラウド
ストレージ
MFA+属性ベース
(ABAC)
監査対応
ファイル
サーバー
手動収集
クラウド
ストレージ
閲覧・ダウンロード・
共有履歴を自動保存
運用コスト
ファイル
サーバー
インフラ維持費高
クラウド
ストレージ
サブスクリプション制で
可変
コラボレーション
ファイル
サーバー
部門間連携に制約
クラウド
ストレージ
権限付き自動共有で
即時連携
法令準拠
ファイル
サーバー
通常非対応
クラウド
ストレージ
ISO27001・ISMAP準拠
ゼロトラストセキュリティ対応
ファイル
サーバー
限定的
クラウド
ストレージ
常時検証・最小権限を
標準化

従来型のファイルサーバーは社内IPアドレスを基準としたアクセス制御が中心で、監査対応には手動でのログ収集が必要でした。

一方、ゼロトラストセキュリティに対応したクラウドストレージは、多要素認証と属性ベースのアクセス制御により、柔軟かつ強固なセキュリティを実現します。

ISO27001と国内データセンターの経営的意義

ISO27001は、企業がサイバーリスクを組織的に管理できているかを第三者が証明する国際標準です。
この運用によりリスクが可視化され、経営判断と予算配分を継続的に見直す仕組みが整います。
経営層の説明責任を裏付け、取引先証明や株主開示、行政調達要件に活用可能です。
国内データセンター採用で国外リージョン依存リスクを抑え、データ保護法制変更にも柔軟に対応できます。

DirectCloudが実現するゼロトラストセキュリティと強み

DirectCloudはISO27001、27017認証と国内データセンター運用により、高い信頼性を確保しています。
また、DirectCloudは官公庁・教育・製造など幅広い業界への導入実績があり、業種特有のセキュリティ要件にも柔軟に対応します。
さらに、管理者とユーザー合わせて、250種類以上の操作ログが記録されるようになっており、ユーザーの行動は証跡として正確に残ります。
DirectCloudの操作ログには、社内のユーザーだけではなく、取引先・委託先・外部ユーザーの操作までもれなく記録されるため、サプライチェーンを含む広範なリスク管理が可能です。
IPアドレス制限、デバイス認証、多要素認証を組み合わせた多層防御が実現されているのも特徴です。

まとめ

デジタル化が加速する今、企業価値を支える鍵は「信頼の継続性」です。サプライチェーンが密接に連結する中で、1社の脆弱性が全体へ波及する課題が顕在化しており、サイバーセキュリティは信頼維持のための“経営投資”として捉える必要があります。
境界防御に依存しないゼロトラストセキュリティは、すべての通信・操作を常に検証し、企業の信頼性を支える新たな標準です。クラウドストレージも、データ共有の透明性と統制を担う“経営管理資産”へと進化しています。
ゼロトラストセキュリティは防御の再構築に留まらず、経営の説明責任や価値創造の基盤を強化します。DirectCloudはこの理念を体現し、サプライチェーン全体を信頼でつなぐプラットフォームです。
経営層には投資対効果の高い基盤として、情報システム部門には運用負荷を抑えながら全社統制を実現する手段として機能します。今後は、中期経営計画にゼロトラストセキュリティへの移行を位置づけ、ISO27001やデジタル庁ガイドラインを参考に最適な戦略を構築していきましょう。

ゼロトラストセキュリティに関わるよくある質問

  • なぜ今、ゼロトラストセキュリティが求められているのでしょうか?
  • 境界防御の限界により、全アクセス検証が不可欠になっています。
    クラウド化や委託先増加により、境界型の防御ラインでは攻撃経路を遮断できなくなりました。
    内部侵入やID盗難が日常化する現代では、アクセスの都度検証が必須です。
  • サプライチェーン全体にゼロトラストセキュリティを適用できますか?
  • 統合ID管理と共通基盤により、サプライチェーン全体で安全な連携が可能です。
    統一したID管理基盤による認証、ゼロトラストセキュリティに準拠したアクセス制御、
    共通ログ分析基盤を用いれば、グループ企業や取引先間でも安全な連携ができます。
  • 導入コストは高いですか?
  • 初期費用は必要ですが、運用効率化で長期的なコスト効果が期待できます。
    監査工数の大幅削減やインシデント対応コストの低減により、中長期的には投資対効果が高くなります。クラウド型サービスを選択すればスモールスタートも可能です。
  • 既存システムとの連携は可能ですか?
  • API連携により既存システムとも統合でき、段階的な移行が可能です。
    ID管理基盤との連携やAPI対応により、既存の認証システムと統合できます。
    オンプレミス環境とクラウド環境を併用するハイブリッド構成でも、
    統一したセキュリティポリシーを適用できます。
  • どのようなクラウドサービスが適していますか?
  • 認証・監査対応が整ったゼロトラスト対応クラウドサービスが最適です。
    ISO27001認証、国内データセンター、ゼロトラストセキュリティ対応のアクセス制御、
    詳細な操作ログ可視化を完備したサービスが基本条件です。
  • 導入にどれくらいの期間がかかりますか?
  • クラウド型なら数週間で導入を開始でき、段階的な全社展開も可能です。
    企業規模や既存システムの状況により異なりますが、クラウド型サービスを活用すれば、
    最短で数週間から段階的に導入を開始できます。
  • 従業員の利便性は低下しませんか?
  • 多要素認証やSSOにより、安全性と利便性を両立できます。
    適切に設計されたゼロトラストセキュリティは、利便性を損なうことなくセキュリティを強化します。
    むしろVPN接続の煩雑さから解放され、業務効率が向上するケースも多くあります。
  • 小規模企業でも導入できますか?
  • クラウド型サービスを使えば、小規模企業でも無理なく導入できます。
    クラウド型のゼロトラストセキュリティサービスを活用すれば、大規模なインフラ投資なしに導入できます。従業員数や利用規模に応じた柔軟な料金体系を持つサービスを選択することで、小規模企業でも無理なく始められます。

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