テレワークへの移行やシステム運用負荷の軽減など、さまざまな事情でクラウドサービスの利用を始める企業が増えています。
総務省がまとめた「通信利用動向調査」によると、最新の令和6年(2024年8月末時点)では、調査対象6,040社(有効回収2,330社)の回答を基に、全社導入と一部導入を合わせて企業の80.4%がクラウドサービスを利用しています。
■通信利用動向調査
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202400_002.pdf
「図表 3-2 クラウドサービスの利用状況(令和6年、産業分類別)」を参照
しかし、機密情報や個人情報などは社外にデータを保存しないよう、自社の情報セキュリティポリシーで取り扱いに関する規定をされているというケースは少なくありません。
このような場合でもクラウドサービスを活用できると注目されているのが、ハイブリッドクラウドです。
この記事では、ハイブリッドクラウドの概要やメリット・デメリットなどについて解説します。
ハイブリッドクラウドの導入事例も併せて紹介しているため、参考にしてください。
本記事のサマリ
ハイブリッドクラウドは、オンプレとクラウドの併用でコスト最適化とセキュリティ強化を同時に実現する
機微データは社内に保持し、スケールが必要な処理はクラウドに任せることで、利便性とガバナンスを両立できる
DirectCloudは、SSO・多層防御・監査とAPI連携により、ハイブリッド運用を安全かつ効率的に推進できる
目次- 1. ハイブリッドクラウドとは
- 2. ハイブリッドクラウドが注目される背景
- 3. ハイブリッドクラウドのメリット
- 4. クラウドサービスとオンプレミスの使い分け
- 5. ハイブリッドクラウドで利便性とセキュリティを両立させる方法
- 6. ハイブリッドクラウドの活用事例
- 7. まとめ
ハイブリッドクラウドとは
ハイブリッドクラウドは、オンプレミスやプライベートクラウドと、パブリッククラウドを連携させて活用するアーキテクチャを指します。個々では別々に稼働する環境をつなぐことで、それぞれの弱点を補いながら利用できます。
タスク実行に伴う負荷の特性や機密度、コストや可用性の要件に応じて、最適な場所に最適な処理を割り当てられる点が特徴です。
ハイブリッドクラウドを活用すれば、両者の長所を生かしながら、性能・コスト・セキュリティ・運用のバランスを最適化できます。
プライベートクラウドとは
プライベートクラウドとは、企業や組織専用に設計されたクラウド環境をいいます。自社のデータセンターやコロケーションで構築する形態に加えて、クラウド事業者の基盤上に専有環境を構築・提供する「ホスティング型プライベートクラウド」もあります。
いずれも利用者が限定されるため、セキュリティポリシーやガバナンスを細かく適用しやすい点が特長です。
パブリッククラウドとは
パブリッククラウドとは、一般のユーザーや企業向けに広く提供されるクラウドサービスのことです。
一般的に「クラウドサービス」というと、このパブリッククラウドのことを指します。
ユーザーはサーバーなどを用意する必要がなく、インターネット経由でサービスを利用できます。
システムの運用も不要で、導入コストや運用コストが抑えられる点も特徴です。
マルチクラウドとの違い
ハイブリッドクラウドと混同されがちな言葉として、マルチクラウドがあります。
マルチクラウドとは、複数のクラウドサービス(主に複数のパブリッククラウド)を目的に応じて使い分ける方法です。
各サービスの得意分野を組み合わせ、障害に強い構成にし、特定のクラウドに依存しすぎないようにするために採用します。
一方、ハイブリッドクラウドは「オンプレミス/プライベート」と「パブリック」の“場所・所有形態”をまたいで連携する点に主眼があります。
つまり、マルチクラウドは「事業者の数」に着目し、ハイブリッドクラウドは「運用場所や所有形態の組み合わせ」に着目する点が大きな違いです。
ハイブリッドクラウドが注目される背景
ハイブリッドクラウドが注目される背景には、技術進化・制度対応・ビジネス要請が重層的に絡み合っていることがあります。とりわけ、次の要因が企業の採用拡大を力強く後押ししています。
利便性とコストの両立
パブリッククラウドはインターネット経由で利用できるためテレワークとの相性もよく、システム開発や運用の手間やコストも抑えられます。
しかし、カスタマイズ性が低いため、すべてのシステムをパブリッククラウドに置き換えることは簡単ではありません。
その一方で、すべてのシステムがオンプレミス環境ではコストや運用負荷が高くなります。
このように、社内システムをパブリッククラウドとオンプレミスのどちらか一方に揃えるとデメリットが大きいため、両方を利用できるハイブリッドクラウドが注目されるようになりました。
マルチクラウド採用の加速
近年、企業は複数のクラウド事業者を目的別に使い分けるマルチクラウド戦略を拡大させています。マルチクラウドは、各クラウドの強みを活かしながら可用性やコスト、機能面を最適化できる一方で、運用やセキュリティ統制を全体で一貫させる設計が不可欠になります。
その結果として、オンプレミスやプライベートクラウドとパブリッククラウド群を横断的に接続・統合するハイブリッドクラウドが「前提のアーキテクチャ」となりつつあります。
データ主権・セキュリティ要件の強化
各国・各業界でデータ主権(データの所在と管轄)やセキュリティ基準が強化され、機微データを自社管理下に置きつつ、クラウドの拡張性や最新機能を活用したいという要請が高まっています。
結果として、オンプレミス/プライベートクラウドと複数のパブリッククラウドを安全に連携させるハイブリッドクラウドが、コンプライアンスとイノベーションの両立手段として選好される流れが加速しています。
ハイブリッド構成は、データの保管・処理の場所を柔軟に選びながら、細かな統制やセキュリティポリシーを適用しやすい点が特長です。
AI・機械学習の活用拡大に合わせたストレージ需要の高度化
生成AIなど先端機能の競争が激化し、クラウドごとの差別化が加速していることが挙げられます。
IDC社 が実施した国内ストレージ調査では、企業はAI・機械学習の活用拡大により、大容量データを扱うため ハイブリッドクラウド環境でのストレージ運用の重要性が増している とされています。
AI・機械学習の処理はオンプレミスとクラウドを併用する構成との相性が良く、日本企業におけるハイブリッドストレージの普及を一段と後押ししています。
ハイブリッドクラウドのメリット
ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとパブリッククラウドの長所を組み合わせることで、拡張性・可用性・コスト効率を高められる運用モデルです。
検討すべき課題もありますが、本節では意思決定の参考となる主要なメリットを、実運用の観点から分かりやすくご説明します。
必要なときに、必要なだけ拡張できるスケーラビリティ
ストレージ容量を増やしたい場合、オンプレミスでは自社で機器調達や設置が必要になりますが、パブリッククラウドであれば柔軟に容量を追加できます。
突発的な需要にも短時間で対応できるため、計画外のピークにも強くなります。
リスク分散と迅速な復旧
異なる場所・環境にシステムとデータを分散できるため、広域災害や大規模障害発生時の影響を最小化できます。
拠点分散や世代管理と組み合わせることで、事業継続計画(BCP)と災害復旧(DR)を強化できます。
“適材適所”での柔軟な運用
平常時はオンプレミスで業務を安定運用し、繁忙期のみパブリッククラウドへスケールアウトするといった使い分けが可能です。
機微情報は自社管理下に留め、分析やコラボレーションはクラウドの最新機能を活用するなど、タスクの特性に合わせて最適化できます。
コスト最適化
オンプレミスは導入・運用コストがかかる一方、パブリッククラウドは需要変動に応じたリソースを柔軟に追加できます。
両者を組み合わせることで、固定費と変動費のバランスを取りつつ総コストを最適化できます。
加えて、APIコールやデータ転送料などの変動費が懸念される場合は、データの所在や処理をハイブリッドで分散させることで費用をコントロールしやすくなります。
セキュリティとコンプライアンスへの適合
機密データを社内に残しつつ、必要に応じてクラウドの拡張性を活用できます。
データの所在や取り扱いに関する社内外のルールに合わせ、アクセス制御・監査・暗号化などを環境ごとに最適化できる点が強みです。
既存資産と基幹システムの活用
長年使い続けてきた基幹システムやオンプレ資産と連携しながら、段階的にクラウドへ移行できます。
すべてを作り直すのではなく、優先度やリスクに応じて段階的にモダナイズできるため、移行の負担を抑えられます。
ベンダーロックインの抑制
オンプレミス/プライベートと複数のパブリッククラウドを組み合わせることで、特定ベンダーへの依存を避けやすくなります。
選択肢を確保しつつ、サービスや価格、機能の変化に柔軟に対応できます。
これらの理由から、近年のクラウド活用における主流の選択肢の一つになっています。
一方で、パブリッククラウドとオンプレミスが混在するため、管理者の負担は増大してしまいます。加えて、従量課金やデータ転送料の影響でコスト管理が複雑になりやすいので、事前にTCOを試算し、予算と選定基準を明確にしてからサービスを選ぶことをおすすめします。
クラウドサービスとオンプレミスの使い分け
ハイブリッドクラウドを導入する場合、パブリッククラウドとオンプレミスの使い分けを検討しなければなりません。
使い分けのポイントは、カスタマイズの有無と情報セキュリティポリシーです。
自社専用にカスタマイズしたシステムは、クラウドサービスでは機能が提供されていないこともあるため、オンプレミスでの運用を継続する必要があります。
また、自社で定める情報セキュリティポリシーで、社外サーバーへの保存が禁止されているデータは、クラウド環境には保存できません。
一方、カスタマイズが必要なく、クラウドサービスで提供されている機能で対応できるものは、クラウドサービスに移行することで運用負荷を下げられます。
また、セキュリティポリシーに違反しない範囲のデータについても、クラウド環境に移行させるとインターネット経由で利用でき、テレワークの推進や利便性の向上に役立ちます。
ハイブリッドクラウドで利便性とセキュリティを両立させる方法
テレワークを導入する企業が増えている中、セキュリティポリシーで自社管理が義務付けられているデータについては、自社サーバーへVPN接続して業務をしなければなりません。
しかし、すべてのデータを自社サーバーに保存しておくと、本格的にテレワークを導入した際にVPNトラフィックが逼迫して業務に支障が出る可能性があります。
そのため、先述のとおり、セキュリティポリシーで禁止されていないデータに関してはクラウドサービスの活用し、トラフィックを分散することがおすすめです。
可能な範囲でクラウドストレージを活用することは、テレワーク環境の利便性向上にもつながります。
ただし、セキュリティポリシーで禁止されていないからといってセキュリティ対策が不要というわけではありません。
業務で利用するクラウドストレージは、セキュリティが高いサービスを選ぶ必要があります。
具体的には、以下のように選定することをおすすめします。
- ●ISO/IEC 27017などの第三者認証を取得しているか
- ●データ通信の暗号化、ネットワーク/アプリケーション層での脆弱性対策など、トータルでカバーする「多層防御」を採用しているか
- ●ゼロトラストの要件を満たせるか(IdP側の認証によってクラウドストレージにログインできるか、など)
- ●ガバナンスを強化する機能が実装されているか
また、APIで自社サーバーとクラウドストレージを連携すれば、適切な認証・権限管理とネットワーク/暗号化・監査の設計を前提として、セキュリティポリシーを満たしながら利便性を高めることができます。
DirectCloudでハイブリッドクラウドを実現
ハイブリッドクラウドを実現させるクラウドストレージとしておすすめなのが、DirectCloudです。
DirectCloudは、ハイブリッドクラウドで求められる以下の要件に対応しています。
| 要件 | DirectCloud の対応可否 |
| ISO/IEC 27017 などの 第三者認証を取得しているか |
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| 「多層防御」でのセキュリティ 対策ができているか |
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| ゼロトラストの要件を満たせるか |
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| ガバナンスを強化する機能が 実装されているか |
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| 要件 |
| ISO/IEC27017などの第三者認証を取得しているか |
| DirectCloud の対応可否 |
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| 要件 |
| 「多層防御」でのセキュリティ対策ができているか |
| DirectCloud の対応可否 |
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| 要件 |
| ゼロトラストの要件を満たせるか |
| DirectCloud の対応可否 |
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| 要件 |
| ガバナンスを強化する機能が実装されているか |
| DirectCloud の対応可否 |
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以下の「DirectCloud API」を利用してファイルサーバーやNASと連携することで、バッチ経由でファイルのアップロード/移動、検索、権限付与などを自動化できます。
■API リファレンス
https://directcloud.jp/api_reference
そのうえ、DirectCloudをエクスプローラーにマウントすることで、ファイルサーバーと変わらないUIで運用することができるので、操作感においてユーザー側でファイルサーバーとの差異を感じることもありません(DirectCloud ドライブ)。
その他、ファイル共有におけるトラブルや利便性の低下が起こりやすくなるのも、テレワークの問題のひとつです。
例えば、複数人で資料をレビューしながら編集したいのにやりづらい、自宅のネットワーク回線は大容量ファイルをやりとりするのに帯域が十分でない、などの問題が考えられます。
DirectCloudにはファイルをローカル環境に保存せずにクラウド上で同時編集できる機能や、共有リンク1つで大容量ファイルをやりとりできる機能などがあり、利便性も兼ね備えています。
このように、DirectCloudはハイブリッドクラウドでセキュリティポリシーと利便性を両立させるのに適したクラウドストレージです。
6. ハイブリッドクラウドの活用事例
実際にハイブリッドクラウドを活用している企業は少なくありません。
ここでは、弊社DirectCloudを導入しハイブリッドクラウド環境を実現した事例を紹介します。
合同会社EXNOA様
国内最大規模のトラフィックを抱えるオンラインゲームプラットフォーム「DMM GAMES」を運営しながら、数多くのヒットタイトルを生み出しているパブリッシャーとしての側面も持つ合同会社EXNOA様は既存のファイルサーバーはそのまま運用しつつ新たにクラウドストレージ「DirectCloud」を導入しました。
DirectCloud導入前は、テレワークに移行した従業員の中で社内ファイルサーバーにVPN接続した際レスポンスが悪くなってしまうという声が上がっており、課題となっていました。
そのため、社内外におけるファイル共有にDirectCloudを活用することで、業務効率化を実現しました。
また、これまで利用していた自社開発のクラウドストレージはストレージ容量が500GBまでの制約がありましたが、DirectCloud導入後は気にすることがなくなり、250種類以上のログ管理機能によって内部統制の強化にも成功していらっしゃいます。
■事例の詳細はこちら
https://directcloud.jp/interview/interview30
7. まとめ
テレワークを導入するうえでパブリッククラウドは利便性を高めてくれるツールですが、企業のセキュリティポリシー上、クラウド環境への保存が禁止されているデータもあります。
しかし、すべてのデータが自社サーバーにあっては、VPNのトラブルなどによって業務に支障をきたすかもしれません。
このようなケースに対応するには、ハイブリッドクラウドが有効です。
オンプレミスとパブリッククラウドを使い分け、両者を連携させることで利便性も保てます。
DirectCloudならファイルサーバー/NASとのAPI連携が可能なだけでなく、ハイブリッドクラウドとして運用した場合でも、操作感で困ることなくシームレスに運用することができます。
テレワーク環境でも利便性を高める機能が備わっているため、ぜひご活用ください。





